IPO予定のグリーンズ(6547)の財務分析と初値予想

2017/02/19

IPO

【事業】

設立:1964年1月
本社所在地:三重県四日市市
事業内容:ホテル(コンフォートホテルなど)、レストラン、バンケットの運営
業種分類:サービス業
決算:6月
上場市場:市場2部
監査人:仰星監査法人
主幹事証券:野村證券
社長:松井清、昭和31年生まれ、会長は村木敏雄、昭和16年生まれ、法華倶楽部出身、創業者
沿革:昭和32年「四日市ホテル」として創業、平成11年米国チョイスホテルズインターナショナル社とフランチャイズ契約を締結し「コンフォートホテル開業」、平成21年三重県中小企業再生支援協議会による再生開始、平成25年再生支援終了


【損益】

(総括)

直近5年で売上に関してH24.6期は21,052百万円であったが毎期増収継続し、H28.6期は25,006百万円を達成した。

経常利益も増収傾向にありH24.6期は958百万円だったものがH27.6期は20億円を超えて、H28.6期は2,270百万円まで伸ばしている。

最終利益はH26.6期に939百万円の赤字を出したほかは黒字でありH27.6期以降は10億円以上の最終利益を計上している。


①チョイスホテルズ事業(直近H28.12期2Q 売上9,999百万円、営業利益●百万円)

 宿泊特化型ホテルである「コンフォート」ブランドホテルを政令指定都市で運営。
 コンフォートホテルが全国49店舗、低価格のコンフォートインが3店舗ある。子会社のチョイスホテルズジャパンが日本における「コンフォート」ブランドの独占的及び優先的使用権を保有している。なお、本契約においては毎年12月31日を期日とする開発割当店舗数が定められており、当該割当店
舗数を達成できなかった場合に解約事由に抵触する点留意しなければならない。
 その他、ロードサイド型ホテルブランド「ベストイン」(H27.7買収)を7店舗運営している。

②グリーンズホテルズ事業(直近H28.12期2Q 売上3,686百万円、営業利益●百万円)

 宴会場やレストラン等を併設したホテルから宿泊特化型のホテルまで地域特性に合わせたホテルを展開


 ホテルの運営は自社不動産保有による「所有直営方式」は4店舗のみでありその他はホテルオーナーが建築したホテルを賃借する「リース方式」を採用している。



(売上、売上総利益)

 売上高はH28.6期、H28.12期ともに増収を継続しており、それぞれ前期比で11%、9%の増加を達成している。

 粗利率はH27.6期、H28.6期はそれぞれ23.5%であるが、H28.12期は28.3%と大幅改善している。
季節的な変動要素もあると考えられるが、売上高の増加と相俟って、売上総利益額はH27.6期が5,251百万円、H28.6期が5,871百万円、H28.12期2Qで3,877百万円と粗利の拡大傾向は続いている。


(販管費、営業損益)

 売上、粗利の拡大に伴い販管費についても増加傾向にあり、H28.6期、H28.12期ともに前年比16%の増加である。

 販管費に半分以上を占めるのが販売手数料でありコンフォートホテルのフランチャイズフィー等であると予想できる。


(営業損益)

上記のとおり、販管費は毎期増加しているもののそれ以上の粗利の増加があるため営業利益はH28.6期は前期比5%増加、H28.12期2Q単純年換算額は前期比57%の増加と増益が継続している。


(最終利益)

「最終利益÷営業利益」比率は57%~69%で推移している。
H28.6期が57%と低かった理由は減損損失を168百万円計上していたためである。


【財政状態】
 

(財務諸表の特徴)

ホテルの大部分はリース方式を採用しているため土地建物は大きくないが、差入保証金が固定資産の45%の4,485百万円を占めるなど固定化された資金は大きい。

自己資本比率は28%、有利子負債比率は167%とホテル業として投資資金が必要なため借入金依存度が高い点は特徴的である。


(ROAとROE)

直近決算期であるH28.12期2Qの純資産と想定発行価格による増資と直近決算期の利益を前提としたROA、ROEはそれぞれ12.8%、30.5%と高水準である。

リース方式によるホテル運用により資産額を抑えられており投資収益性は高いと言える。



(IPO調達資金が自己資本へ与える影響)

想定発行価格と公募株式数に基づく調達資金は3,726百万円であり、直近純資産に対して83%の自己資本増加となる。
IPO増資資金により多少自己資本比率等の財務内容も改善することが期待される。



【株価】


(将来見込み)

コンフォートホテルの代理店契約について開発割当店舗数のしばり等が気になるが、今後も安定した開発が余儀なくされるという意味では将来の規模拡大は継続されることが期待できる。



(PER指標)

直近決算期であるH28.12期の利益を単純年換算した利益と想定発行価格を前提としたPER(希薄化株式考慮済)は7.0倍と非常に割安である。
3~4Qが季節的変動により売上が落ちると考えても割安な水準である。


(PBR指標)

直近決算期であるH28.12期の純資産と想定発行価格による増資を前提としたPBRは2.1倍である。


(その他)

想定発行価格による増資とH28.12期の単純年間換算営業利益に基づいたEBIT倍率は4.9倍であり、EBITDA倍率は4.4倍であり、こちらの指標も割安感がある。

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グリーンズ(6547)
(単位:千円) H27.6 H28.6 増減 H28.12 進捗/増減
売上高 22,494,213 25,006,861 2,512,648 13,681,370 55%
年間予想 27,362,740 50%
売上総利益 5,251,333 5,871,259 619,926 3,877,416 66%
販管費 3,091,003 3,592,576 501,573 2,088,302 58%
営業利益 2,160,330 2,278,683 118,353 1,789,114 79%
年間予想 3,578,228 50%
減価償却費 224,892 333,312 108,420 190,600 57%
 EBITDA 2,385,222 2,611,995 226,773 1,979,714 76%
支配株主帰属利益 1,387,904 1,289,714 △98,190 1,249,658 97%
年間予想 2,499,316 50%
簡易営業キャッシュフロー 1,612,796 1,623,026 10,230 1,440,258
年間予想 2,880,516
※年間予想はQ数値を年次に単純換算した金額
H27.6 H28.6 H28.12 予想
売上総利益率 23.3% 23.5% 28.3%
営業利益率 9.6% 9.1% 13.1% 13.1%
支配株主帰属利益率 6.2% 5.2% 9.1% 9.1%
最終利益÷営業利益 64.2% 56.6% 69.8% 9.1%
グリーンズ(6547)の財政状態
H28.12
現預金等 3,946,531
流動資産 5,848,959
流動負債 5,521,059
 流動資産ー流動負債 327,900
 うち現金短借以外 △1,341,738
有利子負債(流動) 2,276,893
有利子負債(固定) 5,211,272
 有利子負債計 7,488,165
ネット有利子負債 3,541,634
固定資産 9,906,507
固定負債 5,762,930
純資産 4,471,477
非支配株主持分 0
親会社所有者持分 4,471,477
流動比率 106%
固定長期適合率 97%
自己資本比率 28%
有利子負債比率 167%
グリーンズ(6547)の利益指標
H28.12 予想
ROE 30.5% 30.5%
ROA 12.8% 12.8%
グリーンズ(6547)の株式数,時価総額の見込み
上場前発行済株式 10,000,000 自己株式除く
上場時発行済株式 3,000,000 オーバーアロットメント含
引受価額 1,242.0
上場時調達見込額 3,726,000 千円
調達後親会社所有者持分 8,197,477
上場時増資額/直近純資産 83%
直近株価 1,350 想定発行価格
時価総額 17,550,000 千円
非支配株主持分 0
純有利子負債 △184,366
事業価値 17,365,634
潜在株 0 潜在株割合 0.0%
グリーンズ(6547)の株価指標
指標 H28.12 予想
EBIT倍率 4.9 4.9
EBITDA倍率 4.4
営業利益PER 3.8 4.9
PER 7.0 7.0
PBR 2.1
グリーンズ(6547)における従業員の状況
H29.1
連結人員 634
親会社単体人員 608
親会社単体平均年齢 36.7
親会社単体平均年収 4,169 千円
※チョイスホテル事業365人、グリーンホテルズ事業210人、共通59人。