IPO予定のSYSホールディングス(3988)の財務分析と初値予想

2017/05/27

IPO

【想定発行価格の印象】
:割安

【事業】

設立:2013年8月
本社所在地:愛知県名古屋市東区代官町
事業内容:ITシステム開発及びITソリューション・サービスの提供を中核とする総合情報サービス事業
業種分類:情報通信業
決算:7月
上場市場:JASDAQスタンダード
監査人:トーマツ
主幹事証券:東海東京証券
社長:鈴木裕紀、昭和39年生まれ、シスコンを経て平成3年に当社設立


【直近5年の業績推移】

純粋持株会社+国内子会社5社+海外子会社1社で連結グループを組成。

売上高(単体):26.7期が232百万円、H28.7期が360百万円と増収傾向。

売上高(連結):H27.7期が3,704百万円、H28.7期が3,755百万円とほぼ横ばい。連短倍率は高い。

経常利益(単体):26.7期が86百万円、H28.7期が189百万円と急拡大。

経常利益(連結):H27.7期が62百万円、H28.7期が173百万円と急拡大。単体数値よりも低水準。子会社赤字の可能性あり。

最終利益は(単体):26.7期が20百万円、H28.7期が154百万円と急拡大、経常利益と同様の推移。

最終利益(連結):H27.7期が37百万円、H28.7期が144百万円と急拡大。単体数値よりも低水準。

総資産(単体):26.7期が1,361百万円、H28.7期が1,393百万円とほぼ横ばい

総資産(連結):H27.7期が1,977百万円、H28.7期が1,893百万円と規模縮小。

純資産(単体):26.7期が802百万円、H28.7期が910百万円と拡大。

純資産(連結):H27.7期が707百万円、H28.7期が854百万円と拡大。しかし、単体純資産よりも少額。

従業員数(単体):26.7期が17人、H28.7期が19人と横ばい。

従業員数(連結):27.7期が604人、H28.7期が617人とほぼ横ばい。親会社はホールディング会社であり人員のほどんどは子会社所属。


【実施する事業】

①グローバル製造業ソリューション
(直近期 受注高1,716百万円、受注残254百万円/直近四半期 受注高891百万円、受注残231百万円)

自動車、重工業、工作機械、鉄鋼、搬送機等の関連企業を主要顧客として総合情報サービスを提供。
自動車関連顧客については、燃費・環境保全への対応のため、需要が高まっている車載ECU(電子制御ユニット)関連の開発や検証等を実施。

②社会情報インフラ・ソリューション
(直近期 受注高1,917百万円、受注残410百万円/直近四半期 受注高954百万円、受注残406百万円)
電力・ガス等のエネルギー、生命保険・クレジットカード、リース・証券等の金融、印刷帳票、鉄道、不動産関連の企業や官公庁・自治体等を主要顧客として、基幹システムの開発やITインフラの構
築、運用等の総合情報サービスを提供

②モバイルソリューション
(直近期 受注高120百万円、受注残32百万円/直近四半期 受注高38百万円、受注残10百万円)
法人向けのモバイル・アプリケーション等によるサービスを提供。
iContact+®Office、マップP+Powerd by NAVITIME、Quick Safetyを取扱。


【損益(直近Q+過去2期)】


(売上、売上総利益)

売上:直近通年期前期比1%増、直近四半期単純年換算前期比3%増と売上高はほぼ横ばい。

粗利率:前々期18.5%、前期21.8%、直近四半期21.6%と20%前後でほぼ横ばい。
なお、前々期は売上原価に受注損失引当金繰入が71百万円計上されている。

売上総利益:直近通年期前期比20%増と粗利率改善により増加、直近四半期単純年換算前期比2%増とほぼ横ばい。


(販管費、営業損益)

販管費:直近通年期前期比1%減少、直近四半期単純年換算前期比2%増とほぼ横ばい。
直近四半期販管費324百万円のうち99百万円は給与である。

営業利益:直近通年期前期比425%増と比較数値が低かったことと、粗利額増加、販管費削減により大幅な増加、直近四半期単純年換算前期比8%増とほぼ横ばい。


(最終利益)

「最終利益÷営業利益」:前々期113%、前期83%、直近四半期90%と高水準である。
評価性引当額の減少により税金費用が少なくなっていることが要因である。


【財政状態】
 

(財務諸表の特徴)

ネットキャッシュ640百万円、自己資本比率50%、有利子負債比率42%と財務内容は安定している。

繰延税金資産は一時差異のうち2~3割程度しか計上していない。


(ROAとROE)

直近決算期であるH29.1期の純資産と想定発行価格による増資と直近決算期の利益を前提としたROA、ROEはそれぞれ3.4%、4.3%であり収益性は低い。



(IPO調達資金が自己資本へ与える影響)

想定発行価格と公募株式数に基づく調達資金は約6億円であり、直近純資産に対して62%の自己資本増加となる。



【株価】


(将来見込み)

事業内容は長期的に安定することが期待できるが、足元の業績は横ばいでありIPO後の戦略如何で拡大することも考えらる。


(PER指標)

直近決算期であるH29.1期の利益を単純年換算した利益と想定発行価格を前提としたPER(希薄化株式考慮済)は19.5倍である。


(PBR指標)

直近決算期であるH29.1期の純資産と想定発行価格による増資を前提としたPBRは2.2倍である。


(その他)

想定発行価格による増資とH29.1期の単純年間換算営業利益に基づいたEBIT倍率は11.2倍であり、EBITDA倍率は9.4倍である。

 

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SYSホールディングス(3988)
(単位:千円) H27.7 H28.7 増減 H29.1 進捗/増減
売上高 3,704,817 3,755,019 50,202 1,933,645 51%
年間予想 3,867,290 50%
売上総利益 683,723 818,487 134,764 418,137 51%
販管費 650,790 645,524 △5,266 324,836 50%
営業利益 32,933 172,963 140,030 93,301 54%
年間予想 186,602 50%
減価償却費 34,711 36,895 2,184 17,578 48%
 EBITDA 67,644 209,858 142,214 110,879 53%
支配株主帰属利益 37,373 144,263 106,890 84,225 58%
年間予想 168,450 50%
簡易営業キャッシュフロー 72,084 181,158 109,074 101,803
年間予想 203,606
※年間予想はQ数値を年次に単純換算した金額
H27.7 H28.7 H29.1 予想
売上総利益率 18.5% 21.8% 21.6%
営業利益率 0.9% 4.6% 4.8% 4.8%
支配株主帰属利益率 1.0% 3.8% 4.4% 4.4%
最終利益÷営業利益 113.5% 83.4% 90.3% 90.3%
SYSホールディングス(3988)の財政状態
H29.1
現預金等 1,032,591
流動資産 1,664,079
流動負債 792,881
 流動資産ー流動負債 871,198
 うち現金短借以外 148,599
有利子負債(流動) 309,992
有利子負債(固定) 81,709
 有利子負債計 391,701
ネット有利子負債 △640,890
固定資産 205,051
固定負債 140,101
純資産 936,148
非支配株主持分 6,495
親会社所有者持分 929,653
流動比率 210%
固定長期適合率 19%
自己資本比率 50%
有利子負債比率 42%
SYSホールディングス(3988)の利益指標
H29.1 予想
ROE 11.2% 11.2%
ROA 6.9% 6.9%
SYSホールディングス(3988)の株式数,時価総額の見込み
上場前発行済株式 1,041,000 自己株式除く
うち売出株数 100,000 当選枚数
上場時発行株式 245,000 オーバーアロットメント含 3,450
引受価額 2,355.2
上場時調達見込額 577,024 千円
調達後親会社所有者持分 1,506,677
上場時増資額/直近純資産 62%
直近株価 2,560 想定発行価格
時価総額 3,292,160 千円
非支配株主持分 6,495
純有利子負債 △1,217,914
事業価値 2,080,741
潜在株 0 潜在株割合 0.0%
SYSホールディングス(3988)の株価指標
指標 H29.1 予想
EBIT倍率 11.2 11.2
EBITDA倍率 9.4
営業利益PER 17.6 17.6
PER 19.5 19.5
PBR 2.2
SYSホールディングス(3988)における従業員の状況
H29.4
連結人員 555
親会社単体人員 19
親会社単体平均年齢 33
親会社単体平均年収 3,798 千円
一人あたり年間粗利(連結) 1,507 千円
一人あたり年間販管費(連結) 1,171 千円