NUTS(7612)が大規模第三者割当増資及び新株予約権の付与へ

2016/10/17

企業分析

10/17の適時開示により、NUTSが大規模増資及び新株予約権の付与を公表した。

 営業赤字を継続しているNUTSにとって業績回復に不可欠なパチンコ、パチスロに関するコンテンツ取得のために20億円が必要とのことである。

 第三者割当新株はコロンビア合同会社へ13,880千株発行する。発行価格は72(ディスカウント10%)であり調達額は総額で約10億円である。
 この増資により現預金は現在の108百万円から1,107百万円程度まで増加し、自己資本比率も71%から87%まで上昇する。
 実質的な引き受け者は取引先であるプロダクション、大手芸能事務所や遊技機 メーカーもしくはその役員等と考えられ、コロンビアHD合同会社へ実質出資者が匿名組合出資を行ない、コロンビアHD合同会社がコロンビア合同会社へ必要な貸付を実施するスキームである。

 また、新株予約権は長谷川氏へ13,880千株分を15,962千円で付与する。
 当該潜在株式について権利行使されれば手元資金はさらに10億円程度増加し、自己資本比率は91%まで上昇する。

 当該増資により現在のPBRの6.1倍が3.0倍にまで低下し、新株予約権の行使によりさらに2.2倍まで低下する。

 なお、平成28年5月12日に森田氏に対し1株40円(決議日4/26の前日終値でディスカウントなし)で7,875千株の増資を行ない、315百万円の調達を行なっていた。
 当該増資の際には新株予約権の付与はなかった。

 NUTS(7612)が当該増資及び新株予約権の付与により収益性の高いコンテンツの取得及び利益の捻出が可能となるか注視すべきである。

 ちなみに現時点での時価79円でPER10倍を達成するためには1株利益が7.9円、潜在株式考慮後の発行済株式数は73,869千株であるため583百万円の最終利益の捻出が必要となる。
コンテンツ投資で総額20億円の前提で583百万円の利益を出さなければならないとすれば、達成すべき利益のハードルは低くないのではないか。
(単位:千円) H28.6
時価 79 ⇒10/17時点
時価総額(増資前) 3,642,621 増資後 予約権行使後
現預金 108,085 1,107,445 2,106,805
有利子負債 20,000 20,000 20,000
総資産 845,615 1,844,975 2,844,335
純資産 599,882 1,599,242 2,598,602
自己資本比率 71% 87% 91%
発行済株式 46,109,126 59,989,126 73,869,126
BPS(1株純資産) 13.0 26.7 35.2
PBR 6.1 3.0 2.2