鹿島建設 (1812) 、大林組 (1802) 、清水建設 (1803) 、大成建設 (1801)の財務内容、株価の比較

2016/08/13

企業分析

 8/9に鹿島建設 (1812)が、8/5に大林組 (1802)が、8/9に清水建設 (1803)が、8/5に大成建設 (1801)がそれぞれ平成29年3月期の第1Q決算を発表した。

 前年同期比では、鹿島建設が売上高8.2%増の390十億円、営業利益が160%増の30十億円、大林組が売上高2.7%増の402十億円、営業利益が54.1%増の23十億円、清水建設が売上高8.2%減の353十億円、営業利益が29.7%増の22十億円、大成建設が売上高10.5%減の297十億円、営業利益が10.3%減の16十億円となった。

 前年比較では大成建設以外の3社は営業利益増益であり、鹿島、大林は増収増益となり業界としては非常に好調であった。

 年間予想営業利益に対する進捗率では鹿島建設35%、大林組24%、清水建設23%、大成建設16%であり、進捗割合から見ると鹿島建設は業績見込みの上ぶれ含みであり、大成建設は下ぶれ含みと考えてもいいかもしれない。そもそも、大成建設は29年3月期の営業利益見込みが100十億円と4社の中で最も強気ではある。

 第1Qにおける各社の経営成績に関する説明は以下のとおりである。

 鹿島建設:土木事業は減収だが、利益率上昇により前年同期比16.4%の増加、建築は売上9.9%増で、利益率上昇もあって営業利益は788%の増加となった。

 大林組:建設事業売上の増加と利益率改善により増収増益となった。

 清水建設:建設業界の受注高は,官公庁工事,民間工事ともに前年同期並みの水準で推移したが、工事採算の改善により減収増益を確保した。

 大成建設:公共機関からの発注が増加に転じ、民間工事においても製造業・非製造業ともに旺盛な投資が見られたことから全体では堅調さを維持したにもかかわらず減収減益となった。

 ここで4社の全般的な比較を行った。

項目
鹿島建設 (1812)
大林組 (1802)
清水建設 (1803)
大成建設 (1801)
売上規模(年実績)

1,742十億円
1,777十億円
1,664十億円
1,545十億円
営業利益(年実績)

111十億円
106十億円
94十億円
117十億円
営業利益(年予想)

85十億円
95十億円
94十億円
100十億円
当期利益(年予想)

60十億円
63十億円
65十億円
70十億円
純資産(直近Q)

464十億円
541十億円
464十億円
494十億円
自己資本比率

26
27
28
32
時価総額(8/10現在)

794十億円
701十億円
775十億円
959十億円
PBR

1.69
1.40
1.67
1.91
PER

12.9
11.0
11.8
13.4
土木建築割合
売上 建築7:土木3
利益 建築7:土木3
売上 建築7:土木3
利益 建築6:土木4
不明
売上 建築7:土木3
利益 建築5:土木5
海外依存度(16/3実績)
売上22
利益7
売上23
利益5
売上10
売上10%以下































 4社の建築・土木の割合は7:3程度と大きな差異はない。建築での利幅は鹿島建設が最も高く大成建設が低い。(なお、清水建設は不明)

 鹿島建設、大林組は清水建設、大成建設と比べて海外展開が進んでいる。しかし、両社であっても海外の利益率は国内の利益率と比べて低いことが分かる。

 前年実績でみると大成建設の売上高が最も低いが、営業利益は最も高く収益力がある。今年度の営業利益予想でも最も強気の100十億円を目指している。しかし、第1Qでの進捗率は最もよくない。

 株価ではPBR、PERともに大成建設に割高感があり大林組に割安感がある。
 過去1年間の株価では、鹿島建設が7%上昇、大林組が6%下落、清水建設が15%下落、大成建設が1%上昇しており鹿島建設が最も上昇している。