円建てダウ平均の平成28年4月以降の下落進行

2016/08/28

経済

 アメリカ株価指標のうち最重要とされるダウ平均はここ数ヶ月好調であり上昇傾向にあることは周知の事実である。

 では、ドル建てであるダウ平均を円建てにした場合の推移はどうであろうか。

 月次ベースでダウ平均は月末水準、円/ドルの為替レートは月中平均を前提として円建てのダウ平均の推移を示すと以下の通りである。




 平成28年4月以降のドル建てダウ平均は上昇傾向にあるものの、円建てダウ平均は下落傾向にある。

 この事実をどう解釈するかであるが、「株価は企業活動において収益性を反映するものである」という前提に立てばアメリカ企業にとってドル建てでは業績が好調であり順調に進行しているが、円建ダウ平均は下落しており、円建てでは業績の悪化が進んでいるということになってしまう。

 日本の財務諸表は当然に円建てで開示されるので、日本企業で海外進出(特にアメリカ)している会社では現地通貨で好調であっても円建てでは不調に陥ってしまうという状況が予想される。

 このことは、平成29年3月期1Qの決算において海外依存度が高い企業ほど業績の伸びが乏しかったことにも現れている。

 海外進出企業の業績を判断する指標として「円建てダウ平均」を考慮することも一考かもしれない。