IPO予定のオロ(3983)の財務分析と初値予想

2017/02/18

IPO

【事業】

設立:1999年1月
本社所在地:東京都目黒区目黒
事業内容:ERP(ZAC Enterprise)の販売保守、WEBマーケティング支援
業種分類:情報通信業
決算:3月
上場市場:マザーズ
監査人:あずさ監査法人
主幹事証券:野村證券
社長:川田篤、昭和48年生まれ、平成11年にオロ設立

【損益】

(総括)

①ビジネスソリューション事業(H28.9時点の受注残223百万円、売上1,065百万円、営業利益344百万円)

企業内部の生産性向上等を目的としたクラウドERPの「ZacEnterprise」(予実管理、管理会計)と「ReformaPSA」(中小企業向)の開発、販売、運用、提案等を実施。

ライセンス収入、導入支援・カスタマイズ収入、保守収入がある。


②コミュニケーションデザイン事業(H28.9時点の受注残は208百万円、売上1,220百万円、営業利益91百万円)

WEBマーケティング、ウェブサイト、ウェブシステムの企画、構築、運用を支援。
海外進出、インバウンド集客に強みを持つ。



直近5年で売上はH23.3期で1,445百万円であったものがH27.12期は3,063百万円と急拡大している。
また、経常利益もH23.3期の121百万円からH27.12期では677百万円と急拡大している。
最終利益においても過去5年で赤字となったっことはなくH24.3期以降は100百万円以上の利益を計上している。


(売上・売上総利益)

H27.12期は前期比で63%の伸びであり、H28.9期3Qの前期比進捗率は75%であり前年と同レベルの売上である。

売上総利益率はH26.12 期から改善に向かっており44.5%(H26.12期)から50.8%(H28.9期)に改善している。
よって、粗利額の伸びは売上の伸びよりも大きくH27.12期は前年比で79%、H28.9期は年換算で4%の伸びを達成している。



(販管費)

売上、粗利の増加にともなって販管費も増加傾向にあるが、H27.12期は前年比36%の増加と粗利増加に比べて増加率が低く収益性が増した。
一方、H28.9期の販管費は短銃運年換算で前期比14%の増加と粗利の増加4%と比べて大きくなってしまい販管費負担が重くなっている。

H27.12期の販管費849百万円のうち給与267百万円、役員報酬99百万円、研究開発費23百万円が主なものである。


(営業損益)

上記の通り、H27.12期は粗利率の増加が販管費率の増加を大幅に上回ったため営業利益率は21.1%、営業利益額は642百万円を達成した。
H28.9期は販管費の増加率が粗利の増加率を超えており、営業利益率19%、営業利益額は436百万円であり前期比進捗率が68%と伸び悩んでいる。


(最終利益)

「最終利益÷営業利益」比率は、各期とも65%~72%であり、金額的に重要な営業外損益、特別損益、税金費用の調整はないと考えられ、営業利益に準じた最終利益を計上している。



【財政状態】
 

(財務諸表の特徴)

無借金であり、資産の大部分がキャッシュであることから財務内容は非常に安定している。
にもかかわらず、ROE,ROAはともに10%程度であり資産の余剰感はあまりない。



(IPO調達資金が自己資本へ与える影響)

想定発行価格と公募株式数に基づく調達資金は2,041百万円であり、直近純資産に対して117%の自己資本増加となる。



【株価】


(将来見込み)

H28.9期3Qの売上進捗率が前年同レベル、利益が前年割れとなっているが、H28.3期までの伸びは大きい点をどう評価するかによる。


(PER指標)

直近決算期であるH28.9期の利益を単純年換算した利益と想定発行価格を前提としたPER(希薄化株式考慮済)は19倍である。

H28.9期が横ばいであるものの割安感はある。


(PBR指標)

直近決算期であるH28.9期の純資産と想定発行価格による増資を前提としたPBRは2.1倍である。


(その他)

想定発行価格による増資とH28.9期の単純年間換算営業利益に基づいたEBIT倍率は8.0倍であり、EBITDA倍率は7.5倍でありマザーズIPO銘柄としては低めである。

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オロ(3983)
(単位:千円) H26.12 H27.12 増減 H28.9 進捗/増減
売上高 1,878,811 3,053,219 1,174,408 2,285,756 75%
年間予想 3,047,675 75%
売上総利益 835,219 1,492,415 657,196 1,160,400 78%
販管費 622,689 849,485 226,796 724,153 85%
営業利益 212,530 642,930 430,400 436,247 68%
年間予想 581,663 75%
減価償却費 34,852 41,344 6,492 28,419 69%
 EBITDA 247,382 684,274 436,892 464,666 68%
支配株主帰属利益 138,942 452,725 313,783 316,504 70%
年間予想 422,005 75%
簡易営業キャッシュフロー 173,794 494,069 320,275 344,923
年間予想 459,897
※年間予想はQ数値を年次に単純換算した金額
H26.12 H27.12 H28.9 予想
売上総利益率 44.5% 48.9% 50.8%
営業利益率 11.3% 21.1% 19.1% 19.1%
支配株主帰属利益率 7.4% 14.8% 13.8% 13.8%
最終利益÷営業利益 65.4% 70.4% 72.6% 13.8%
オロ(3983)の財政状態
H28.9
現預金等 1,316,933
流動資産 1,985,055
流動負債 448,865
 流動資産ー流動負債 1,536,190
 うち現金短借以外 219,257
有利子負債(流動) 0
有利子負債(固定) 0
 有利子負債計 0
ネット有利子負債 △1,316,933
固定資産 226,897
固定負債 0
純資産 1,763,087
非支配株主持分 887
親会社所有者持分 1,762,200
流動比率 442%
固定長期適合率 13%
自己資本比率 80%
有利子負債比率 0%
オロ(3983)の利益指標
H28.9 予想
ROE 11.1% 11.1%
ROA 9.9% 9.9%
オロ(3983)の株式数,時価総額の見込み
上場前発行済株式 3,000,000 自己株式除く
上場時発行済株式 1,150,000 オーバーアロットメント含
引受価額 1,775.6
上場時調達見込額 2,041,940 千円
調達後親会社所有者持分 3,804,140
上場時増資額/直近純資産 116%
直近株価 1,930 想定発行価格
時価総額 8,009,500 千円
非支配株主持分 887
純有利子負債 △3,358,873
事業価値 4,651,514
潜在株 0 潜在株割合 0.0%
オロ(3983)の株価指標
指標 H28.9 予想
EBIT倍率 8.0 8.0
EBITDA倍率 7.5
営業利益PER 10.0 13.8
PER 19.0 19.0
PBR 2.1
オロ(3983)における従業員の状況
H29.1
連結人員 320
親会社単体人員 196
親会社単体平均年齢 32.5
親会社単体平均年収 4,818 千円
※ビジネスソリューション事業116人、コミュニケーションデザイン事業169人、共通35人