東芝(6502)の決算及び株価について

2016/08/16

企業分析

 8/12に東芝(6502)の平成29年3月期第1四半期決算発表が行われた。

 前年同期比で売上は1.9%マイナスの1,207十億円、営業利益は黒字転換で20十億円の黒字、継続事業税引前利益は7十億円、株主帰属純利益は79十億円となった。

 エネルギーシステムソリューション事業の売上が原子力発電所建設子会社の新規連結を主因として前年同期比で53十億円増加となり、その他事業(パソコン、映像機器等)の売上が事業規模縮小により64十億円減少したことをカバーし全の売上は23十億円のマイナスとなった。
 一方、売上原価及び販売管理費は全体で大幅な削減が進んだ。売上原価が前年同期比で9十億円削減され、販管費は賞与削減効果等により41十億円の削減となった。
 この結果、ストレージ&デバイスソリューション(半導体、ハードディスク装置等)を除く事業でセグメント損益が改善し全社的に営業利益がプラスとなった。ただし、依然としてストレージ&デバイスソリューションの閉める営業利益の割合は全体の大部分を占めている。
 海外売上依存度は63%と高く、アジア30%、北米向け20%と割合が高い。

 通期予想では売上高5,100十億円、営業利益は120十億円、継続事業税前利益は85十億円、株主帰属純利益は100十億円となる見込みである。
 2016年3月期の営業利益が▲633十億円、最終利益が▲460十億円と比較すると大幅増益となる見込みである。

 東芝は平成28年6月末時点(第1Q)で2つの事業の売却を決算書に反映している。当該2つの事業から生じる利益は非継続事業利益として位置づけられている。
 ひとつは、2016年3月に譲渡契約を締結したヘルスケア事業(東芝メディカルシステムズ㈱)のキャノン㈱への売却である。第1Qにおける当該費継続事業利益は税前利益段階で0.7十億円となっている。
 もうひとつは、2016年3月に家庭電器事業(東芝ライフスタイル㈱の家電事業、映像事業は残した)の美的集団股份有限公司の子会社への売却である。当該継続事業において計上された損益は非継続事業からの税金等調整前四半期純損失が▲3.7十億円、非継続事業からの税金等調整前売却益が83十億円と多額になった。当該売却益が株主帰属純利益の大幅プラスの要因となっている。

 東芝の貸借対照表の特徴として資本の部における非支配持分割合が49%と高いことがある。


 同業他社と各種指標を比較した。
 
 平成29年3月期の利益進捗率は日立、三菱電機が良好である。
 時価総額/株主資本では日立のみが1.0を切っており株価の割安感がある。
 時価総額/経常利益においても日立が5.4と株価の割安感がある。非支配株主分考慮後でも5.4÷68%=7.9倍であり株安感がある。
 東芝は1Q進捗率が8%と最も低く、時価総額/株主資本、時価総額/経常利益ともに最も割高な水準である。


項目
東芝(6502)
日立製作所(6501)
パナソニック(6752)
三菱電機(6503)
経常利益・継続事業税引前利益(年実績)

633十億円
517十億円
217十億円
318十億円
経常利益・継続事業税引前利益(年予想)

85十億円
(1Q進捗率8)
430十億円
(1Q進捗率25)
300十億円
(1Q進捗率20)
255十億円
(1Q進捗率24)
株主資本(直近Q)

336十億円
2,596十億円
1,528十億円
1,738十億円
株主資本/純資産比率

49
68
92
95
時価総額(8/16現在)

1,237十億円
2,340十億円
2,460十億円
2,783十億円
時価総額/株主資本

3.7
0.90
1.61
1.60
時価総額/経常利益

14.5
5.4
8.2
10.9
海外依存度(売上割合)

63
47
52
43
ターゲット時価総額

618十億円(▲50%)
3,000十億円(+28%)
2,460十億円(0)
2,783十億円(0)