IPO予定のエスユーエス(6554)の財務分析と初値予想

2017/08/09

IPO

【想定発行価格の印象】
:人材派遣実施の同業上場会社と比較するとやや割安

【法人概要】
設立:1999年9月
本社所在地:京都府京都市下京区四条通烏丸東入ル長刀鉾町
事業内容:技術者派遣・請負業務、ERPコンサル・システム開発
業種分類:サービス業
決算:9月
上場市場:マザーズ
監査人:あずさ監査法人
主幹事証券:野村證券
社長:齋藤公男、昭和43年10月生まれ、平成11年に当社設立、持株比率64%

【実施する事業】

①技術者派遣事業
(直近H28.9期 売上4,878百万円、営業利益325百万円、直近3QH29.6期 売上4,404百万円 営業利益315百万円、1183人)

IT分野70%、機械分野15%、電気電子分野12%、科学バイオ分野3%の4分野の顧客に技術者派遣を国内7拠点(京都本社、東京支店、大阪支店、名古屋支店、岡山支店、横浜営業所、神戸営業所)で実施している。

契約形態として大部分が派遣契約であるが一部は請負契約となっている。


②コンサルティング事業
(直近h28.9期 売上407百万円、営業利益49百万円、直近3QH29.6期 売上279百万円 営業利益37百万円、27人)

HRMを強みとしたビジネスコンダルティングサービス、ERPソフトウェアパッケージを用いたコンサルティング、導入支援から開発を行なうシステムコンサルティングサービスを実施。



③その他事業
(直近H28.9期 売上212百万円、営業利益▲18百万円、直近3QH29.6期 売上2百万円 営業利益▲10百万円、10人)

web関連サービス(各種システム開発等)、株式会社ストーンフリーにて就労移行支援事業(事業所名:スキルアップスマイル)を実施。




【損益(過去2期+直近Q)】


(売上、売上総利益)

売上:直近通年期前期比22%増、直近四半期単純年換算前期比7%増と安定して売上は増加傾向にある。

粗利率:前々期23.3%、前期24.7%、直近四半期25.3%と25%程度で安定している。


売上総利益:直近通年期前期比130%増、直近四半期単純年換算前期比109%増と粗利率は安定しているため売上高の増加に応じて、売上総利益額も増加傾向は継続している。


(販管費、営業損益)

販管費:直近通年期前期比7%増、直近四半期単純年換算前期比6%増と粗利増加割合よりも低い割合での増加である。

H28.9期の販管費1,002百万円のうち350百万円は給料手当てが占める。

営業利益:直近通年期前期比221%増、直近四半期単純年換算前期比18%増とH27.9期は売上が損益分岐点を大幅に越えたため大幅な増益を達成した。
H29.6期3Qも18%増加のペースで来ており順調である。


(最終利益)

「最終利益÷営業利益」:前々期3.3%、前期70.4%、直近四半期75.6%である。
H27.9期は減損の計上と税金費用の負担が大きかったため最終利益は少額となった。

H27.9期に減損損失が48百万円計上されているが、スマートフォンゲームに関する資産に適用されている。

H29.6期3Qは特別利益として投資有価証券売却益が40百万円計上されているため最終利益は大きめになっている点は留意すべきである。


【財政状態】
 
(財務諸表の特徴)

純有利子負債(ipo資金受入後)▲1,330百万円(キャッシュ過大)、自己資本比率31%、有利子負債比率92%と、キャッシュリッチではあるが、借入金残高もあるため、自己資本比率、有利子負債比率は通常レベルである。

繰延税金資産に関して、H28.9期は繰越欠損金の大部分を解消又は期限切れしており、一時差異に対して大部分を税金資産として計上している。

H27.9期に配当7百万円を実施したが、H28.9期は配当を実施していない。


(ROAとROE)

直近決算期であるH29.6期3Qの純資産と想定発行価格による増資と直近Q決算期の年度換算利益を前提としたROA、ROEはそれぞれ22.4%、10.9%と良好であり資産効率は非常に良いと言える。
設備集約型でなく労働集約型であるため必要となる資産を多額に保有する必要がないのである。



(IPO調達資金が自己資本へ与える影響)

想定発行価格と公募株式数に基づく調達資金は768百万円であり、直近純資産に対して118%の自己資本増加となる。
IPOに伴う調達資金規模は会社としては大きいものとなる。
一方、売出株数は募集株数に比べて低い水準である。



【株価】


(将来見込み)

上場同業他社と比較しても想定発行価格を前提としたPER、PBRは低めであり、初値は急上昇は望めないもののそこそこ上がるのではないか。


(PER指標)

直近決算期であるH29.6期の利益を単純年換算した利益と想定発行価格を前提としたPER(希薄化株式考慮済)は16.2倍である。


(PBR指標)

直近決算期であるH29.6期の純資産と想定発行価格による増資を前提としたPBR(希薄化株式考慮済)は3.6倍である。


(その他)

想定発行価格による増資とH29.6期の単純年間換算営業利益に基づいたEBIT倍率は8.2倍であり、EBITDA倍率は7.9倍である。

(同業他社指標 H29.8.9時点)

トラストテック(2154):PER24倍、PBR8倍
メイテック(9744):PER20倍、PBR4倍
アルプス技研(4641):PER18倍、PBR3倍
テクノプロ(6028):PER22倍、PBR6倍

 

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エスユーエス(6554)
(単位:千円) H27.9 H28.9 増減 H29.6 進捗/増減
売上高 4,500,296 5,498,314 998,018 4,404,806 80%
年間予想 5,873,075 75%
売上総利益 1,047,360 1,358,421 311,061 1,114,747 82%
販管費 936,215 1,002,149 65,934 799,213 80%
営業利益 111,145 356,272 245,127 315,534 89%
年間予想 420,712 75%
減価償却費 66,091 26,313 △39,778 10,238 39%
 EBITDA 177,236 382,585 205,349 325,772 85%
支配株主帰属利益 3,651 250,848 247,197 238,661 95%
年間予想 318,215 75%
簡易営業キャッシュフロー 69,742 277,161 207,419 248,899
年間予想 331,865
※年間予想はQ数値を年次に単純換算した金額
H27.9 H28.9 H29.6 予想
売上総利益率 23.3% 24.7% 25.3%
営業利益率 2.5% 6.5% 7.2% 7.2%
支配株主帰属利益率 0.1% 4.6% 5.4% 5.4%
最終利益÷営業利益 3.3% 70.4% 75.6% 75.6%
エスユーエス(6554)の財政状態
H29.6
現預金等 1,172,488
流動資産 2,000,011
流動負債 1,390,873
 流動資産ー流動負債 609,138
 うち現金短借以外 △49,672
有利子負債(流動) 513,678
有利子負債(固定) 95,997
 有利子負債計 609,675
ネット有利子負債 △562,813
固定資産 151,239
固定負債 95,997
純資産 664,380
非支配株主持分 11,640
親会社所有者持分 652,740
流動比率 144%
固定長期適合率 20%
自己資本比率 31%
有利子負債比率 92%
エスユーエス(6554)の利益指標
H28.9 H29.6 予想
ROE 17.7% 22.4% 22.4%
ROA 8.6% 10.9% 10.9%
エスユーエス(6554)の株式数,時価総額の見込み
上場前発行済株式 1,770,000 自己株式除く
うち売出株数 31,000 当選枚数
上場時発行株式 376,100 オーバーアロットメント含 4,071
引受価額 2,042.4
上場時調達見込額 768,147 千円
調達後親会社所有者持分 1,420,887
上場時増資額/直近純資産 118%
直近株価 2,220 想定発行価格
時価総額 4,764,342 千円
非支配株主持分 11,640
純有利子負債(ipo資金受入後) △1,330,960
事業価値 3,445,022
潜在株 181,300 潜在株割合 8.4%
エスユーエス(6554)の株価指標
指標 H28.9 H29.6 予想
EBIT倍率 9.7 8.2 8.2
EBITDA倍率 9.0 7.9
営業利益PER 14.5 12.3 12.3
PER 20.6 16.2 16.2
PBR 3.6
エスユーエス(6554)における従業員の状況
H29.6
連結人員 1,249
親会社単体人員 1,239
親会社単体平均年齢 28.8
親会社単体平均年収 3,684 千円
一人あたり年間粗利(連結) 1,190 千円
一人あたり年間販管費(連結) 853 千円