IPO予定のウォンテッドリー(3991))の財務分析と初値予想

2017/08/10

IPO

【想定発行価格の印象】
:想定時価総額40億円は割安

【法人概要】
設立:2010年9月
本社所在地:東京都港区白金台五丁目
事業内容:ビジネスSNS「Wantedly」の企画・開発・運営
業種分類:情報・通信
決算:8月
上場市場:マザーズ
監査人:トーマツ
主幹事証券:大和証券
社長:仲暁子、昭和59年生まれ、ゴールドマンサックス証券、facebook出身、平成22年9月に当社設立、持株比率73%

【実施する事業】

①Wantedly Visit(依存度大)

会社訪問マッチングサービス。既存の求人サービスのような給与や福利厚生といった「条件」ではなく、ビジョンや価値観への「共感」による個人と企業・仕事のマッチングを提供。


②Wantedly Admin(依存度大)

Wantedly Visitへの募集掲載、Wantedly Feedへの記事投稿、募集に応募した候補者の管理などを行うSaaS型企業ユーザ向け管理ツール。


③Wantedly People

名刺管理アプリ。


④Wantedly Chat

社内、社外を横断したビジネス利用目的のチャットツール。


その他、Wantedly Feed、Wantedly Tools、Case by Wantedlyのサービスあり。


Wantedlyの月間利用者はH25.11時点で94千人だったが、H29.5時点で1,514千人と急拡大している。



【直近5年(H24.8期~H28.8期)】

H24.8期は売上1百万円で11百万円の最終赤字、従業員は1名であった。

ここ5年間で業績が急拡大してH28.8期は売上840百万円、最終利益77百万円、純資産は461百万円、従業員は40名まで拡大している。




【損益(過去2期+直近Q)】


(営業収益)

直近通年期前期比86%増、直近四半期単純年換算前期比44%増と増収傾向は継続している。


(営業費用、営業損益)

営業費用:直近通年期前期比59%増、直近四半期単純年換算前期比68%増と事業拡大に伴い増加は継続中。

H27.8期の営業費用453百万円のうち、広告費が150百万円、給料が98百万円、地代が36百万円を占める。

H28.8期の営業費用719百万円のうち、広告費が151百万円、給料が164百万円、地代が79百万円を占めており、人件費、地代の増加が大きい。


営業利益:直近通年期前期比で黒転、直近四半期単純年換算前期比では大幅マイナスとなった。
増収額以上に営業費用の増加が大きかったためH29.5期の営業利益はごくわずかとなった。


(最終利益)

前々期は最終赤字、前期は77百万円の大幅黒字となったが、直近QのH29.5期は税金費用の負担もあり最終赤字に陥った。

H29.5期3Qは税前利益が1百万円に対し税金費用が8百万円あるため最終赤字が6百万円となっている。


【財政状態】
 

(財務諸表の特徴)

無借金であり純有利子負債(ipo資金受入後)が▲426百万円、自己資本比率64%と財務内容に問題はない。

繰延税金資産に関して一時差異の大部分を税金資産として計上している。
※ただし、H29.5期は多額の税金費用が計上されており税金資産の取崩しの可能性もある。

H28.8期の売掛金86百万円のうち27百万円はウェブペイ向け、未払金41百万円のうち12百万円はランドスケイプ向け、前受金110百万円のうち2百万円はグリッド向けである。


(ROAとROE)

直近のH29.5期は最終赤字であるため直近決算期であるH28.6期の利益と直近の純資産と想定発行価格による増資を前提としたROA、ROEはそれぞれ15.2%、10.2%と収益効率は高い。



(IPO調達資金が自己資本へ与える影響)

想定発行価格と公募株式数に基づく調達資金は56百万円であり、直近純資産に対して12%の自己資本増加となる。
IPO資金がBSに与える影響は小さいといえる。


IPOに伴う売出はサイバーエージェントの8万株のみ、公募は自己株の5万株のみであり放出株数がOA込みでも1,495枚と非常に少なくプラチナチケットといえる。


【株価】


(将来見込み)

業種的に損益分岐点を越えてくれば大幅な黒字化も達成可能である。
増収は継続しており期待はできるのではないか。
また、他事業への広がりも期待できるのではないか。



(PER指標)

直近決算期であるH28.8期の利益と想定発行価格を前提としたPER(希薄化株式考慮済)は54倍である。


(PBR指標)

直近決算期であるH29.5期の純資産と想定発行価格による増資を前提としたPBR(希薄化株式考慮済)は8.2倍である。


(類似上場会社、H290810時点)

6539 MS-Japan PER24.19倍、PBR3.82倍
2124 JACリクルート PER19.38倍、PBR6.70倍
2175 SMS PER40.49倍、PBR8.04倍
6098 リクルトH PER26.85倍、PBR4.18倍

 

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ウォンテッドリー(3991)
(単位:千円) H27.8 H28.8 増減 H29.5 進捗/増減
売上高 450,657 840,284 389,627 910,297 108%
年間予想 1,213,729 75%
営業収益 450,657 840,284 389,627 910,297 108%
営業費用 453,276 719,692 266,416 908,578 126%
営業利益 △2,619 120,592 123,211 1,719 1%
年間予想 2,292 75%
減価償却費 18,112 20,791 2,679 9,543 46%
 EBITDA 15,493 141,383 125,890 11,262 8%
支配株主帰属利益 △2,669 77,803 80,472 △6,206 -8%
年間予想 △8,275 75%
簡易営業キャッシュフロー 15,443 98,594 83,151 3,337
年間予想 4,449
※年間予想はQ数値を年次に単純換算した金額
H27.8 H28.8 H29.5 予想
売上総利益率 100.0% 100.0% 100.0%
営業利益率 -0.6% 14.4% 0.2% 0.2%
支配株主帰属利益率 -0.6% 9.3% -0.7% -0.7%
最終利益÷営業利益 101.9% 64.5% -361.0% -361.0%
ウォンテッドリー(3991)の財政状態
H29.5
現預金等 370,562
流動資産 486,121
流動負債 252,226
 流動資産ー流動負債 233,895
 うち現金短借以外 △136,667
有利子負債(流動) 0
有利子負債(固定) 0
 有利子負債計 0
ネット有利子負債 △370,562
固定資産 220,848
固定負債 0
純資産 454,743
非支配株主持分 0
親会社所有者持分 454,743
流動比率 193%
固定長期適合率 49%
自己資本比率 64%
有利子負債比率 0%
ウォンテッドリー(3991)の利益指標
H28.8 H29.5 予想
ROE 15.2% -1.6% -1.6%
ROA 10.2% -1.1% -1.1%
ウォンテッドリー(3991)の株式数,時価総額の見込み
上場前発行済株式 4,522,700 自己株式除く
うち売出株数 80,000 当選枚数
上場時発行株式 69,500 オーバーアロットメント含 1,495
引受価額 809.6
上場時調達見込額 56,267 千円
調達後親会社所有者持分 511,010
上場時増資額/直近純資産 12%
直近株価 880 想定発行価格
時価総額 4,041,136 千円
非支配株主持分 0
純有利子負債(ipo資金受入後) △426,829
事業価値 3,614,307
潜在株 185,500 潜在株割合 4.0%
ウォンテッドリー(3991)の株価指標
指標 H28.8 H29.5 予想
EBIT倍率 30.0 1,576.9 1,576.9
EBITDA倍率 25.6 240.7
営業利益PER 34.9 1,834.4 1,834.4
PER 54.0 △508.1 △508.1
PBR 8.2
ウォンテッドリー(3991)における従業員の状況
H29.6
連結人員 45
親会社単体人員 45
親会社単体平均年齢 27.3
親会社単体平均年収 4,951 千円
一人あたり年間粗利(連結) 26,972 千円
一人あたり年間販管費(連結) 26,921 千円