【事業】
平成28年10月に新規IPOのJR九州のセグメントは「運輸サービス」、「建設」、「駅ビル・不動産」、「流通・外食」の4つ。
売上、営業利益の割合(28.3期)は以下のとおりであり、本業である運輸サービスのマイナスを不動産事業等でまかなっている状況である。
「運輸サービス」 売上47% 営業利益▲47%
「建設」 売上6% 営業利益+28%
「駅ビル・不動産」 売上15% 営業利益+95%
「流通・外食」 売上25% 営業利益+14%
残りはその他。
ちなみに、H28.6期Qにおける「運輸サービス」事業の売上は37十億円、セグメント利益は7十億円とプラスとなっている。熊本地震はあったものの大規模減損を行なったことによる償却費減少が寄与したためである。
九州旅客鉄道の連結子会社は36社。
H28.7時点で提出会社の従業員は7,870人、平均年齢40歳、平均年収は5,683千円である。
【損益】
JR九州のH28.3期は本業に関しては増収、増益と好調であったが、減損損失を521十億円(大部分が鉄道事業に関連する資産)計上したため最終利益は▲433十億円と大幅な赤字となった。
減損損失の計上は「経営安定基金運用収益により補填されていたことから、従来は鉄道事業固定資産の減損損失を計上する必要がありませんでした。しかし、経営安定基金の取崩しの結果、平成28年度以降は経営安定基金運用収益が発生しないこととなったため、平成28年3月期末において、会計基準に従い、鉄道事業固定資産(新幹線貸付料に係る長期前払費用を含む。)について、約5,203億円の減損損失を計上しました」との記載があり、また、H28.6期における減価償却費が大幅に減少していることから減損により今後は償却負担が大幅に減少することも考えられる。
しかし、設備投資が継続すれば長期的んは減価償却は上昇、もしくは再度の減損の可能性は残るかもしれない。
販管費のうち人件費の占める割合は40%程度であり、研究開発費は年間500百万円程度実施している。
【キャッシュフロー】
九州旅客鉄道の投資CFについてH27.3期は有形固定資産取得▲85十億円もありトータルで▲69十億円となった。
H28.3期は有形固定資産取得▲86十億円あったものの、経営安定基金資産の売却による収入が+314十億円あった。
また、長期前払費用の取得による支出▲220十億円(新幹線貸付料の前払い)あったため結果として9十億円のプラスとなった。
JR九州のフリーキャッシュフローについては減価償却以上の有形固定資産取得を行なっているためH27.3期はマイナスとなった。
H28.3期も経営安定化基金のもどりがなければ投資は継続しているためフリーキャッシュフローはマイナスであっただろう。
財務CFについてH27.3期はフリーキャッシュローのマイナスを長期借入によりまかなったためプラスとなった。
一方、H28.3期は経営安定化基金回収による収入があったため長期借入金の返済を行い財務CFはマイナスとなった。
【財政状態】
H27.3期において、「経営安定資産」413十億円(大部分が金銭の信託、経営安定基金(純資産)と見合い)があった。
当該「経営安定資産」はH28.3期に取り崩したが「九州旅客鉄道株式会社の経営安定基金の取崩しに関する省令」の要請にもとづく見合いの保有資産として金銭の信託(固定資産)が83十億円計上されている。
賃貸用商業ビル等を有しており、H28.3期における当該賃貸等不動産に関する賃貸損益は13,769百万円である。賃貸不動産のBS計上額は152十億円であり期末時価は231十億円と79十億円の含み益を有している。
【株価】
H28.3期に大規模な減損を行なっており、今後の減価償却費を含めた損益見込は予想しにくい状況となっている。よって減価償却費が影響しないEBITDA倍率による適正事業価値の評価を考慮することが望ましいように思われる。
JR同業他社の株価指数は以下の通りである。(9/16時点)
PERは10~14倍で、PBRは1.4倍が目安となる。当該同業他社数値に基づくと公募価格は2,700円と考えることもできる。ただし、利益予測数値は単純に1Q×4としているため4月に起きた熊本地震の影響等を加味すると計画数値の上ブレの可能性もあり、また減損後であり短期的に利益が出やすい状況であることも考慮すべきである。
JR東日本 PER 13.2倍 PBR 1.4倍
JR東海 PER 9.5倍 PBR 1.4倍
JR西日本 PER 11.3倍 PBR 1.4倍
西鉄 PER 11.3倍 PBR 1.4倍
阪急阪神 PER 14.2倍 PBR 1.2倍
平成28年10月に新規IPOのJR九州のセグメントは「運輸サービス」、「建設」、「駅ビル・不動産」、「流通・外食」の4つ。
売上、営業利益の割合(28.3期)は以下のとおりであり、本業である運輸サービスのマイナスを不動産事業等でまかなっている状況である。
「運輸サービス」 売上47% 営業利益▲47%
「建設」 売上6% 営業利益+28%
「駅ビル・不動産」 売上15% 営業利益+95%
「流通・外食」 売上25% 営業利益+14%
残りはその他。
ちなみに、H28.6期Qにおける「運輸サービス」事業の売上は37十億円、セグメント利益は7十億円とプラスとなっている。熊本地震はあったものの大規模減損を行なったことによる償却費減少が寄与したためである。
九州旅客鉄道の連結子会社は36社。
H28.7時点で提出会社の従業員は7,870人、平均年齢40歳、平均年収は5,683千円である。
【損益】
JR九州のH28.3期は本業に関しては増収、増益と好調であったが、減損損失を521十億円(大部分が鉄道事業に関連する資産)計上したため最終利益は▲433十億円と大幅な赤字となった。
減損損失の計上は「経営安定基金運用収益により補填されていたことから、従来は鉄道事業固定資産の減損損失を計上する必要がありませんでした。しかし、経営安定基金の取崩しの結果、平成28年度以降は経営安定基金運用収益が発生しないこととなったため、平成28年3月期末において、会計基準に従い、鉄道事業固定資産(新幹線貸付料に係る長期前払費用を含む。)について、約5,203億円の減損損失を計上しました」との記載があり、また、H28.6期における減価償却費が大幅に減少していることから減損により今後は償却負担が大幅に減少することも考えられる。
しかし、設備投資が継続すれば長期的んは減価償却は上昇、もしくは再度の減損の可能性は残るかもしれない。
販管費のうち人件費の占める割合は40%程度であり、研究開発費は年間500百万円程度実施している。
【キャッシュフロー】
九州旅客鉄道の投資CFについてH27.3期は有形固定資産取得▲85十億円もありトータルで▲69十億円となった。
H28.3期は有形固定資産取得▲86十億円あったものの、経営安定基金資産の売却による収入が+314十億円あった。
また、長期前払費用の取得による支出▲220十億円(新幹線貸付料の前払い)あったため結果として9十億円のプラスとなった。
JR九州のフリーキャッシュフローについては減価償却以上の有形固定資産取得を行なっているためH27.3期はマイナスとなった。
H28.3期も経営安定化基金のもどりがなければ投資は継続しているためフリーキャッシュフローはマイナスであっただろう。
財務CFについてH27.3期はフリーキャッシュローのマイナスを長期借入によりまかなったためプラスとなった。
一方、H28.3期は経営安定化基金回収による収入があったため長期借入金の返済を行い財務CFはマイナスとなった。
【財政状態】
H27.3期において、「経営安定資産」413十億円(大部分が金銭の信託、経営安定基金(純資産)と見合い)があった。
当該「経営安定資産」はH28.3期に取り崩したが「九州旅客鉄道株式会社の経営安定基金の取崩しに関する省令」の要請にもとづく見合いの保有資産として金銭の信託(固定資産)が83十億円計上されている。
賃貸用商業ビル等を有しており、H28.3期における当該賃貸等不動産に関する賃貸損益は13,769百万円である。賃貸不動産のBS計上額は152十億円であり期末時価は231十億円と79十億円の含み益を有している。
【株価】
H28.3期に大規模な減損を行なっており、今後の減価償却費を含めた損益見込は予想しにくい状況となっている。よって減価償却費が影響しないEBITDA倍率による適正事業価値の評価を考慮することが望ましいように思われる。
JR同業他社の株価指数は以下の通りである。(9/16時点)
PERは10~14倍で、PBRは1.4倍が目安となる。当該同業他社数値に基づくと公募価格は2,700円と考えることもできる。ただし、利益予測数値は単純に1Q×4としているため4月に起きた熊本地震の影響等を加味すると計画数値の上ブレの可能性もあり、また減損後であり短期的に利益が出やすい状況であることも考慮すべきである。
JR東日本 PER 13.2倍 PBR 1.4倍
JR東海 PER 9.5倍 PBR 1.4倍
JR西日本 PER 11.3倍 PBR 1.4倍
西鉄 PER 11.3倍 PBR 1.4倍
阪急阪神 PER 14.2倍 PBR 1.2倍
(単位:百万円) | H27.3 | H28.3 | 増減 | H28.6 | 進捗/増減 |
営業収益 | 357,422 | 377,989 | 20,567 | 79,456 | 21% |
売上総利益 | 96,642 | 108,674 | 12,032 | 33,316 | 31% |
販管費 | 83,859 | 87,780 | 3,921 | 20,951 | 24% |
営業利益 | 12,783 | 20,894 | 12,365 | 59% | |
1四半期×4⇒ | 49,460 | 25% | |||
減価償却費 | 36,047 | 37,158 | 1,111 | 3,462 | 9% |
EBITDA | 48,830 | 58,052 | 9,222 | 15,827 | 27% |
支配株主帰属利益 | 15,012 | △433,089 | △448,101 | 7,164 | -2% |
1四半期×4⇒ | 28,656 | 25% | |||
営業CF | 46,119 | 63,404 | 17,285 | 0% | |
投資CF | △69,221 | 9,032 | 78,253 | 0% | |
フリーCF | △23,102 | 72,436 | 95,538 | 0 | 0% |
財務CF | 19,882 | △40,009 | △59,891 | 0% | |
現預金 | 8,635 | 8,673 | 38 | 8,282 | △391 |
定期預金(流動) | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
有価証券(流動) | 3,700 | 50,080 | 46,380 | 89,990 | 39,910 |
現金同等物 | 12,335 | 58,753 | 46,418 | 98,272 | 39,519 |
流動資産 | 114,979 | 165,833 | 50,854 | 187,717 | 21,884 |
流動負債 | 134,975 | 146,366 | 11,391 | 106,594 | △39,772 |
流動資産ー流動負債 | △19,996 | 19,467 | 39,463 | 81,123 | 61,656 |
うち現金短借以外 | △28,467 | △37,733 | △9,266 | △15,706 | 22,027 |
有利子負債(流動) | 3,864 | 1,553 | △2,311 | 1,443 | △110 |
有利子負債(固定) | 115,238 | 77,776 | △37,462 | 77,583 | △193 |
有利子負債計 | 119,102 | 79,329 | △39,773 | 79,026 | △303 |
ネット有利子負債 | 106,767 | 20,576 | △86,191 | △19,246 | △39,822 |
固定資産 | 1,025,975 | 480,842 | △545,133 | 432,299 | △48,543 |
固定負債 | 234,741 | 194,564 | △40,177 | 202,532 | 7,968 |
純資産 | 771,238 | 305,745 | △465,493 | 310,890 | 5,145 |
非支配株主持分 | 4,754 | 5,469 | 715 | 5,112 | △357 |
親会社所有者持分 | 766,484 | 300,276 | △466,208 | 305,778 | 5,502 |
ROE | 2.0% | -144.2% | 4.7% | ||
ROA | 1.3% | -67.0% | 2.3% | ||
ROI | 2.3% | 4.1% | |||
(営業利益/有利負債+時価) | ROI予想 | 9.7% | |||
上場前発行済株式 | 160,000,000 | ||||
上場時発行済株式 | 0 | ||||
上場時調達見込額 | 0 | 千円 | |||
調達後親会社所有者持分 | 305,778 | ||||
直近株価 | 2,700 | ⇒予想 | |||
時価総額 | 432,000 | ||||
非支配株主持分 | 5,112 | ||||
純有利子負債 | △19,246 | ||||
事業価値 | 417,866 | ||||
上記前提に基づいた株価指標 | |||||
1四半期×4 | 実績 | ||||
EBIT倍率 | 8.4 | 20.0 | |||
EBITDA倍率 | 7.2 | ||||
PER | 15.1 | △1.0 | |||
PBR | 1.4 |