IPO予定のPKSHA Technology(3993)の財務分析と初値予想

2017/08/18

IPO

【想定発行価格の印象】
:高PERだが業績の伸び、事業内容からは割安

【法人概要】
設立:2012年10月
本社所在地:東京都文京区本郷
事業内容:機械学習技術等を利用したアルゴリズムの開発及びライセンス提供
業種分類:情報・通信
決算:9月
上場市場:マザーズ
監査人:あずさ監査法人
主幹事証券:SMBC日興証券
社長:上野山勝也、昭和57年生まれ、ボストンコンサル、グリーを経て当H24.10に当社設立。


【実施する事業】

①アルゴリズムモジュール
(直近H28.9期 売上389百万円、H29.6期3Q 売上394百万円)

他社製品へのアルゴリズムライセンスを提供。

アルゴリズムモジュールとして、テキスト理解モジュール、対話モジュール、画像/映像解析モジュール、推薦モジュール等があり、これらを顧客企業のソフトウエア、ハードウェアに組みこまれる。

顧客の業種は金融、電力、広告、小売、医療、製造、セキュリティ等多岐にわたっている。


②アルゴリズムソフトウエア
(直近H28.9期 売上70百万円、H29.6期3Q 売上310百万円)

自社アルゴリズム製品を展開。

上記アルゴリズムモジュールを利用したアルゴリズムソフトウエアを開発し各業界へ提供している。

Cellor(機械学習技術を用いたCRMソリューション)、VerticalVision(領域特化型の動画像認識エンジン)、Bedore(自然言語処理技術を用いた汎用型対話エンジン)のアルゴリズムソフトウエアがある。


直近Qではアルゴリズムソフトウエアの売上の増加の伸びが大きく、アルゴリズムモジュール売上に迫る勢いである。



【直近4年(H25.9期~H28.9期)連結なし】

売上高(単体):10百万円⇒459百万円と急拡大

経常利益(単体):0百万円⇒157百万円と急拡大

総資産(単体):6百万円⇒474百万円と急拡大

純資産(単体):1百万円⇒410百万円と急拡大、なお資本金がH28.9期に1百万円⇒80百万円、発行済株数は10,000株⇒10,527百万円となっており、増資を実行している。

従業員数(単体):0人⇒19人




【損益(過去2期+直近Q)】


(売上、売上総利益)

売上:直近通年期前期比57%増、直近四半期単純年換算前期比104%増と急拡大

主な売り先はNTTドコモ、電通、リクルート等がある。


粗利率:前々期71.2%、前期58.1%、直近四半期68.6%


売上原価のうち労務費が43~46%、外注費が30%程度を占める。

他勘定振替額としてソフトウエアや研究開発費へ振られている。


売上総利益:直近通年期前期比28%増、直近四半期単純年換算前期比141%増


(販管費、営業損益)

販管費:直近通年期前期比85%増、直近四半期単純年換算前期比38%増

H28.9期の販管費109百万円のうち、支払報酬が22百万円、研究開発費が12百万円、役員報酬が9百万円を占める。




営業利益:直近通年期前期比6%増、直近四半期単純年換算前期比213%増


(最終利益)
「最終利益÷営業利益」:前々期67.2%、前期73.7%、直近四半期67.6%と安定している。


【財政状態】
 

(財務諸表の特徴)

純有利子負債(ipo資金受入後)▲5,420百万円、自己資本比率80%、無借金であり財務内容は良好である。

繰延税金資産は一時差異が短期のものであり全額計上されている。


(資本政策)

H28.5 527株 @300千円(分割後@300円) NKリレーションズ(業務提携先)527株
H28.10 178株 @1,400千円(分割後@1,400円) MTTドコモ107株、伊藤忠71株


(ROAとROE)

直近決算期であるH29.6期の純資産と想定発行価格による増資と直近Q決算期の年度換算利益を前提としたROA、ROEはそれぞれ5.8%、6.1%である。

IPO時における公募株式による調達額が多額のため10%を切る水準である。




(IPO調達資金が自己資本へ与える影響)

想定発行価格と公募株式数に基づく調達資金は5,505百万円であり、直近純資産に対して505%の自己資本増加となり、超大型の調達である。

なお、IPO時点における売出株式はない点も特徴的である。



【株価】


(将来見込み)

注目分野であり、足元でも増収増益は継続しているため、株価について今後は期待できそうである。



(PER指標)

直近決算期であるH29.6期の利益を単純年換算した利益と想定発行価格を前提としたPER(希薄化株式考慮済)は76.7倍である。


(PBR指標)

直近決算期であるH29.6期の純資産と想定発行価格による増資を前提としたPBR(希薄化株式考慮済)は4.6倍である。



(類似上場会社の指標)

FRONTEO(2158) PER277.5倍 PBR5.28倍
ホットリンク(3680) PER93.22倍 PBR3.46倍
JIGSAW(3914) PER151.88倍 PBR33.94倍
メタップス(6172) PER57.5倍 PBR5.24倍



PKSHA Technology(3993)
(単位:千円) H27.9 H28.9 増減 H29.6 進捗/増減
売上高 292,489 459,665 167,176 704,648 153%
年間予想 939,531 75%
売上総利益 208,144 267,146 59,002 483,309 181%
販管費 58,999 109,396 50,397 113,184 103%
営業利益 149,145 157,750 8,605 370,125 235%
年間予想 493,500 75%
減価償却費 1,614 5,031 3,417 12,814 255%
 EBITDA 150,759 162,781 12,022 382,939 235%
支配株主帰属利益 100,241 116,188 15,947 250,333 215%
年間予想 333,777 75%
簡易営業キャッシュフロー 101,855 121,219 19,364 263,147
年間予想 350,863
※年間予想はQ数値を年次に単純換算した金額
H27.9 H28.9 H29.6 予想
売上総利益率 71.2% 58.1% 68.6%
営業利益率 51.0% 34.3% 52.5% 52.5%
支配株主帰属利益率 34.3% 25.3% 35.5% 35.5%
最終利益÷営業利益 67.2% 73.7% 67.6% 67.6%
PKSHA Technology(3993)の財政状態
H29.6
現預金等 824,776
流動資産 975,101
流動負債 226,326
 流動資産ー流動負債 748,775
 うち現金短借以外 △76,001
有利子負債(流動) 0
有利子負債(固定) 0
 有利子負債計 0
ネット有利子負債 △824,776
固定資産 161,253
固定負債 127
純資産 909,901
非支配株主持分 0
親会社所有者持分 909,901
流動比率 431%
固定長期適合率 18%
自己資本比率 80%
有利子負債比率 0%
PKSHA Technology(3993)の利益指標
H28.9 H29.6 予想
ROE 2.1% 6.1% 6.1%
ROA 2.0% 5.8% 5.8%
PKSHA Technology(3993)の株式数,時価総額の見込み
上場前発行済株式 10,705,000 自己株式除く
うち売出株数 0 当選枚数
上場時発行株式 2,955,900 オーバーアロットメント含 29,559
引受価額 1,554.8
上場時調達見込額 4,595,833 千円
調達後親会社所有者持分 5,505,734
上場時増資額/直近純資産 505%
直近株価 1,690 想定発行価格
時価総額 23,086,921 千円
非支配株主持分 0
純有利子負債(ipo資金受入後) △5,420,609
事業価値 17,666,312
潜在株 1,480,000 潜在株割合 10.8%
PKSHA Technology(3993)の株価指標
指標 H28.9 H29.6 予想
EBIT倍率 112.0 35.8 35.8
EBITDA倍率 108.5 34.6
営業利益PER 162.2 51.9 51.9
PER 220.2 76.7 76.7
PBR 4.6
PKSHA Technology(3993)における従業員の状況
H29.6
連結人員 30
親会社単体人員 28
親会社単体平均年齢 30.8
親会社単体平均年収 6,326 千円
一人あたり年間粗利(連結) 21,480 千円
一人あたり年間販管費(連結) 5,030 千円