IPO予定のニーズウェル(3992)の財務分析と初値予想

2017/08/14

IPO

【想定発行価格の印象】
:同業他社と比較するとやや割安

【法人概要】
設立:1986年10月
本社所在地:東京都新宿区富久町
事業内容:システム開発等
業種分類:情報通信業
決算:9月
上場市場:JASDAQスタンダード
監査人:あずさ監査法人
主幹事証券:みずほ証券
社長:船津浩三、日立製作所、富士ソフト、サイバーコムを経て平成28年12月に当社社長へ就任。持株は10000株のみ。

発行済みの47%を保有する㈱オーディーシーは実質的なオーナーである佐藤一族の会社であると考えられる。

今回売り出しの150千株は佐藤一族の主要株主からの放出である。



【実施する事業】

①業務系システム開発(売上の8割)
(直近28.9期 売上3,702百万円)

金融、通信、流通、サービス等の 幅広い分野におけるシステム開発を実施。
金融系、通信系、 流通・サービス・公共系システム系が中心。

②基盤構築(売上の11%)
(直近28.9期 売上519百万円)

ITシステムの基盤となるサーバ等ハードウェアの環境設計、構築、導入を実施し、 ネットワーク環境における通信機器の設定まで行う。


③組込系開発(売上の7%)
(直近28.9期 売上324百万円)

IOTに関連した映像機器、医療機器、車載機器等に組み込まれるアプリケーション等の開発を実施。


【直近5年(H24.9期~H28.9期)連結なし】

売上高(単体):19億から45億と急拡大

経常利益(単体):46百万円から405百万円と急拡大

最終利益は(単体):23百万円から256百万円と急拡大

総資産(単体):938百万円から1,661百万円と拡大

純資産(単体):429百万円から820百万円と拡大、なお資本金は200百万円、発行済株式数は17,490株で増加なし

従業員数(単体):252人から494人と拡大




【損益(過去2期+直近Q)】


(売上、売上総利益)

売上:直近通年期前期比15%増、直近四半期単純年換算前期比11%増

売上はソフトバンク、DTS(9682)、明治安田システム・テク ノロジー向けがそれぞれ10%程度あり。

粗利率:前々期21%、前期20%、直近四半期21%と安定的に推移している。

売上総利益:直近通年期前期比11%増、直近四半期単純年換算前期比19%増と売上の増加に連動している。

H28.9期の売上原価のうち労務費が2,661百万円であり73%を占める。また外注費が25%を占める。

外注先としてコアコンセプト・テクノロジー、アールアイ・ソフトウェア、PE-BANKがある。


(販管費、営業損益)

販管費:直近通年期前期比8%増、直近四半期単純年換算前期比12%増

H28.9期の販管費499百万円のうち役員報酬133百万円、給与手当79百万円、採用費104百万円が主な内訳である。

営業利益:直近通年期前期比15%増、直近四半期単純年換算前期比26%増である。販管費の増加よりも粗利の増加が大きいため営業利益増加額は大きくなっている。


(最終利益)

「最終利益÷営業利益」:前々期60%、前期63%、直近四半期64%と安定しており、営業利益の増加が最終利益の増加につながっている。


【財政状態】
 

(財務諸表の特徴)

純有利子負債(ipo資金受入後)▲1,388百万円、自己資本比率51%、有利子負債比率12%とほぼ無借金であり財務内容は安定している。

繰延税金資産に関して短期一時差異が大部分であり、ほぼ全額について税金資産を計上している。


(ROAとROE)

直近決算期であるH29.6期の純資産と想定発行価格による増資と直近Q決算期の年度換算利益を前提としたROA、ROEはそれぞれ14%、24%資産効率は高いと言える。



(IPO調達資金が自己資本へ与える影響)

想定発行価格と公募株式数に基づく調達資金は369百万円であり、直近純資産に対して35%の自己資本増加となる。



【株価】


(将来見込み)

増収増益は継続しており今後も期待できる。
同業他社とのPER指標を見てもやや割安感もあり株価も期待できる。


(PER指標)

直近決算期であるH29.6期の利益を単純年換算した利益と想定発行価格を前提としたPER(希薄化株式考慮済)は10.3倍である。


(PBR指標)

直近決算期であるH29.6期の純資産と想定発行価格による増資を前提としたPBR(希薄化株式考慮済)は2.4倍である。


(その他)

想定発行価格による増資とH29.6期の単純年間換算営業利益に基づいたEBIT倍率は3.5倍であり、EBITDA倍率は3.4倍と非常に割安である。


(類似上場会社の指標)

DTS(9682) PER15.2倍 PBR1.7倍
NSD(9759) PER18.7倍 PBR2.0倍
ISID(4812) PER16.9倍 PBR1.6倍
富士ソフト(9749) PER21.7倍 PBR1.0倍




 

スポンサーリンク


ニーズウェル(3992)
(単位:千円) H28.9 H28.9 増減 H29.6 進捗/増減
売上高 3,986,311 4,586,752 600,441 3,801,475 83%
年間予想 5,068,633 75%
売上総利益 817,611 908,621 91,010 808,269 89%
販管費 462,590 499,697 37,107 420,779 84%
営業利益 355,021 408,924 53,903 387,490 95%
年間予想 516,653 75%
減価償却費 10,880 11,025 145 8,136 74%
 EBITDA 365,901 419,949 54,048 395,626 94%
支配株主帰属利益 211,317 256,999 45,682 248,381 97%
年間予想 331,175 75%
簡易営業キャッシュフロー 222,197 268,024 45,827 256,517
年間予想 342,023
※年間予想はQ数値を年次に単純換算した金額
H28.9 H28.9 H29.6 予想
売上総利益率 20.5% 19.8% 21.3%
営業利益率 8.9% 8.9% 10.2% 10.2%
支配株主帰属利益率 5.3% 5.6% 6.5% 6.5%
最終利益÷営業利益 59.5% 62.8% 64.1% 64.1%
ニーズウェル(3992)の財政状態
H29.6
現預金等 1,139,014
流動資産 1,954,123
流動負債 960,372
 流動資産ー流動負債 993,751
 うち現金短借以外 △85,239
有利子負債(流動) 60,024
有利子負債(固定) 59,904
 有利子負債計 119,928
ネット有利子負債 △1,019,086
固定資産 108,332
固定負債 59,904
純資産 1,042,179
非支配株主持分 0
親会社所有者持分 1,042,179
流動比率 203%
固定長期適合率 10%
自己資本比率 51%
有利子負債比率 12%
ニーズウェル(3992)の利益指標
H28.9 H29.6 予想
ROE 18.2% 23.5% 23.5%
ROA 10.6% 13.6% 13.6%
ニーズウェル(3992)の株式数,時価総額の見込み
上場前発行済株式 1,749,000 自己株式除く
うち売出株数 150,000 当選枚数
上場時発行株式 252,500 オーバーアロットメント含 4,025
引受価額 1,462.8
上場時調達見込額 369,357 千円
調達後親会社所有者持分 1,411,536
上場時増資額/直近純資産 35%
直近株価 1,590 想定発行価格
時価総額 3,182,385 千円
非支配株主持分 0
純有利子負債(ipo資金受入後) △1,388,443
事業価値 1,793,942
潜在株 144,600 潜在株割合 7.2%
ニーズウェル(3992)の株価指標
指標 H28.9 H29.6 予想
EBIT倍率 4.4 3.5 3.5
EBITDA倍率 4.3 3.4
営業利益PER 8.3 6.6 6.6
PER 13.3 10.3 10.3
PBR 2.4
ニーズウェル(3992)における従業員の状況
H29.7
連結人員 535
親会社単体人員 535
親会社単体平均年齢 34.6
親会社単体平均年収 4,091 千円
一人あたり年間粗利(連結) 2,014 千円
一人あたり年間販管費(連結) 1,049 千円