IPO予定のリネットジャパングループ(3556)の財務分析と初値予想

2016/11/19

IPO

【事業】

設立:2000年7月
本社所在地:愛知県大府市
事業内容:「NET OFF」「ReNet」サイトを利用したネットリユース事業とネットリサイクル事業
業種分類:小売業
決算:9月
上場市場:マザーズ
監査人:三優監査法人
主幹事証券:SBI証券
社長:黒田武志氏、昭和40年うまれ、平成1年にトヨタ自動車入社、平成12年に当社設立

(事業内容)
NETOFFブランドで展開するネットリユース事業と、宅配便による使用済小型家電の回収で国の許認可を取得し参入したReNetブランドで展開するネットリサイクル事業を実施。


(関係会社)

リネットジャパン、100%保有、使用済小型電子機器など再資源化製品のリサイクル業務
ネットオフ・ソーシャル、100%保有、ソーシャルマーケティング及び広告代理事業

(上場時調達資金使途)

IPO実施時に調達する約250百万円の資金使途はサイトリニューアル等の設備投資200百万円等である。


詳細な数値分析はこちら。


【損益】

(売上・売上総利益)

H27.9期、H28.9期ともに前期比で売上はぞれぞれ6%、16%拡大している。
粗利率は73~74%で推移しているため売上総利益額も7%、14%と前年比増加した。

ネットリユース事業、ネットリサイクル事業ともに売上増加しているが、ネットリサイクル事業の売上の増加がH28.9期は大きかった。

(販管費)

売上の増加、粗利の増加に伴い販管費も増加しているものの売上増加率、粗利増加率とほぼ同率の上昇に留まっている。
販管費の主なものはH28.9期で広告宣伝費495百万円、支払手数料546百万円、荷造運賃328百万円、給与手当531百万円である。

(営業損益)

上記のとおり、安定した売上、粗利の増加があり、販管費の増加は粗利増加割合に準じた金額となっているため営業利益額も安定して増加傾向にある。
営業利益率はH28.9期は4.0%にまで上昇した。

ネットリサイクル事業はH28.9期に売上は大幅増加したものの、営業赤字金額は72百万円と前年比で大幅な改善とはならなかった。

(最終利益)
 
営業外特損に関してH28.9期は補助金収入15百万円を計上、その他大きな金額はない。
繰延税金資産を計上していないため、税金費用負担率が低い点は留意すべきである。
繰越欠損金も回収してきており、適正税率による最終利益額は減少する見込みとなる。

【キャッシュフロー】

(営業キャッシュフロー)

毎期安定して営業CFを獲得しているが、H28.9期は利益金額と比較して営業CFは少なめであった。
売上債権の増加72百万円、棚卸資産の増加17百万円が主な理由である。

(投資キャッシュフロー)

H28.9期は有形固定資産取得16百万円、無形固定資産取得49百万円等により投資CFはマイナス73百万円となった。
H27.9期に大幅なプラスとなっている要因は役員貸付の回収が243百万円あるためである。

(財務キャッシュフロー)  

借入金、社債の増減が財務CFとして計上されている。

【財政状態】
 
(財務諸表の特徴)

売上債権、在庫が多く、現金仕入が多いためであろうか仕入債務が少ないため必要となる運転資金が比較的多い。
直近期であるH28.9期においても短期有利子負債が457百万円計上されている。

(流動資産・負債)

H27.9期、H28.9期と流動資産は増加傾向にあり、流動負債は減少傾向にある。
つまり、現預金短期借入意外の純資産が増加傾向にある。
直近期のH28.9期の売掛金は232百万円、商品は206百万円で買掛金は19 百万円にすぎないため多額の運転資金が必要となっている。
一方、流動比率は上昇傾向にあり、H28.9期は205%まで上昇しており、短期資金繰りは問題ない。

(固定資産)

H28.9の固定資産276百万円のうち、ソフトゥエア87百万円、建物等71百万円が大きい。
また、H27.9期に前期比239百万円のマイナスとなっているが、役員に対する長期貸付金243百万円を回収したためである。
H27.9時点での主要な資産として第一商品センター簿価総額157百万円、第二商品センター簿価総額25百万円の計上があるが、両者ともにネットリユース事業にかかるものである。

(固定負債)

固定負債の大部分が社債、長期借入金の有利子負債である。

(自己資本、有利子負債) 

毎期自己資本は増加傾向にあり、H28.9期は457百万円までつみあがった。
また、有利子負債は横ばいで推移しているため有利子負債比率は113%まで下がっている。


【株価】

(将来見込み)

リユース事業自体には目新しさはないが、ネットを中心に買取を行なう点、在庫管理にトヨタのかんばん方式を採用(社長がトヨタ出身)している点は面白い。
過去3期間の業績も順調であり、ネットリサイクル事業で利益を出せるようになればさらに業績も拡大すると見られる。


(PER指標)

想定発行価格を前提としたPERは直近決算実績値で21倍である。
しかし、税金資産を認識しておらず税前利益に対する税金費用の割合が他の会社よりも低いためその分を考慮するとPERは高くなる。
マザーズ小売業の平均PERは62.6倍と非常に高いため、この指標と比較すると割安と判断できる。

(PBR指標)

想定発行価格による増資を前提としたPBRは4.5倍である。
マザーズ小売業の平均PBRは6.3倍と非常に高いため、この指標と比較するとPERと同様に割安と判断できる。

(その他)

 市場別、業種別PER、PBRの一覧はこちら。



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リネットジャパングループ(3556)

(単位:千円) H26.9 H27.9 増減 H28.9 進捗/増減
売上高 3,039,853 3,226,281 186,428 3,729,330 116%
年間予想 3,729,330 100%
売上総利益 2,236,937 2,386,918 149,981 2,711,602 114%
販管費 2,131,808 2,272,438 140,630 2,560,664 113%
営業利益 105,129 114,480 9,351 150,938 132%
年間予想 150,938 100%
減価償却費 47,907 44,602 △3,305 48,206 108%
 EBITDA 153,036 159,082 6,046 199,144 125%
支配株主帰属利益 96,050 95,800 △250 149,270 156%
年間予想 149,270 100%
※年間予想はQ数値を年次に単純換算した金額
H26.9 H27.9 H28.9 予想
売上総利益率 73.6% 74.0% 72.7%
営業利益率 3.5% 3.5% 4.0% 4.0%
支配株主帰属利益率 3.2% 3.0% 4.0% 4.0%
リネットジャパングループ(3556)のセグメント情報
売上(千円) H26.9 H27.9 増減 H28.9 進捗/増減
ネットリユース 3,038,874 3,183,053 144,179 3,504,012 110%
ネットリサイクル 979 43,228 42,249 225,318 521%
営業利益(千円) H26.9 H27.9 増減 H28.9 進捗/増減
ネットリユース 108,377 194,849 86,472 223,179 115%
ネットリサイクル △3,248 △80,369 △77,121 △72,241 90%
リネットジャパングループ(3556)のキャッシュフロー
H26.9 H27.9 増減 H28.9 増減
営業CF 144,334 110,192 △34,142 78,506 71%
投資CF △36,511 210,132 246,643 △73,483 -35%
 フリーCF 107,823 320,324 212,501 5,023 2%
財務CF △223,438 1,327 224,765 △30,942 -2332%
リネットジャパングループ(3556)の財政状態
H26.9 H27.9 増減 H28.9 増減
現預金等 135,404 447,055 311,651 421,126 △25,929
流動資産 511,121 873,826 362,705 935,573 61,747
流動負債 558,151 482,869 △75,282 455,493 △27,376
 流動資産ー流動負債 △47,030 390,957 437,987 480,080 89,123
 うち現金短借以外 110,228 129,680 19,452 274,501 144,821
有利子負債(流動) 292,662 185,778 △106,884 215,547 29,769
有利子負債(固定) 282,995 295,648 12,653 299,598 3,950
 有利子負債計 575,657 481,426 △94,231 515,145 33,719
ネット有利子負債 440,253 34,371 △405,882 94,019 59,648
固定資産 472,442 233,243 △239,199 276,670 43,427
固定負債 300,952 315,940 14,988 299,219 △16,721
純資産 124,460 308,260 183,800 457,531 149,271
非支配株主持分 0 0 0 0 0
親会社所有者持分 124,460 308,260 183,800 457,531 149,271
流動比率 92% 181% 205%
固定長期適合率 111% 37% 37%
自己資本比率 13% 28% 38%
有利子負債比率 463% 156% 113%
リネットジャパングループ(3556)の利益指標
H26.9 H27.9 H28.9 予想
ROE 77.2% 31.1% 21.1% 21.1%
ROA 9.8% 8.7% 10.2% 10.2%
リネットジャパングループ(3556)の株式数,時価総額の見込み
上場前発行済株式 1,604,900 自己株式除く
上場時発行済株式 167,500
引受価額 1,490.4
上場時調達見込額 249,642 千円
調達後親会社所有者持分 707,173
直近株価 1,620 想定発行価格
時価総額 2,871,288
非支配株主持分 0
純有利子負債 △155,623
事業価値 2,715,665
潜在株 178,300 潜在株割合 10.1%
リネットジャパングループ(3556)の株価指標
指標 H26.9 H27.9 H28.9 予想
EBIT倍率 25.8 23.7 18.0 18.0
EBITDA倍率 17.7 17.1 13.6
営業利益PER 30.1 27.6 20.9 20.9
PER 32.9 33.0 21.2 21.2
PBR NA NA 4.5
リネットジャパングループ(3556)の株主構成
政府 0%
金融機関 2%
金融商品取引業者 0%
その他法人 20%
外国法人等 1%
個人 78%
*黒田武志(社長)53%
リネットジャパングループ(3556)における従業員の状況
H28/10
連結人員 60
親会社単体人員 60
親会社単体平均年齢 39.4
親会社単体平均年収 4,081 千円