【損益】
H28.3期は前年比でほぼ横ばいとなった。以下に記載する特殊要因を除いた営業利益についても実質的にはほぼ横ばいと考えていいであろう。
H27.3期はその他営業費用としてアクトス関連訴訟引当金繰入額を274十億円計上したため、営業利益、支配株主利益がともに大幅な赤字となった。当該損失がないと仮定した場合の営業利益は145十億円であった。
海外売上割合はH27.3期が60%、H28.3期が62%と若干の増加となった。米国向け売上が88十億円増加し514十億円(28%)となった。
固定資産の海外依存度はH28.3期において77%にのぼり海外直接投資も進んでいる。
主要な売り先は医薬品卸大手の㈱メディパルホールディングス(7459)向けであり売上の14%を占める。
H28.6期において販管費が大幅に減少している理由は内訳としてのその他営業収益が111十億円計上されているためである。長期収載品事業を武田テバ薬品株式会社へ移管した際に生じた102,899百万円を含む事業譲渡益108,726百万円を計上したことによる。
【キャッシュフロー】
営業キャッシュフローはH28.3期に前期比157十億円マイナスと大幅な減少となったが、最も大きな要因として引当金の減少290十億円があった。
アクトス訴訟填補引当金の減少が主なものである。
前年(H27.3期)にアクトス製造物責任訴訟にかかる和解金およびその他のアクトス関連訴訟にかかる損失等に対して引当金を計上していたものでありH28.3期に290十億円の支払いを行なった。
当該繰入はH27.3期にその他営業費用として274十億円損失計上していた。この引当金繰入により営業利益以下大幅な赤字に陥った。
財務キャッシュフローのうちH27.3期、H28.3期の配当金支払額はともに141十億円である。自己株取得は20十億円程度である。
また、H28.3期は150十億円の長期借入金による調達を行なった。
H28.6期において長期借入の実施200十億円あるため、財務CFはプラス112十億円となった。
【財政状態】
H28.3期は前年比で純流動資産(現金借入除く)が291十億円増加し、228十億円となった。
上記に記載のとおりアクトス和解金の支払いが290十億円あったため引当金(流動負債)が減少したためである。
ネット有利子負債も前期比188十億円増加しており、H28.3期に獲得したフリーキャッシュフローによっても和解金支払いを賄えず、借入金実施により対応したことが分かる。
また、固定資産についてH28.3期は前期比マイナス325十億円の2,450十億円となった。
のれん、無形資産が合計で238十億円減少しそれぞれ779十億円、743十億円となったことが主要因である。
償却による減少もあるが、呼吸器系疾患領域事業をアストラゼネカ社へ売却することが決定したためのれん、無形資産の一部を売却目的(流動資産)としたことも減少の理由である。
なお、IFRS採用であるためのれんの償却は行なわず減損テストを実施するのみである。
【株価】
9/7時点での時価総額は3,721十億円である。
H28.6期のROE、ROA、ROI(年度ベース補正後)が高い理由は上記の通り営業利益の中に事業譲渡益が102十億円計上されているためである。
1Q進捗率は売上総利益が前期比23%と平均レベルである。
年間の着地見込みの営業利益が135十億円であり、上記事業譲渡益102十億円を加味した金額であれば実施的には前期比大幅マイナスの見込みとなってしまう。
これは、年度予算のうちに、製品・パイプラインにかかる無形資産の減損損失30十億円を考慮したとしても保守的な計画に見える。円高要因はあっても業績予想の上方修正の可能性はあると言えるのではないか。
ただし、本業指標である売上総利益の推移としては横ばいの印象であり支配株主帰属利益の実力をH28.3期水準と仮定すると、ROE4.3%、PER42倍の水準は割高であるといわざるを得ない。
H28.3期は前年比でほぼ横ばいとなった。以下に記載する特殊要因を除いた営業利益についても実質的にはほぼ横ばいと考えていいであろう。
H27.3期はその他営業費用としてアクトス関連訴訟引当金繰入額を274十億円計上したため、営業利益、支配株主利益がともに大幅な赤字となった。当該損失がないと仮定した場合の営業利益は145十億円であった。
海外売上割合はH27.3期が60%、H28.3期が62%と若干の増加となった。米国向け売上が88十億円増加し514十億円(28%)となった。
固定資産の海外依存度はH28.3期において77%にのぼり海外直接投資も進んでいる。
主要な売り先は医薬品卸大手の㈱メディパルホールディングス(7459)向けであり売上の14%を占める。
H28.6期において販管費が大幅に減少している理由は内訳としてのその他営業収益が111十億円計上されているためである。長期収載品事業を武田テバ薬品株式会社へ移管した際に生じた102,899百万円を含む事業譲渡益108,726百万円を計上したことによる。
【キャッシュフロー】
営業キャッシュフローはH28.3期に前期比157十億円マイナスと大幅な減少となったが、最も大きな要因として引当金の減少290十億円があった。
アクトス訴訟填補引当金の減少が主なものである。
前年(H27.3期)にアクトス製造物責任訴訟にかかる和解金およびその他のアクトス関連訴訟にかかる損失等に対して引当金を計上していたものでありH28.3期に290十億円の支払いを行なった。
当該繰入はH27.3期にその他営業費用として274十億円損失計上していた。この引当金繰入により営業利益以下大幅な赤字に陥った。
財務キャッシュフローのうちH27.3期、H28.3期の配当金支払額はともに141十億円である。自己株取得は20十億円程度である。
また、H28.3期は150十億円の長期借入金による調達を行なった。
H28.6期において長期借入の実施200十億円あるため、財務CFはプラス112十億円となった。
【財政状態】
H28.3期は前年比で純流動資産(現金借入除く)が291十億円増加し、228十億円となった。
上記に記載のとおりアクトス和解金の支払いが290十億円あったため引当金(流動負債)が減少したためである。
ネット有利子負債も前期比188十億円増加しており、H28.3期に獲得したフリーキャッシュフローによっても和解金支払いを賄えず、借入金実施により対応したことが分かる。
また、固定資産についてH28.3期は前期比マイナス325十億円の2,450十億円となった。
のれん、無形資産が合計で238十億円減少しそれぞれ779十億円、743十億円となったことが主要因である。
償却による減少もあるが、呼吸器系疾患領域事業をアストラゼネカ社へ売却することが決定したためのれん、無形資産の一部を売却目的(流動資産)としたことも減少の理由である。
なお、IFRS採用であるためのれんの償却は行なわず減損テストを実施するのみである。
【株価】
9/7時点での時価総額は3,721十億円である。
H28.6期のROE、ROA、ROI(年度ベース補正後)が高い理由は上記の通り営業利益の中に事業譲渡益が102十億円計上されているためである。
1Q進捗率は売上総利益が前期比23%と平均レベルである。
年間の着地見込みの営業利益が135十億円であり、上記事業譲渡益102十億円を加味した金額であれば実施的には前期比大幅マイナスの見込みとなってしまう。
これは、年度予算のうちに、製品・パイプラインにかかる無形資産の減損損失30十億円を考慮したとしても保守的な計画に見える。円高要因はあっても業績予想の上方修正の可能性はあると言えるのではないか。
ただし、本業指標である売上総利益の推移としては横ばいの印象であり支配株主帰属利益の実力をH28.3期水準と仮定すると、ROE4.3%、PER42倍の水準は割高であるといわざるを得ない。
(単位:百万円) | H27.3 | H28.3 | 増減 | H28.6 | 進捗/増減 |
売上総利益 | 1,256,834 | 1,271,972 | 15,138 | 298,610 | 23% |
販管費 | 1,386,088 | 1,141,144 | △244,944 | 145,677 | 13% |
営業利益 | △129,254 | 130,828 | 260,082 | 152,933 | 117% |
年予想 | 135,000 | 113% | |||
減価償却費 | 260,951 | 197,381 | △63,570 | 43,803 | 22% |
EBITDA | 131,697 | 328,209 | 196,512 | 196,736 | 60% |
支配株主帰属利益 | △143,034 | 83,480 | 226,514 | 99,527 | 119% |
年予想 | 88,000 | 113% | |||
営業CF | 182,517 | 25,491 | △157,026 | 50,770 | 199% |
投資CF | 91,347 | △71,208 | △162,555 | △5,614 | 8% |
フリーCF | 273,864 | △45,717 | △319,581 | 45,156 | -99% |
財務CF | △300,998 | △124,839 | 176,159 | 112,435 | -90% |
現預金 | 652,148 | 451,426 | △200,722 | 581,670 | 130,244 |
定期預金(流動) | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
売買目的(流動) | 14,243 | 65,035 | 50,792 | 1,210 | △63,825 |
現金同等物 | 666,391 | 516,461 | △149,930 | 582,880 | 66,419 |
流動資産 | 1,520,072 | 1,373,787 | △146,285 | 1,473,528 | 99,741 |
流動負債 | 1,016,824 | 857,213 | △159,611 | 822,761 | △34,452 |
流動資産ー流動負債 | 503,248 | 516,574 | 13,326 | 650,767 | 134,193 |
うち現金短借以外 | △63,178 | 228,577 | 291,755 | 282,512 | 53,935 |
有利子負債(流動) | 99,965 | 228,464 | 128,499 | 214,625 | △13,839 |
有利子負債(固定) | 629,416 | 539,760 | △89,656 | 739,779 | 200,019 |
有利子負債計 | 729,381 | 768,224 | 38,843 | 954,404 | 186,180 |
ネット有利子負債 | 62,990 | 251,763 | 188,773 | 371,524 | 119,761 |
固定資産 | 2,776,120 | 2,450,298 | △325,822 | 2,343,484 | △106,814 |
固定負債 | 1,073,191 | 955,668 | △117,523 | 1,124,969 | 169,301 |
純資産 | 2,206,177 | 2,011,204 | △194,973 | 1,869,282 | △141,922 |
非支配株主持分 | 69,129 | 62,511 | △6,618 | 60,600 | △1,911 |
親会社所有者持分 | 2,137,048 | 1,948,693 | △188,355 | 1,808,682 | △140,011 |
ROE | -6.7% | 4.3% | 22.0% | ||
ROA | -3.3% | 2.2% | 10.4% | ||
ROI | -2.9% | 2.9% | 13.1% | ||
(営業利益/有利負債+時価) | |||||
為替換算差額/包括 | △47,559 | △85,772 | △38,213 | △147,208 | |
公正価値変動/包括 | 15,040 | △17,303 | △32,343 | △3,549 | |
ドル/円年平均 | 120.14 | 108.25 | |||
ドル/円決算月平均 | 120.38 | 113.03 | △7.35 | 105.72 | △7.31 |
時価総額 | 3,721,010 | ||||
非支配株主 | 60,600 | ||||
純有利子負債 | 371,524 | ||||
企業価値 | 4,153,134 | ||||
予想 | 実績 | ||||
EBIT倍率 | 31.7 | ||||
EBITDA倍率 | 12.7 | ||||
PER | 42.3 | 44.6 | |||
PBR | 2.1 |