IPO新規上場シルバーライフ(9262)の財務分析と初値予想

2017/09/21

IPO

【想定発行価格の印象】
:業容拡大中であり割安

【法人概要】
設立:2007年10月
本社所在地:東京都新宿区西新宿
事業内容:高齢者向け配食サービス
業種分類:小売
決算:7月
上場市場:マザーズ
監査人:太陽有限責任監査法人
主幹事証券:みずほ証券
社長:昭和49年生まれ、清水貴久、警視庁、ベンチャーリンク等を経て平成21年9月に当社入社


【実施する事業】

高齢者向け配食サービスのフランチャイズ本部の運営及びフランチャイズ加盟店等への調理済み食材の販売を実施。

売上の約8割はFC向けである。

FC加盟店ブランドは以下の2つ。

①まごころ弁当
②配食のふれ愛


食材の供給は自社工場(関東工場、H25.2~)と仕入先工場(アイサービス社など)から実施している。



【損益(過去2期+直近)】


(売上、売上総利益)

売上:前期通年期前期比18%増、直近通年前期比26%増

安定して増収を維持しており、伸びは拡大している。
なお、H29.4期3Q時点での売上高の内訳はFC加盟店向けが78%、高齢者施設向けが14%、OEMが8%とFC加盟店向けの売上割合が大きい。

粗利率:前々期24.9%、前期24.7%、当期26.3%

25%程度で安定しているが、直近のH29.7期はやや悪化した。

売上総利益:直近通年期前期比17%増、直近四半期単純年換算前期比34%増

直近は粗利率は悪化したものの、粗利金額は売上の拡大に伴い増加傾向にある。


H29.7期の製造費用1,551百万円のうち、材料費が66%と大部分を占め労務費は16%を占めるのみである。
また、売上原価として計上されているのは上記製造費用だけでなく商品仕入高として2,322百万円が計上されており外部からの仕入依存度も高めであることが分かる。


(販管費、営業損益)

販管費:前期通年期前期比9%増、直近通年前期比37%増

H29.7期販管費902百万円のうち、給与手当159百万円、運賃160百万円、広告費150百万円が主な内訳である。
H28.7期と比べて給与、運賃、広告費が拡大したため販管費総額も増加した。

営業利益:前期通年期前期比34%増、直近通年前期比29%増

販管費は増加しているものの、売上増加による粗利増加が大きく営業利益も大幅な増加傾向にある。


(最終利益)

「最終利益÷営業利益」:前々期76.1%、前期81.4%、直近四半期79.4%と75~80%程度で安定している。

毎期、営業外収益の内訳で受取保証金が計上されているが、H29.7期の受取保証金は48百万円であった。


【財政状態】
 

(財務諸表の特徴)

純キャッシュ(ipo資金受入後)499百万円、自己資本比率56%、有利子負債比率19%と固定資産を保有している割には財務内容は良好である。

H29.7期における固定資産残高が702百万円と大きいが、群馬県邑楽郡邑楽町にある食品製造を目的とした関東工場における建物、機械装置が大部分を占めている。

今後の設備投資計画として、第2食品製造工場10億円、冷凍物流センター3.5億円が計画されている。


繰延税金資産については全額資産計上しており、将来の課税所得獲得能力は一時差異に比して問題ない。


(資本政策)

業況急拡大しており、H27.7期の第三者割当から想定株価は20倍になっている。


(ROAとROE)

直近決算期であるH29.7期の純資産と想定発行価格による増資と直近Q決算期の年度換算利益を前提としたROA、ROEはそれぞれ10.8%、14.9%であり、資産収益性は非常に高い。



(IPO調達資金が自己資本へ与える影響)

想定発行価格と公募株式数に基づく調達資金は1,319百万円であり、直近純資産に対して109%の自己資本増加となる。



【株価】


(将来見込み)

造酒増益は継続しており、更なる設備投資による収益性改善、業容拡大も期待される。



(PER指標)

直近決算期であるH29.7期の利益と想定発行価格を前提としたPER(希薄化株式考慮済)は17.5倍である。業績を加味すると20倍を下回っており割安感はある。


(PBR指標)

直近決算期であるH29.7期の純資産と想定発行価格による増資を前提としたPBR(希薄化株式考慮済)は2.6倍である。


 

スポンサーリンク



シルバーライフ(9262)
(単位:千円) H27.7 H28.7 増減 H29.7 Q進捗
売上高 3,531,532 4,151,291 619,759 5,245,414 126%
年間予想 5,245,414 100%
売上総利益 880,907 1,026,727 145,820 1,378,031 134%
販管費 604,959 656,492 51,533 902,181 137%
営業利益 275,948 370,235 94,287 475,850 129%
年間予想 475,850 100%
減価償却費 13,772 20,192 6,420 19,686 97%
 EBITDA 289,720 390,427 100,707 495,536 127%
支配株主帰属利益 209,964 301,268 91,304 377,822 125%
年間予想 377,822 100%
簡易営業キャッシュフロー 223,736 321,460 97,724 397,508
年間予想 397,508
※年間予想はQ数値を年次に単純換算した金額
H27.7 H28.7 H29.7 予想
売上総利益率 24.9% 24.7% 26.3%
営業利益率 7.8% 8.9% 9.1% 9.1%
支配株主帰属利益率 5.9% 7.3% 7.2% 7.2%
最終利益÷営業利益 76.1% 81.4% 79.4% 79.4%
シルバーライフ(9262)の財政状態
BS項目 H29.7
現預金等 728,156
流動資産 1,463,544
流動負債 800,490
 流動資産ー流動負債 663,054
 うち現金短借以外 121,108
有利子負債(流動) 186,210
有利子負債(固定) 42,070
 有利子負債計 228,280
ネット有利子負債 △499,876
固定資産 702,707
固定負債 157,254
純資産 1,208,507
非支配株主持分 0
親会社所有者持分 1,208,507
流動比率 183%
固定長期適合率 51%
自己資本比率 56%
有利子負債比率 19%
シルバーライフ(9262)の利益指標
H28.7 H29.7 予想
ROE 11.9% 14.9% 14.9%
ROA 8.6% 10.8% 10.8%
シルバーライフ(9262)の株式数,時価総額の見込み
上場前発行済株式 2,006,000 自己株除く
うち売出株数 150,000 当選枚数
上場時発行株式 597,500 OA含む 7,475
引受価額 2,208.0
上場時調達見込額 1,319,280 千円
調達後親会社所有者持分 2,527,787
上場時増資額/直近純資産 109%
直近株価 2,400 想定発行価格
時価総額 6,248,400 千円
非支配株主持分 0
純有利子負債(ipo資金受入後) △1,819,156
事業価値 4,429,244
潜在株 147,100 5.7% ←潜在株割合
シルバーライフ(9262)の株価指標
指標 H28.7 H29.7 予想
EBIT倍率 12.0 9.3 9.3
EBITDA倍率 11.3 8.9
営業利益PER 17.8 13.9 13.9
PER 21.9 17.5 17.5
PBR 2.6
シルバーライフ(9262)における従業員の状況
H29.8
連結人員 70
親会社単体人員 70
親会社単体平均年齢 35.1
親会社単体平均年収 3,998 千円
一人あたり年間粗利(連結) 19,686 千円
一人あたり年間販管費(連結) 12,888 千円
シルバーライフ(9262)上場までの資本政策
発行日 株数 発行価格 分割考慮 割当先
設立~ 1,000 10,000 1
H27/5 99,000 100分割
H27/7 300 3,300 120 社員持ち株会
H29/3 1,905,700 20分割
IPO直前計 2,006,000
IPO時 597,500 2,400 ⇒想定発行価格
IPO後計 2,603,500 時価総額 6,248 百万円
分割日 分割数
H27/5 100
H29/3 20