①事業
a:宿泊事業
伊豆今井浜温泉「今井荘」、伊豆長岡温泉「南山荘」の経営および「ホテル・アゴーラ大阪守口」(大阪府)、 「ホテル・アゴーラ リージェンシー堺」(大阪府)、「アゴーラ・プレイス浅草」(東京都)、「野尻湖ホテ ル エルボスコ」(長野県)を実施。
b:国内不動産賃貸事業
国内において「パレロワイヤル原宿」「サンテラス赤坂」「アストリア南麻布」等の不動産賃貸業を実施。
うち、「パレロワイヤル原宿」はH28.9期3Qに売却したとみられる。
c:オーストラリアにおける住宅等不動産開発事業
d:証券投資事業
・地域別売上
日本7,329百万円、東南アジア710百万円(H27.12 期)
・主要子会社
株式会社アゴーラ・ホテルマネジメント(ホテルの管理運営) 大阪 売上1,732百万円 経常利益14百万円
株式会社アゴーラ・ホテルマネジメン(ホテルの管理運営)ト 堺 売上3,910百万円 経常利益1百万円
・主要な設備
今井荘(親会社所有/静岡県賀茂郡河 津町) 704百万円(うち土地642百万円)
サンテラス 赤坂 (東京都 港区)/南麻布21合同会社 1,827百万円(うち土地1,367百万円)
アストリア 南麻布 (東京都 港区)/南麻布21合同会社 976百万円(うち土地711百万円)
ホテル・ア ゴーラ大阪 守口 (大阪府守 口市) / オリオン 合同会社978百万円(土地は敷地権割合)
ホテル・ア ゴーラ リージェン シー堺 (大阪府堺 市堺区)/ジェミニ 合同会社 3,196百万円(土地は敷地権割合)
ラワン メモリアル パーク (マレーシア霊園)/スプリー ム・ ティーム 社 95百万円
・株主
ファー・イースト・グローバル・アジア・リミテッド 40.13%
アルファ・コンセプト・インベストメント・リミテッド 19.85%
ファー・イースト・グローバル・アジア株式会社 10.87%
なお、、平成 28 年 12 月 16 日 の適時開示情報によると、ファー・イースト・グループが保有する当社株式の保有比率を 51%から 41%に引き下げられることになる。
・主要な顧客への売上
該当なし。
・重要な契約
該当なし。
・研究開発活動
該当なし。
詳細な数値分析はこちら。
②業績
・売上、粗利
宿泊事業の売上高はH27.12 期は前期比8.4%の増加の7,046百万円、H28.9 期3Qの前期比進捗率は75%と前年と同レベルの水準を維持している。
その他投資事業の売上高はH27.12 期が前期比1.3%下落の993百万円であったが、H28.9期3Qの進捗率は78%と比較的好調に推移している。
法人全体の粗利率はH27.12期が33.0%と収益性が高かったものの、H28.9期は30.2%と売上原価割合が増加し収益性が若干悪化している。
・販管費・営業利益
販管費はH27.12期が前期比で2.6%減少しコスト圧縮が実現したが、H28.9期の前期比進捗率は78%とコストが若干かさんでいる印象である。
営業利益については上記に記載の通り、H27.12期は売上高の改善、粗利率の改善、販管費の圧縮により489百万円を達成したが、H28.9期は売上高は前年レベルを維持しているものの粗利率の悪化、販管費の増加により前年営業利益に対する進捗率は22%と苦戦している。
・親会社帰属利益
H26.12期、H27.12期ともに営業利益に対する親会社利益の割合がそれぞれ36.4%、▲34.0%と低い。
H26.12期は営業外収益として持分法利益183百万円を計上したものの営業外費用として支払利息96百万円、開業費償却48百万円、特別損失として過年度調査等諸費用引当金繰入額60百万円、匿名組合分配額121百万円あったため 親会社利益が少額となった。
H27.12期は営業外収益として事業税還付金170百万円を計上したものの、営業外費用として支払利息75百万円、為替差損137百万円、資金調達費用44百万円など、特別損失として課徴金137百万円、匿名組合分配金285百万円があったため最終赤字が166百万円となった。
一方、H28.9期の営業利益に対する親会社利益の割合は318%と高くなった。
営業外費用として支払利息33百万円、為替差損173百万円の他、匿名組合分配金110百万円があったものの、固定資産売却益(パレロワイ ヤル原宿 (東京都 渋谷区)の売却)が567百万円があったため親会社帰属利益は348百万円となった。
③キャッシュフロー
・営業キャッシュフロー
H26.12期、H27.12期ともに営業CFはぞれぞれ456百万円、312百万円と安定して確保している。
・投資キャッシュフロー
H26.12期、H27.12期ともに有形固定資産の取得が100百万円以下ある程度であり大きなものはない。
・財務キャッシュフロー
H26.12期は財務CFが▲232百万円であるが、主に長期借入の返済214百万円である。
H27.12期は+101百万円であるが長期借入金の純増が主なものである。
④財務状況
・流動資産、流動負債
直近期のH28.9期における流動資産はH28.3期と比較して349百万円増加した。
「その他」が545百万円増加したことが主な要因である。
一方流動負債も386百万円増加した。
「未払金」が512百万円増加したことが主な要因である。
・固定資産
直近期のH28.9期における固定資産はH28.3期と比較して1,185百万円減少した。
住宅用賃貸不動産は1,833百万円減少し、のれんが800百万円増加ししたことによるものである。
住宅用賃貸不動産の減少はH28.7月に公表されたように連結子会社である麻布21合同会社による海外法人への売却によよるものであると考えらえれる。(パレロワイ ヤル原宿 (東京都 渋谷区))
この売却により固定資産売却益568百万円(簿価は1,815百万円)が特別利益として計上されている。
つまり、1,815百万円+568百万円=2,383百万円での売却であったことがわかる。
また、のれん800百万円の増加はH28.7月に公表されたプライム・ハイト・インベストメント・リミテッドの株式の取得(子会社化) に関係するものであると考えられる。
アゴーラグループは当該買収によりプライム・ハイト・インベストメント・リミテッドの50%の取得にとどまっており、非支配株主持分も大幅に増加しておりH27.12期と比較して1,139百万円の増加となった。
プライム・ハイト・インベストメント・リミテッド株式はホニー・キャピタル・ファンド 2008・エルピー(Hony Capital Fund 2008L.P.) から50%取得することになった。
ポニー・キャピタル・ファンド 2008・エルピーへの出資者は100名超であるが10%超の株主はライト・レーン・リミテッド(Right Lane Limited) 14.31% のみである。
また、ホニー・キャピタル・ファンド 2008・エルピーが出資するアルファ・コンセプト・インベストメント・リミ テッドはGSを通してアゴーラ株式を20%程度(第2位)保有しているとのこと。
当該プライム・ハイト・インベストメント・リミテッドの株式の取得額は2,450百万円であるが、上記の麻布21合同会社による不動産の売却額2,383百万円を使用したと考えられる。
しかし、2,450百万円は「ホテル匿名組合出資額のうち 57.14%相当に見合う債権 」との記載が適時開示上記載があり、結果として債権を買い取ることによりアゴーラがH27.12期に固定負債として計上していた2,511百万円と相殺しているのではないか。
・自己資本、調達資金
H27.12期まで固定負債として匿名組合出資預り金2,511百万円を計上していたが、H28.9期ではゼロになっている。
H28.9期はプライム・ハイト・インベストメント・リミテッド株式を50%取得したため、のこりの50%分について非支配株主持分が増加した。
その結果、H27.12期と比較して非支配株主持分が1,138百万円増加している。
H28.9期はH27.12期に固定負債として計上されていた匿名組合出資預り金2,511百万円がゼロとなり、非支配株主持分が1,138百万円増加したことにより自己資本比率は57%とH27.12期の45%と比べて大幅改善した結果となった。
⑤株価分析
・業績予想の達成可能性
H28.9期に匿名組合出資預り金約25億円が減少したことにより匿名組合への分配金が減額となれば今後最終利益が改善することはありそうだ。
一方、パレロワイ ヤル原宿 (東京都 渋谷区)を約24億円で売却したことによる収益減は気になるところである。
売上高は3Qにおいて前期同期比98%であるが、年間予想は8,800百万円であり前期比9.4%増加の見込みであり、比較的強気な予測である。
また、営業利益予想も3Q時点で109百万円に対し年度予想は580百万円と4Qでかなりの伸びがなければ達成できない予想であると言える。
最終利益予想は650百万円であり、こちらも3Q実績が348百万円であることを考慮すると高い目標となる。
しかし、3Qで計上した為替差損173百万円は円安によりかなり改善されることが予想されるため、最終的に予想金額に近づくこともあり得るのではないか。
・PER
直近年度実績に基づくPERは▲66.1倍、四半期実績に基づくPERは20.6倍、年度予測利益に基づくPERは17.8倍である。
※株式数は対象年度末の発行済株式数(自己株式を除き潜在株式含)を利用し、株価は対象年度末の時価を利用する。また、予測数値に基づく株式数は直近四半期の発行済株式数(自己株式を除き潜在株式含)を利用し、株価は直近の株価を利用する。
四半期実績及び年間予測数値に基づくPERは不動産売却による特別利益567百万円を計上したことにより大幅に改善されているため留意しなければならない。
・PBR
直近決算期であるH27.12期の親会社株主持分と発行済株式数(自己株式を除き潜在株式含)と直近株価を前提としたPBRは1.4倍である。直近QのH28.9期のPBRは1.2倍と資本構成の改善によりPBRも改善したといえる。
・EBIT倍率、EBITDA倍率
直近年度実績に基づくEBIT倍率は27.4倍、四半期実績に基づくEBIT倍率は81.7倍、年度予測利益に基づくEBIT倍率は23.9倍である。
また、直近年度実績に基づくEBITDA倍率は14.5倍、四半期実績に基づくEBIT倍率は20.5倍である。
※株式数は対象年度末の発行済株式数(自己株式を除き潜在株式含)を利用し、株価は対象年度末の時価を利用する。
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アゴーラ・ホスピタリティー・グループ (9704) |
|||||
(単位:千円) | H26.12 | H27.12 | 増減 | H28.9 | 進捗/増減 |
売上高 | 7,503,609 | 8,040,360 | 536,751 | 5,925,529 | 74% |
前年Q | 6,035,828 | 98% | |||
年間予想 | 8,800,000 | 67% | |||
売上総利益 | 2,353,103 | 2,656,244 | 303,141 | 1,790,133 | 67% |
販管費その他 | 2,226,469 | 2,166,605 | △59,864 | 1,680,807 | 78% |
営業利益 | 126,634 | 489,639 | 109,326 | 22% | |
前年Q | 380,889 | 29% | |||
年間予想 | 580,000 | 19% | |||
減価償却費(のれん償却含) | 441,461 | 433,154 | △8,307 | 327,058 | |
EBITDA | 568,095 | 922,793 | 354,698 | 436,384 | 47% |
支配株主帰属利益 | 46,121 | △166,238 | △212,359 | 348,285 | -210% |
前年Q | △202,059 | -172% | |||
年間予想 | 650,000 | 54% | |||
H26.12 | H27.12 | H28.9 | 予想 | ||
売上総利益率 | 31.4% | 33.0% | 30.2% | ||
営業利益率 | 1.7% | 6.1% | 1.8% | 6.6% | |
支配株主帰属利益率 | 0.6% | -2.1% | 5.9% | -3.3% | |
最終利益/営業利益 | 36.4% | -34.0% | 318.6% | 112.1% | |
アゴーラ・ホスピタリティー・グループ (9704)のセグメント業績(主なもの) | |||||
売上 | H26.12 | H27.12 | 増減 | H28.9 | 進捗/増減 |
宿泊事業 | 6,497,868 | 7,046,825 | 548,957 | 5,264,653 | 75% |
その他投資事業 | 1,005,741 | 993,535 | △12,206 | 771,174 | 78% |
営業利益 | H26.12 | H27.12 | 増減 | H28.9 | 進捗/増減 |
宿泊事業 | 91,067 | 523,172 | 432,105 | 375,859 | 72% |
その他投資事業 | 231,633 | 145,585 | △86,048 | 134,562 | 92% |
資産 | H26.12 | H27.12 | 増減 | H28.9 | 進捗/増減 |
宿泊事業 | 8,402,352 | 8,261,999 | △140,353 | 0% | |
その他投資事業 | 8,951,471 | 8,650,319 | △301,152 | 0% | |
アゴーラ・ホスピタリティー・グループ (9704)の過去株価指標分析 | |||||
H26.12 | H27.12 | H28.9 | 直近株価/予想B | ||
株価 | 47 | 39 | 34 | 41 | |
発行済株数 | 274,467,917 | 275,626,606 | 275,705,140 | 275,705,140 | |
潜在株数 | 7,375,000 | 6,215,000 | 6,215,000 | 6,215,000 | |
潜在株式考慮後時価総額 | 13,246,617 | 10,991,823 | 9,585,285 | 11,558,726 | |
1株営業利益 | 0 | 2 | 1 | 2 | |
1株利益 | 0 | △1 | 2 | 2 | |
1株親株主持分 | 28 | 27 | 29 | ||
営業利益PER | 104.6 | 22.4 | 65.8 | 19.9 | |
PER | 287.2 | △66.1 | 20.6 | 17.8 | |
PBR | 1.7 | 1.4 | 1.2 | 1.4 | |
EV/EBIT倍率 | 125.3 | 27.4 | 81.7 | 23.9 | |
EV/EBITDA倍率 | 27.9 | 14.5 | 20.5 | ||
アゴーラ・ホスピタリティー・グループ (9704)の利益指標 | |||||
H26.12 | H27.12 | H28.9 | 予想 | ||
ROE | 0.6% | -2.2% | 5.8% | 8.1% | |
ROA | 0.3% | -1.0% | 2.9% | 4.0% | |
アゴーラ・ホスピタリティー・グループ (9704)のキャッシュフロー | |||||
(単位:千円) | H26.12 | H27.12 | 増減 | H28.9 | 増減 |
営業CF | 456,804 | 312,067 | △144,737 | ||
投資CF | △67,127 | △66,777 | 350 | ||
フリーCF | 389,677 | 245,290 | △144,387 | ||
財務CF | △232,593 | 101,325 | 333,918 | ||
※簡易営業CF | 487,582 | 266,916 | 675,343 | ||
アゴーラ・ホスピタリティー・グループ (9704)の財政状態 | |||||
(単位:千円) | H26.12 | H27.12 | 増減 | H28.9 | 増減 |
現預金等 | 1,545,255 | 1,806,614 | 261,359 | 1,831,868 | 25,254 |
流動資産 | 3,585,890 | 3,707,343 | 121,453 | 4,056,697 | 349,354 |
流動負債 | 3,572,149 | 2,142,026 | △1,430,123 | 2,528,524 | 386,498 |
借入金(短期) | 1,622,235 | 175,344 | △1,446,891 | 237,067 | 61,723 |
借入金(長期) | 2,544,692 | 4,063,967 | 1,519,275 | 3,919,076 | △144,891 |
借入計 | 4,166,927 | 4,239,311 | 72,384 | 4,156,143 | △83,168 |
ネット借入 | 2,621,672 | 2,432,697 | △188,975 | 2,324,275 | △108,422 |
固定資産 | 13,844,963 | 13,389,649 | △455,314 | 12,204,614 | △1,185,035 |
固定負債 | 5,983,177 | 7,238,653 | 1,255,476 | 4,511,723 | △2,726,930 |
純資産 | 7,875,527 | 7,716,313 | △159,214 | 9,221,064 | 1,504,751 |
非支配株主持分 | 25,792 | 24,609 | △1,183 | 1,163,168 | 1,138,559 |
親会社所有者持分 | 7,849,735 | 7,691,704 | △158,031 | 8,057,896 | 366,192 |
流動比率 | 100% | 173% | 160% | ||
固定長期適合率 | 100% | 90% | 89% | ||
自己資本比率 | 45% | 45% | 57% | ||
有利子負債比率 | 53% | 55% | 45% | ||
アゴーラ・ホスピタリティー・グループ (9704)の株主構成 | |||||
H26.12 | H27.12 | ||||
政府 | 0% | ||||
金融機関 | 3% | ||||
金融商品取引業者 | 1% | ||||
その他法人 | 0% | ||||
外国法人等 | 74% | ||||
個人 | 23% | ||||
アゴーラ・ホスピタリティー・グループ (9704)における従業員の状況 | |||||
H26.12 | H27.12 | ||||
連結人員 | 428 | 人 | |||
親会社単体人員 | 5 | 人 | |||
親会社単体平均年齢 | 44.4 | 才 | |||
親会社単体平均年収 | 4,733 | 千円 |