IPO予定のツナグ・ソリューションズ (6551)の財務分析と初値予想

2017/05/26

IPO

【想定発行価格の印象】:やや安い

【事業】

設立:2007年2月
本社所在地:東京都千代田区有楽町1-1-3
事業内容:アルバイト・パートを中心とした採用コンサルティング、採用活動支援サービス、求人情報メディアの企画・運営等
業種分類:サービス業
決算:9月
上場市場:マザーズ
監査人:新日本監査法人
主幹事証券:野村證券
社長:米田光宏、昭和44年うまれ、リクルートフロムエー出身


【過去の業績推移】

直近5年(単体)の推移において売上高は毎年増収を達成している。
H24.9期の売上が1,124百万円であったが、H28.9期は3,177百万円まで急増している。
連結決算はH27.9期とH28.9期であるが売上は3,127百万円から5,087百万円へ急増している。

経常利益(単体)は増加傾向であるものの売上ほどの伸びはなく、H24.9期で49百万円であったものがH28.9期は96百万円である。なお、H26.9期は1億円を上回り138百万円を達成している。
連結経常利益はH28.9期は224百万円を計上しており、前期比プラス161百万円と急拡大している。

最終利益も経常利益と同様な動きとなっているが、「最終利益÷経常利益」の割合が低い点が特徴的である。


総資産(単体)は5年間で380百万円から1,680百万円まで拡大した。連結総資産は2,077百万円に上る。

自己資本比率は20%前後で推移している。

従業員数(単体)は5年間で48人から181人(連結262人)まで拡大した。



【実施する事業】

①人材サービス事業(直近29.3期2Q 売上2,362百万円、営業利益99百万円)

アウトソーシング及び業務代行を実施。

アウトソーシング領域は、全国に多店舗展開する小売業・飲食業等の大手企業におけるアルバイト・パートのRPO(Recruitment ProcessOutsourcing 採用活動代行)サービスを実施。
『TSUNAgram』というビックデータを利用した社内システムが特徴的である。

業務代行領域は、顧客企業の年次総会や優秀社員表彰式等のイベントにおいて、企画から運営までを代行する。


②メディアサービス事業(直近29.3期2Q 売上744百万円、営業利益90百万円)

インターネット上にて株式会社インディバルの持つWebマッチング技術を活かし、アルバイト・パートを中心とした求人情報メディアの運営を実施。

「ショットワークス」「シフトワークス」「ダイレクトマッチング」等を運営。



③リテールサービス事業(直近29.3期2Q 売上413百万円、営業利益▲15百万円)

株式会社チャンスクリエイターが株式会社セブン-イレブン・ジャパンのコンビニエンスストアを現在3店舗運営している。
「研修店舗を兼ねた実店舗運営」の位置づけもあり。




【損益(直近)】


(売上、売上総利益)

直近3ヵ年の売上は増加傾向にあり、H28.9期は前期比63%増加、H29.3期単純年間残では前期比34%の増加を達成している。

売上のうちリクルートジョブズ向けが全体の10%超を占めている。

粗利率は40%前後で推移しているため、基本的に売上高に連動している。


(販管費、営業損益)

粗利の増加にともなって販管費も増加傾向にあるが、粗利の増加額ほどの増加はないため営業利益は毎期増加傾向にある。

H29.3期2Qの販管費1,123百万円のうち、給与が378百万円、賞与が52百万円を占める。

ソフトウェア、のれんは5年償却のため比較的償却費負担が大きい印象である。


(最終利益)

「最終利益÷営業利益」比率は50%以下と低く、税金費用負担が重い。

法人税の負担率が高いのは連結上ののれんの償却期間が5年と短く、のれんの費割合が大きいためである。



【財政状態】
 

(財務諸表の特徴)

自己資本比率は24%、有利子負債比率は180%と負債は比較的重い。

繰延税金資産はぼぼフルで計上している。


(ROAとROE)

直近決算期であるH29.3期の純資産と想定発行価格による増資と直近決算期の利益を前提としたROA、ROEはそれぞれ6.3%、15.5%である。



(IPO調達資金が自己資本へ与える影響)

想定発行価格と公募株式数に基づく調達資金は611百万円であり、直近純資産に対して120%の自己資本増加となる。



【株価】


(将来見込み)

のれんの5年償却後でも増収増益は継続しており、ROEは15%超、PERは28.8倍の水準であるため高くはない印象である。


(PER指標)

直近決算期であるH29.3期の利益を単純年換算した利益と想定発行価格を前提としたPER(希薄化株式考慮済)は28.8倍である。


(PBR指標)

直近決算期であるH29.3期の純資産と想定発行価格による増資を前提としたPBRは4.5倍である。


(その他)

想定発行価格による増資とH29.3期の単純年間換算営業利益に基づいたEBIT倍率は11.9倍であり、EBITDA倍率は8.7倍である。

 

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ツナグ・ソリューションズ (6551)
(単位:千円) H27.9 H28.9 増減 H29.3 進捗/増減
売上高 3,127,016 5,087,301 1,960,285 3,409,369 67%
年間予想 6,818,738 50%
売上総利益 1,188,824 2,226,070 1,037,246 1,309,867 59%
販管費 1,115,195 1,995,737 880,542 1,123,730 56%
営業利益 73,629 230,333 156,704 186,137 81%
年間予想 372,274 50%
減価償却費 75,283 139,527 64,244 68,190 49%
 EBITDA 148,912 369,860 220,948 254,327 69%
支配株主帰属利益 14,363 107,509 93,146 86,855 81%
年間予想 173,710 50%
簡易営業キャッシュフロー 89,646 247,036 157,390 155,045
年間予想 310,090
※年間予想はQ数値を年次に単純換算した金額
H27.9 H28.9 H29.3 予想
売上総利益率 38.0% 43.8% 38.4%
営業利益率 2.4% 4.5% 5.5% 5.5%
支配株主帰属利益率 0.5% 2.1% 2.5% 2.5%
最終利益÷営業利益 19.5% 46.7% 46.7% 46.7%
ツナグ・ソリューションズ (6551)の財政状態
H29.3
現預金等 611,353
流動資産 1,428,527
流動負債 1,271,583
 流動資産ー流動負債 156,944
 うち現金短借以外 99,167
有利子負債(流動) 553,576
有利子負債(固定) 364,328
 有利子負債計 917,904
ネット有利子負債 306,551
固定資産 725,445
固定負債 372,101
純資産 510,288
非支配株主持分 0
親会社所有者持分 510,288
流動比率 112%
固定長期適合率 82%
自己資本比率 24%
有利子負債比率 180%
ツナグ・ソリューションズ (6551)の利益指標
H29.3 予想
ROE 15.5% 15.5%
ROA 6.3% 6.3%
ツナグ・ソリューションズ (6551)の株式数,時価総額の見込み
上場前発行済株式 2,070,000 自己株式除く
うち売出株数 180,000 当選枚数
上場時発行株式 337,500 オーバーアロットメント含 5,175
引受価額 1,812.4
上場時調達見込額 611,685 千円
調達後親会社所有者持分 1,121,973
上場時増資額/直近純資産 120%
直近株価 1,970 想定発行価格
時価総額 4,742,775 千円
非支配株主持分 0
純有利子負債 △305,134
事業価値 4,437,641
潜在株 134,850 潜在株割合 5.6%
ツナグ・ソリューションズ (6551)の株価指標
指標 H29.3 予想
EBIT倍率 11.9 11.9
EBITDA倍率 8.7
営業利益PER 13.5 13.5
PER 28.8 28.8
PBR 4.5
ツナグ・ソリューションズ (6551)における従業員の状況
H29.4
連結人員 280
親会社単体人員 181
親会社単体平均年齢 30.6
親会社単体平均年収 3,865 千円
一人あたり年間粗利(連結) 9,356 千円
一人あたり年間販管費(連結) 8,027 千円