ドル建て消費者物価指数(CPI)の推移

2016/08/21

経済

 日銀が政策目標としている消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率2%に関して、平成27年1月からの推移ではCPIがほぼ横ばいであり日銀政策の有効性には疑義がある。


 一方、CPIの推移をドル建てに置きなおすと円高の影響により平成27年11月からは継続して上昇傾向にある。


 平成27年11月の月次平均レート122円台から平成28年6月では105円台まで円高が進んでいるためである。


 通貨為替の国際化、自由化、投機化がすすんだ今日では日銀の政策目標が即座に為替レートに反映されてしまうために以下の悪循環によるCPI低下につながるのではないだろうか。


 つまり、日銀がCPI2%達成のためにマイナス金利政策発表→内外金利差は即座に為替レートに反映(一時的には円安となるが将来の円高前提のレート)→円高の継続→企業業績低迷、株価低迷→CPI低下という流れである。


 マイナス金利政策はCPI上昇へ働きかけるのではなく結果として将来的な円高誘導につながっているのである。


 日本にとっては金融機関からの圧力によるマイナス金利の限界もあり、アメリカにおいても利上への実行に様子見の状況が続けば金利差を前提とした円高は今後も継続することも考えられる。


 皮肉にもドル建てで見ると日本の消費者物価指数の上昇は継続しているのである。