8/29に日医工(4541)がSagent社への子会社を通じたTOBが成立したこが公表された。
1株あたり21.75米ドルでの実質100%買取が成立する見込みである。
TOBに対する応募は発行済株式総数の86%であり下限の50%を超えたため成立となった。
買付け後は買収子会社とSagent社の合併により、日医工の完全子会社となる。
Sagent社株の取得株式数は32,992千株で取得対価は734百万米ドル(102円/ドルレートで75十億円)に上る。
買収されたSagent社は2006年設立の注射剤を中心とした ジェネリック医薬品の製造販売を行う会社である。
直近3ヵ年の財務内容は以下の通りである。
売上高は増加傾向にあるが、純利益は減損処理を除いても横ばいである。
なお、直近の純資産は25十億円であるのに対し、買収価格は75十億円であるため50十億円の「のれん」が計上されることになる。
日医工の会計方針によると「のれん」の償却期間は10年定額となっているため毎年50÷10年=5十億円の償却負担が生じることとなる。
のれんのPPAによって「販売権」等の無形固定資産が計上されるかもしれないが、販売権も10年定額償却であり損益インパクトはのれんと同様である。
損益計算書上はSagent社単独で5十億円の営業利益計上がなければ買収後10年間は損益へのマイナスインパクトとなってしまう。
では、Sagent社買収までの日医工の財務内容はどうであるか。
1株あたり21.75米ドルでの実質100%買取が成立する見込みである。
TOBに対する応募は発行済株式総数の86%であり下限の50%を超えたため成立となった。
買付け後は買収子会社とSagent社の合併により、日医工の完全子会社となる。
Sagent社株の取得株式数は32,992千株で取得対価は734百万米ドル(102円/ドルレートで75十億円)に上る。
買収されたSagent社は2006年設立の注射剤を中心とした ジェネリック医薬品の製造販売を行う会社である。
直近3ヵ年の財務内容は以下の通りである。
2013/12期
|
2014/12期
|
2015/12期
|
|
売上高
|
24
|
29
|
32
|
純利益
|
3
|
4
|
▲2(減損処理5あり)
|
総資産
|
31
|
38
|
35
|
純資産
|
24
|
27
|
25
|
単位:十億円 円換算(1ドル=100円)
売上高は増加傾向にあるが、純利益は減損処理を除いても横ばいである。
なお、直近の純資産は25十億円であるのに対し、買収価格は75十億円であるため50十億円の「のれん」が計上されることになる。
日医工の会計方針によると「のれん」の償却期間は10年定額となっているため毎年50÷10年=5十億円の償却負担が生じることとなる。
のれんのPPAによって「販売権」等の無形固定資産が計上されるかもしれないが、販売権も10年定額償却であり損益インパクトはのれんと同様である。
損益計算書上はSagent社単独で5十億円の営業利益計上がなければ買収後10年間は損益へのマイナスインパクトとなってしまう。
では、Sagent社買収までの日医工の財務内容はどうであるか。
2014/3期
|
2015/3期
|
2016/3期
|
2016/6期(1Q)
|
2017/3期予想
|
|
売上高
|
104
|
127
|
144
|
38(進捗24%)
|
159
|
経常利益
|
7
|
10
|
12
|
3(進捗21%)
|
14
|
親会社株主利益
|
5
|
7
|
11
|
2
|
9
|
総資産
|
129
|
140
|
161
|
156
|
-
|
純資産
|
66
|
74
|
83
|
77
|
-
|
過去3ヵ年および今期予想では増収増益が継続する見込みである。
【買収インパクト】
Sagent社買収の貸借対照表に与えるインパクトであるが、直近純資産が77十億円であることから買収額75十億円はほぼ純資産と同額の投資となる。
なお、買収資金は自己資金+借入金とのことであるが、2016/6時点における現預金は18十億円であり、借入等のなんらかの資金調達が必要である。
損益に与えるインパクトはのれん償却負担が年5十億円あるが、Sagent社計上の利益は寄与するためSagent社の業績次第である。
Sagent買収前の日医工は単一セグメントであり売上の大部分(90%以上)は国内向けであり、有形固定資産の9割以上は国内にあった。
また、主要な売上先(2016/3期)は㈱メディセオ35十億円、㈱スズケン26十億円、アルフレッサ㈱20十億円など国内医療関連卸が中心である。
買収後はSagent社の直近期売上が32十億円あるため海外依存度が10%を越える可能性もある。
当該買収は日医工にとっては規模が大きく、中期経営計画の重要な意思決定にもなり今後の業績への寄与は注目すべきである。
【日医工社の過去の資本政策】
2014年1月にコミットメント型ライツ・オファリング(上場型新株予約権の無償割当て)を行い発行済株式総数が19,933千株、資本金及び資本準備金がそれぞれ6,418百万円増加し発行済株式数は60,662千株となっている。
【株価の推移】
日医工の株価について業績は堅調であるものの2015年7月末の4,265円をピークに現在は2,000円弱まで落ち込んでいる。
【同業他社との株価水準比較】
同業のジェネリック銘柄の株価は以下の通りである。(数値は8/29現在)
日本ケミファ(4539)
|
東和薬品(4553)
|
富士製薬工業(4554)
|
沢井製薬(4555)
|
日医工(4541)
|
|
時価総額(十億円)
|
19
|
68
|
37
|
259
|
109
|
直近純資産(十億円)
|
16
|
69
|
29
|
128
|
77
|
今期予想経常利益(十億円/前期比)
|
2.7
(▲8.3)
|
10.4
(+1.9)
|
3.4
(+10.7)
|
24.7
(+7.3)
|
14.2
(+15.5)
|
今期予想最終利益(十億円/前期比)
|
1.85
(▲5.7)
|
7.5
(▲3.1)
|
2.2
(+6.6)
|
18.5
(+7.8)
|
9
(▲18.4)
|
PER(予想)
|
10.3
|
9.1
|
16.8
|
14
|
12.1
|
PBR
|
1.2
|
1.0
|
1.3
|
2.0
|
1.4
|
PER予想、PBRともに東和薬品(4553)が割安である。
PER予想では富士製薬工業(4554)が16.8と最も割高であり、PBRでは沢井製薬(4555)が2.0と最も割高である。