IPO予定の壽屋(7809)の財務分析と初値予想

2017/08/23

IPO

【想定発行価格の印象】
:直近で減収減益であり、指標上も妥当な水準

【法人概要】
設立:1953年1月
本社所在地:東京都立川市緑町
事業内容:フィギュア、プラモデル、雑貨等を中心としたホビー関連品の企画、製造、販売等
業種分類:その他製品
決算:6月
上場市場:JASDAQスタンダード
監査人:新日本
主幹事証券:大和証券
社長:清水一行、昭和29年生まれ、昭和61年に社長就任

【実施する事業】

フィギュア(最も割合が大きい)、プラモデル、雑貨等を中心としたホビーに関わるグッズの企画・製造・販売・サービス活動を主として展開し、製販一体型の事業展開を特徴とする。

具体的には版元(コンテンツ保有者)から版権(コンテンツの使用許諾・販売権利)の取得、製品の企画立案、製品開発、デザイン業務、製造管理、販売までを一貫して実施している。
製造は中国の委託会社を利用しファブレス生産を実行。

販売は国内外の卸売業者向け(割合は売上の7割超)、当社の小売店舗販売、ECサイト販売、通信販売がある。

ホビー関連品製造販売事業のみの単一であり、売上80億円のうち日本向けが75%、その他北米、アジア、欧州向けが25%を占める。

主な売り先は宮沢模型13億円、KOTO,INC(海外販売の代理店)8億円である。




【直近5年(H24.6期~H28.6期)連結なし】

売上高(単体):50億円⇒80億円と拡大

経常利益(単体):3億円⇒6億円と拡大

総資産(単体):26億円⇒73億円と拡大

純資産(単体):6億⇒16億円と拡大

従業員数(単体):115人⇒141人へ拡大




【損益(過去3期)】


(売上、売上総利益)

売上:前年前期比26%増、当年前期比1%減少

粗利率:前々期34.3%、前期37.2%、当期38.8%と改善傾向にある。

売上総利益:粗利率改善により、前期、当期それぞれ36%、3%の増加。



(販管費、営業損益)

販管費:直近通年期前期比28%増、直近四半期単純年換算前期比15%増

主な科目は給与手当(H28.6期544百万円、H29.6期581百万円)、荷造運賃(H28.6期264百万円、H29.6期263百万円)、減価償却費(H28.6期111百万円、H29.6期232百万円)、貸引繰入(H28.6期不明、H29.6期105百万円)であり、H29.6期は給与、減価償却費、貸引繰入の増加により販管費が増加していることが分かる。

営業利益:直近通年期前期比73%増、当年前期比35%減、要因は上記のとおり販管費負担の増加である。



【財政状態】
 

(財務諸表の特徴)

純有利子負債(ipo資金受入後)2,399百万円、自己資本比率25%、有利子負債比率224%とやや借入金負担が重い印象である。

繰延税金資産について、一時差異のうち役員退職慰労引当金、貸倒引当金に関する一時差異のみ評価性引当金を計上している。


(資本政策)

直近増資はH25/5時点における増資が最終であり分割後単価は@500円である。
また、H27.2月、及びH29.1月に既存株主の譲渡があり、それぞれの分割後単価は@500円、@833円である。



(ROAとROE)

直近決算期であるH29.6期の純資産と想定発行価格による増資とH29.6期利益を前提としたROA、ROEはそれぞれ3.1%、9.7%である。



(IPO調達資金が自己資本へ与える影響)

想定発行価格と公募株式数に基づく調達資金は約7億円であり、直近純資産に対して38%の自己資本増加となる。



【株価】


(将来見込み)

H29.6期は減収減益となっている点で将来的な伸びについて不安要素あるが、減益の要因としての販管費負担の増加について約100百万円の貸引繰入を行なっていることは留意すべきである。


(PER指標)

直近決算期であるH29.6期は23.2倍、前期のH28.6期は14.6倍である。
直近期で減益となったためPER水準は高ぶれした。


(PBR指標)

直近決算期であるH29.6期の純資産と想定発行価格による増資を前提としたPBR(希薄化株式考慮済)は2.2倍である。


(その他)

想定発行価格による増資とH29.6期の営業利益に基づいたEBIT倍率は16.7倍であり、EBITDA倍率は6.4倍である。


(類似上場会社の指標 H29/8/27現在)

バンダイ(7832) PER 20.61倍 PBR 2.34倍
GSIクレオス(8101) PER 12.66倍 PBR 0.56倍
タカラトミー(7867) PER 25.6倍 PBR 2.66倍




 

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壽屋(7809)
(単位:千円) H27.6 H28.6 増減 H29.6 進捗/増減
売上高 6,449,510 8,109,999 1,660,489 8,008,911 99%
年間予想 8,008,911 100%
売上総利益 2,210,613 3,016,541 805,928 3,106,617 103%
販管費 1,787,887 2,283,968 496,081 2,633,863 115%
営業利益 422,726 732,573 309,847 472,754 65%
年間予想 472,754 100%
減価償却費 523,566 640,373 116,807 771,530 120%
 EBITDA 946,292 1,372,946 426,654 1,244,284 91%
支配株主帰属利益 272,498 398,356 125,858 251,307 63%
年間予想 251,307 100%
簡易営業キャッシュフロー 796,064 1,038,729 242,665 1,022,837
年間予想 1,022,837
※年間予想はQ数値を年次に単純換算した金額
H27.6 H28.6 H29.6 予想
売上総利益率 34.3% 37.2% 38.8%
営業利益率 6.6% 9.0% 5.9% 5.9%
支配株主帰属利益率 4.2% 4.9% 3.1% 3.1%
最終利益÷営業利益 64.5% 54.4% 53.2% 53.2%
壽屋(7809)の財政状態
H29.6
現預金等 1,100,809
流動資産 3,341,669
流動負債 1,997,584
 流動資産ー流動負債 1,344,085
 うち現金短借以外 1,189,195
有利子負債(流動) 945,919
有利子負債(固定) 3,264,630
 有利子負債計 4,210,549
ネット有利子負債 3,109,740
固定資産 4,111,100
固定負債 3,572,211
純資産 1,882,974
非支配株主持分 0
親会社所有者持分 1,882,974
流動比率 167%
固定長期適合率 75%
自己資本比率 25%
有利子負債比率 224%
壽屋(7809)の利益指標
H28.6 H29.6 予想
ROE 15.4% 9.7% 9.7%
ROA 4.9% 3.1% 3.1%
壽屋(7809)の株式数,時価総額の見込み
上場前発行済株式 2,397,000 自己株式除く
うち売出株数 300,000 当選枚数
上場時発行株式 390,000 オーバーアロットメント含 6,900
引受価額 1,821.6
上場時調達見込額 710,424 千円
調達後親会社所有者持分 2,593,398
上場時増資額/直近純資産 38%
直近株価 1,980 想定発行価格
時価総額 5,518,260 千円
非支配株主持分 0
純有利子負債(ipo資金受入後) 2,399,316
事業価値 7,917,576
潜在株 156,000 潜在株割合 5.6%
壽屋(7809)の株価指標
指標 H28.6 H29.6 予想
EBIT倍率 10.8 16.7 16.7
EBITDA倍率 5.8 6.4
営業利益PER 8.0 12.3 12.3
PER 14.6 23.2 23.2
PBR 2.2
壽屋(7809)における従業員の状況
H29.7
連結人員 166
親会社単体人員 166
親会社単体平均年齢 33.7
親会社単体平均年収 3,980 千円
一人あたり年間粗利(連結) 18,715 千円
一人あたり年間販管費(連結) 15,867 千円
壽屋(7809)における資本政策
発行日 株数 発行価格 分割考慮 割当先
H25/5 67,000 1,500 500 取引先等
分割日 分割数
H29/7 3