ワイエイシイ(6298)によるミユキエレックス株の取得

2016/08/30

企業分析

 ワイエイシイ(6298)は医療分野への新たな進出を目的として通信機器、監視システム機器医療用機器、電子部品の販売を行うミユキエレックス株式会社の株式を100%取得することを公表した。

 また、社名もワイエイシイエレックス株式会社へ変更し名実ともに新事業へ進出意気込みである。

 買収されるミユキエレックスは東洋紡(3101)の100%孫会社である。

 ミユキエレックスの財務数値の推移は以下の通りである。


単位:百万円
H26/3
H27/3
H28/3
売上高
3,138
3,002
3,123
純利益
21
7
44
総資産
2,314
1,803
2,012
純資産
278
301
327


 売上高、利益ともに堅調に推移し、純資産も徐々に積みあがっている。

 ワイエイシイによる買収金額は335百万円であり、ミユキエレックスのほぼ純資産見合であるためのれんは多額に生じないと見込める。

 ミユキエレックスの直近3期間の最終利益の平均は24百万円であり、当該利益を前提とした買収PERは335百万円÷24百万円=14倍となる。


 買収するワイエイシイ(6298)の財務内容は以下の通りである。


【決算推移(今期予想含む)】

単位:百万円
H26/3
H27/3
H28/3
H28/6(1Q)
H29/3期予想
売上高
14,527
16,622
25,545
7,711
売上原価も増加し粗利では前年同期比横ばい
30,000
経常利益
546
966
546
為替差損140
貸引繰入156
税金費用463
152
為替差損192
1,350
親会社株主利益
2,229
639
28
185
890
総資産
22,587
24,707
34,760
35,981
純資産
13,191
13,767
13,498
226は非支配株主持分
13,131
自己資本比率36

【ミユキエレックス買収の影響】

 買収額335百万円に対し、現預金は6,894百万円(6/30時点)保有しているため有利子負債が13,014百万円と大きいとしても賄える財務内容ではある。



【セグメント】

 「ディスプレイ関連事業」:液晶関連、精密熱処理関連製品の製造、販売及びサービス
 「メカトロニクス関連事業」:ハードディスク関連、半導体関連、省エネ・クリーンエネルギー関連、太陽電池関連、工業計器、制御通信、レーザプロセス、精密切断等の製品の製造、販売及びサービス
 「クリーニング関連その他事業」:クリーニング関連、金型加熱等の製品の製造、販売及びサービス


単位:百万円
ディスプレイ
メカトロニクス
クリーニング
売上
14,174
9,702
1,668
セグメント利益
304(21%)
924(65%)
194(14%)
人員(H28/3)
147
523
45
研究開発費(H28/3)
34百万円
243百万円
50百万円


売上に占める割合はディスプレイ事業が大きいが、利益の割合ではメカトロニクスが全体の65%を占める。

研究開発もメカトロニクスへ集中している。

また、海外向売上が53%と高くほぼアジア向けであり、ディスプレイ事業での割合が高いようである。


【その他の会社情報】

 提出会社 197人 平均年齢 45.2歳、平均給与 5,450千円 H28/3時点

 グループでは3期連続営業CFマイナス、また親会社は前期から今期にかけて営業損失連続計上のため継続性の前提の注記あり


【株価の水準】

 時価総額 13,215百万円(8/29時点)

 PER(予想) 14.8倍

 PBR 1.0倍

 1Q実績の親会社帰属利益が▲185百万円であることを考えると年間予想890百万円に向かって2~4Qでどれだけ挽回できるかにかかっていると思われる。