①事業
・事業概要
「航空事業」をはじめ、「航空関連事業」、「旅行事業」、「商社事業」及び「その他」を実施。
航空関連事業セグメントはH28.3期に赤字となっているが、セグメントにおけるのれん償却費が10十億円と前年比9十億円負担が増加したことによるものと考えられる。
なお当該償却は一括償却であるためH29.3期の負担はない。
・地域別売上
日本82%、その他海外。(H28.3期)
・主要子会社(数値はH28.3期)
全日本空輸 100% 売上1,529十億円、当期利益41十億円、純資産48十億円
・株主
浮動株主が多いが個人株主比率が52%と高い点に特徴がある。
・主要な設備
航空機 931十億円、198 機、リース59機(H28.3時点)
・重要な契約
スターアライアンスへの加盟
Joint Venture契約⇒ルフトハンザグループ(日本-欧州)、ユナイティッド航空(アジア-米州)
詳細な数値分析はこちら。
②業績
・売上
H28.9期は航空関連セグメントが前年実績比55%を達成した。
羽田空港、中部空港及び那覇空港における旅客の搭乗受付や手荷物搭載等の空港地上支援業務の受託が増加したことによる増加とのことである。
その他のセグメントは前年比49%~50%程度の売上であり特記すべき事項はない。
・営業利益
H28.9期の営業利益は航空関連事業がのれん償却負担が減少し黒転しているほかは航空事業の営業利益前年比進捗率が61%と好調であった。
航空事業においては売上高が前年比50%であるにも関わらず営業利益は61%の進捗であるため収益性が回復したと考えられる。
燃料価格の下落、円高による費用逓減もあるが、コストマネジメントを通じた費用削減効果もあるとことである。
H28.9期におけるグループ全体の売上総利益率は26.8%、営業利益率は10.2%、最終利益率は6.5%と前年、前々年と比べて改善している。
・親会社帰属利益
H28.9期は支払利息5十億円、為替差損3十億円あったもののその他の特別損益項目はなく最終利益は57十億円と前年同期比で+6%、年間予想比で進捗72%と良好であった。
③キャッシュフロー
・営業キャッシュフロー
安定して営業CFを獲得しており税引後利益+減価償却費以外の大きな増減はない。
・投資キャッシュフロー
H27.3期、H28.3期ともに250十億円程度の有形固定資産の取得(大部分は航空機)を行なっている。H28.9期においても半期であるが有形固定資産取得支出100十億円を計上している。
・財務キャッシュフロー
H28.9期は社債による純調達が40十億円あったため、財務CFはプラスとなった。
④財務状況
・流動資産、流動負債
H28.9期におけるANAホールディングスの流動資産は、H28.3期比較で現預金が18十億円マイナス、流動資産その他が21十億円マイナス、有価証券が27十億円増加、流動負債は発券未決済が12十億円プラス、その他が13十億円マイナスとなった。
流動比率は過去から110%程度で推移しており、短期的な資金繰に問題はないと考えられる。
・固定資産
H28.9期の固定資産1,643十億円のうち、航空機が978十億円を占める。その他は投資有価証券114十億円、建設仮勘定173十億円がある。
航空機の簿価はH28.3期と比べて47十億円増加した。
ちなみに航空機の耐用年数は9~20年、定額法により償却されていく。
・自己資本、調達資金
H28.9期におけるANAホールディングスの自己資本比率は37%、金額にして818十億円である。
自己資本比率は除徐に改善傾向にあるが、有利子負債比率が87%と借入金依存度は9割近くある。
親会社所有者持分はH28.3期比較で28十億円増加しているが包括利益計算書における繰延ヘッジ損益が▲12十億円、配当が17十億円ある点などが影響している。
⑤株価
・業績予想の達成可能性
年間予想売上に対するH28.9期の売上進捗率は51%であり、年間予想営業利益率8.3%、年間予想最終利益率4.6%はH28.9期実績営業利益率、最終利益率よりも保守的である。
つまり、年間予想売上を達成できれば営業利益、最終利益の上ブレ可能性は十分に考えられるのではないか。
・PER
H27.3時点では株価322円であり実績利益に基づくPERが28.7倍、営業利益PERが12.3倍であったが、H28.9時点では株価は274円まで落ち込み、中間実績利益にもとづくPERが8.3倍と割安となっていた。
しかし、直近の10/31終値ではある程度株価は戻り、予想利益に基づくPERは12.9倍となっている。
H29.3期の最終利益予想は前年比増加見込みであり、2Q時点で進捗率は72%と50%を大幅に超えているため予想利益に基づくPER12.9倍は割安と考えることもできる。
前年同期比でも、H28.9期は営業利益、最終利益ともに増加しているため期待はできるのではないか。
東証一部の空運業平均が8.1倍であることを考慮すると、同業他社と比べると割高であるという判断もある。
・PBR
直近決算に基づくPBRはH28.9末時点の株価では1.3倍である。
東証一部の電気機器平均が1.2倍であることを考慮するとほぼ適正水準である。
なお業種別PER、PBRのこちら。
・事業概要
「航空事業」をはじめ、「航空関連事業」、「旅行事業」、「商社事業」及び「その他」を実施。
航空関連事業セグメントはH28.3期に赤字となっているが、セグメントにおけるのれん償却費が10十億円と前年比9十億円負担が増加したことによるものと考えられる。
なお当該償却は一括償却であるためH29.3期の負担はない。
・地域別売上
日本82%、その他海外。(H28.3期)
・主要子会社(数値はH28.3期)
全日本空輸 100% 売上1,529十億円、当期利益41十億円、純資産48十億円
・株主
浮動株主が多いが個人株主比率が52%と高い点に特徴がある。
・主要な設備
航空機 931十億円、198 機、リース59機(H28.3時点)
・重要な契約
スターアライアンスへの加盟
Joint Venture契約⇒ルフトハンザグループ(日本-欧州)、ユナイティッド航空(アジア-米州)
詳細な数値分析はこちら。
②業績
・売上
H28.9期は航空関連セグメントが前年実績比55%を達成した。
羽田空港、中部空港及び那覇空港における旅客の搭乗受付や手荷物搭載等の空港地上支援業務の受託が増加したことによる増加とのことである。
その他のセグメントは前年比49%~50%程度の売上であり特記すべき事項はない。
・営業利益
H28.9期の営業利益は航空関連事業がのれん償却負担が減少し黒転しているほかは航空事業の営業利益前年比進捗率が61%と好調であった。
航空事業においては売上高が前年比50%であるにも関わらず営業利益は61%の進捗であるため収益性が回復したと考えられる。
燃料価格の下落、円高による費用逓減もあるが、コストマネジメントを通じた費用削減効果もあるとことである。
H28.9期におけるグループ全体の売上総利益率は26.8%、営業利益率は10.2%、最終利益率は6.5%と前年、前々年と比べて改善している。
・親会社帰属利益
H28.9期は支払利息5十億円、為替差損3十億円あったもののその他の特別損益項目はなく最終利益は57十億円と前年同期比で+6%、年間予想比で進捗72%と良好であった。
③キャッシュフロー
・営業キャッシュフロー
安定して営業CFを獲得しており税引後利益+減価償却費以外の大きな増減はない。
・投資キャッシュフロー
H27.3期、H28.3期ともに250十億円程度の有形固定資産の取得(大部分は航空機)を行なっている。H28.9期においても半期であるが有形固定資産取得支出100十億円を計上している。
・財務キャッシュフロー
H28.9期は社債による純調達が40十億円あったため、財務CFはプラスとなった。
④財務状況
・流動資産、流動負債
H28.9期におけるANAホールディングスの流動資産は、H28.3期比較で現預金が18十億円マイナス、流動資産その他が21十億円マイナス、有価証券が27十億円増加、流動負債は発券未決済が12十億円プラス、その他が13十億円マイナスとなった。
流動比率は過去から110%程度で推移しており、短期的な資金繰に問題はないと考えられる。
・固定資産
H28.9期の固定資産1,643十億円のうち、航空機が978十億円を占める。その他は投資有価証券114十億円、建設仮勘定173十億円がある。
航空機の簿価はH28.3期と比べて47十億円増加した。
ちなみに航空機の耐用年数は9~20年、定額法により償却されていく。
・自己資本、調達資金
H28.9期におけるANAホールディングスの自己資本比率は37%、金額にして818十億円である。
自己資本比率は除徐に改善傾向にあるが、有利子負債比率が87%と借入金依存度は9割近くある。
親会社所有者持分はH28.3期比較で28十億円増加しているが包括利益計算書における繰延ヘッジ損益が▲12十億円、配当が17十億円ある点などが影響している。
⑤株価
・業績予想の達成可能性
年間予想売上に対するH28.9期の売上進捗率は51%であり、年間予想営業利益率8.3%、年間予想最終利益率4.6%はH28.9期実績営業利益率、最終利益率よりも保守的である。
つまり、年間予想売上を達成できれば営業利益、最終利益の上ブレ可能性は十分に考えられるのではないか。
・PER
H27.3時点では株価322円であり実績利益に基づくPERが28.7倍、営業利益PERが12.3倍であったが、H28.9時点では株価は274円まで落ち込み、中間実績利益にもとづくPERが8.3倍と割安となっていた。
しかし、直近の10/31終値ではある程度株価は戻り、予想利益に基づくPERは12.9倍となっている。
H29.3期の最終利益予想は前年比増加見込みであり、2Q時点で進捗率は72%と50%を大幅に超えているため予想利益に基づくPER12.9倍は割安と考えることもできる。
前年同期比でも、H28.9期は営業利益、最終利益ともに増加しているため期待はできるのではないか。
東証一部の空運業平均が8.1倍であることを考慮すると、同業他社と比べると割高であるという判断もある。
・PBR
直近決算に基づくPBRはH28.9末時点の株価では1.3倍である。
東証一部の電気機器平均が1.2倍であることを考慮するとほぼ適正水準である。
なお業種別PER、PBRのこちら。
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ANAホールディングス(9202) |
|||||
(単位:百万円) | H27.3 | H28.3 | 増減 | H28.9 | 進捗/増減 |
売上高 | 1,713,457 | 1,791,187 | 77,730 | 881,995 | 49% |
前年Q | 911,223 | 97% | |||
年間予想 | 1,740,000 | 51% | |||
売上総利益 | 378,373 | 453,647 | 75,274 | 236,387 | 52% |
販管費その他 | 286,832 | 317,184 | 30,352 | 146,818 | 46% |
営業利益 | 91,541 | 136,463 | 89,569 | 66% | |
前年Q | 86,786 | 103% | |||
年間予想 | 145,000 | 62% | |||
減価償却費(のれん償却含) | 132,237 | 149,000 | 16,763 | 68,334 | 46% |
EBITDA | 223,778 | 285,463 | 61,685 | 157,903 | 55% |
支配株主帰属利益 | 39,239 | 78,169 | 38,930 | 57,439 | 73% |
前年Q | 53,974 | 106% | |||
年間予想 | 80,000 | 72% | |||
H27.3 | H28.3 | H28.9 | 予想 | ||
売上総利益率 | 22.1% | 25.3% | 26.8% | ||
営業利益率 | 5.3% | 7.6% | 10.2% | 8.3% | |
支配株主帰属利益率 | 2.3% | 4.4% | 6.5% | 4.6% | |
ANAホールディングス(9202)のセグメント業績(主なもの) | |||||
売上(百万円) | H27.3 | H28.3 | 増減 | H28.9 | 進捗/増減 |
航空事業 | 1,484,600 | 1,553,233 | 68,633 | 769,148 | 50% |
航空関連事業 | 223,780 | 231,903 | 8,123 | 127,742 | 55% |
旅行事業 | 169,078 | 167,349 | △1,729 | 82,482 | 49% |
商社事業 | 127,029 | 140,289 | 13,260 | 68,917 | 49% |
営業利益(百万円) | H27.3 | H28.3 | 増減 | H28.9 | 進捗/増減 |
航空事業 | 81,667 | 139,757 | 58,090 | 84,789 | 61% |
航空関連事業 | 9,024 | △4,248 | △13,272 | 5,350 | -126% |
旅行事業 | 4,565 | 4,291 | △274 | 2,012 | 47% |
商社事業 | 4,067 | 5,312 | 1,245 | 2,612 | 49% |
セグメント | 説明 | ||||
航空事業 | 全日本空輸、ANAウイングス、エアージャパン、バニラ・エアが行なう航空事業 | ||||
航空関連事業 | 顧客に対する空港での各種サービス提供、電話による予約案内、航空事業で運航される航空機への整備作業の役務提供等 | ||||
旅行事業 | 「ANAハローツアー」及び「ANAスカイホリデー」ブランドのパッケージ旅行商品等の企画及び販売 | ||||
商社事業 | 航空関連資材等の輸出入及び店舗・通信販売等 | ||||
ANAホールディングス(9202)の過去株価指標分析 | |||||
(単位:円) | H27.3 | H28.3 | H28.9 | 直近株価/予想B | |
株価 | 322 | 317 | 274 | 295 | |
発行済株数 | 3,494,355,475 | 3,497,198,164 | 3,500,148,617 | 3,500,148,617 | |
潜在株数 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
潜在株式考慮後時価総額 | 1,124,484 | 1,108,962 | 957,991 | 1,033,244 | |
1株営業利益 | 26 | 39 | 51 | 41 | |
1株利益 | 11 | 22 | 33 | 23 | |
1株親株主持分 | 228 | 226 | 234 | ||
営業利益PER | 12.3 | 8.1 | 5.3 | 7.1 | |
PER | 28.7 | 14.2 | 8.3 | 12.9 | |
PBR | 1.4 | 1.4 | 1.2 | 1.3 | |
EV/EBIT倍率 | 20.5 | 12.7 | 9.1 | 11.8 | |
EV/EBITDA倍率 | 8.4 | 6.1 | 5.2 | ||
ANAホールディングス(9202)の利益指標 | |||||
H27.3 | H28.3 | H28.9 | 予想 | ||
ROE | 4.9% | 9.9% | 14.0% | 9.8% | |
ROA | 1.7% | 3.5% | 5.1% | 3.6% | |
ANAホールディングス(9202)のキャッシュフロー | |||||
H27.3 | H28.3 | 増減 | H28.9 | 増減 | |
営業CF | 206,879 | 263,878 | 56,999 | 113,767 | 43% |
投資CF | △210,749 | △74,443 | 136,306 | △115,315 | 155% |
フリーCF | △3,870 | 189,435 | 193,305 | △1,548 | -1% |
財務CF | △30,424 | △133,257 | △102,833 | 14,516 | -11% |
ANAホールディングス(9202)の財政状態 | |||||
H27.3 | H28.3 | 増減 | H28.9 | 増減 | |
現預金等 | 43,901 | 55,293 | 11,392 | 36,625 | △18,668 |
流動資産 | 692,783 | 631,188 | △61,595 | 609,060 | △22,128 |
流動負債 | 666,677 | 585,490 | △81,187 | 563,526 | △21,964 |
借入金(短期) | 203,463 | 86,980 | △116,483 | 110,762 | 23,782 |
借入金(長期) | 589,403 | 593,172 | 3,769 | 603,908 | 10,736 |
借入計 | 792,866 | 680,152 | △112,714 | 714,670 | 34,518 |
ネット借入 | 748,965 | 624,859 | △124,106 | 678,045 | 53,186 |
固定資産 | 1,609,654 | 1,597,620 | △12,034 | 1,643,748 | 46,128 |
固定負債 | 832,208 | 848,418 | 16,210 | 866,290 | 17,872 |
純資産 | 803,552 | 794,900 | △8,652 | 822,992 | 28,092 |
非支配株主持分 | 5,272 | 5,004 | △268 | 4,657 | △347 |
親会社所有者持分 | 798,280 | 789,896 | △8,384 | 818,335 | 28,439 |
流動比率 | 104% | 108% | 108% | ||
固定長期適合率 | 98% | 97% | 97% | ||
自己資本比率 | 35% | 36% | 37% | ||
有利子負債比率 | 99% | 86% | 87% | ||
ANAホールディングス(9202)の株主構成 | |||||
H27.3 | H28.3 | ||||
政府 | 0% | ||||
金融機関 | 24% | ||||
金融商品取引業者 | 1% | ||||
その他法人 | 12% | ||||
外国法人等 | 11% | ||||
個人 | 52% | ||||
ANAホールディングス(9202)における従業員の状況 | |||||
H27.3 | H28.3 | ||||
連結人員 | 36,273 | 人 | |||
親会社単体人員 | 141 | 人 | |||
親会社単体平均年齢 | 48.4 | 才 | |||
親会社単体平均年収 | 8,536 | 千円 |