マザーズから市場一部への変更を発表したエボラブルアジア(6191)の財務内容と株価を分析する。
設立:平成19年5月
上場:平成28年3月、マザーズ上場、公募価格1,800円、初値2,670円
役員:社長である吉村英毅と会長の大石崇が共同で設立。会長は昭和47年生まれ、社長は昭和57年生まれ。
【事業】※売上、営業損益金額はH28.12期1Q数値。
①オンライン旅行事業:Bt oCサービス(一般消費者向けの旅行商材の横断検索、比較サイトの運営)、
Bt oBt oCサービス(提携先企業のブランドにてトラベルコンテンツを提供する事業)、Bt oBサービス(他社旅行会社に対するホールセール事業)、BTMサービス(企業の出張に係る社内承認手続き及び手配を当社のクラウドサービスにより一元管理する事業)を提供。
・売上889百万円
・営業損益297百万円
売上先として依存度が高い先としてH28.9期はナニワツーリス向けが43%、ジャルセールス向けが24%であった。
②I Tオフショア開発事業事業:ベトナムのホーチミン、ハノイ及びダナンにおいて、主にEコマース会社、Webソリューション会社、ゲーム会社、システム開発会社等を顧客として、ラボ型の開発サービスを提供。
・売上333百万円
・営業損益24百万円
【株主】
筆頭株主は大石崇氏(会長)が46%保有。
【損益(直近)】
(売上、売上総利益)
売上高についてH28.9期は前期比45%増加、H28.12期1Qは前年同期比で44%増加と4割程度の増加を維持している。
売上総利益率は80%を超えており、売上の増加と比例して粗利も増加傾向にある。
(販管費、営業損益)
販管費は売上高の増加に応じて増加傾向にあり、H28.9期は前期比58%の増加、H28.12期は前期比29%の増加である。
しかし、H28.9期は粗利の増加率64%よりも販管費の増加率が低かったため営業利益は前期比98%とほぼ倍増の618百万円を計上した。
H28.12期1Qの販管費は前期比30%の進捗であり、売上の進捗率30%と同じであったため、営業利益の前期比進捗率は32%となった。
H28.9期の販管費27億円のうち、12億円は広告宣伝費であり最も大きな割合を占めている。
(最終利益)
「最終利益÷営業利益」はH27.9期、H28.9期はともに55%程度であった。
非支配株主帰属利益がそれぞれ22百万円、52百万円あったことが要因である。
【財政状態】
(財務諸表の特徴)
自己資本比率が57%、負債比率が12%、ネットキャッシュが2,086百万円と財務内容は非常に安定している。
(ROAとROE)
年間予想利益に基づくROE、ROAはそれぞれ24.3%、13.2%と非常に高い。
【株価】
(将来見込み)
H28.1Qにおいて売上高、営業利益は前年同期比で約40%の増加を維持しているが、前期比40%の増加を2-4Qで継続しても年間予想数値の86%にとどまるため業績予想営業利益を達成することは簡単ではないと考えられる。
ただし、H28.9期は前期比50%超の売上高、営業利益を達成している点は考慮すべきである。
(PER指標)
直近Q決算を基にしたPERは86.7倍、予想利益に基づくPERは86.7倍である。
非常に高水準であり将来性を期待された株価となっている。
(PBR指標)
直近Q決算期であるH28.12期の純資産を前提としたPBRは21倍である。
高水準であるが、ROEが24%を超えているため参考数値と考えるべきである。
(その他)
H28.12期の財務内容と単純年間換算営業利益に基づいたEBIT倍率は56.7倍であり、EBITDA倍率は49.7倍である。
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エボラブルアジア(6191) | |||||
(単位:千円) | H27.9 | H28.9 | 増減 | H28.12 | 進捗/増減 |
売上高 | 2,754,912 | 4,000,643 | 1,245,731 | 1,202,073 | 30% |
前年同期数値/前期比 | 832,810 | 144% | |||
年間売上予想⇒ | 6,147,000 | 20% | |||
売上総利益 | 2,025,135 | 3,321,628 | 1,296,493 | 1,007,901 | 30% |
販管費 | 1,712,260 | 2,703,226 | 990,966 | 809,156 | 30% |
営業利益 | 312,875 | 618,402 | 305,527 | 198,745 | 32% |
前年同期数値/前期比 | 143,023 | 139% | |||
年間営業利益予想⇒ | 1,001,000 | 20% | |||
減価償却費 | 63,843 | 89,061 | 25,218 | 28,257 | 32% |
EBITDA | 376,718 | 707,463 | 330,745 | 227,002 | 32% |
支配株主帰属利益 | 172,482 | 340,321 | 167,839 | 147,804 | 43% |
前年同期数値/前期比 | 82,365 | 179% | |||
年間利益予想⇒ | 594,000 | 25% | |||
簡易営業キャッシュフロー | 236,325 | 429,382 | 193,057 | 176,061 | |
H27.9 | H28.9 | H28.12 | 予想 | ||
売上総利益率 | 73.5% | 83.0% | 83.8% | ||
営業利益率 | 11.4% | 15.5% | 16.5% | 16.3% | |
支配株主帰属利益率 | 6.3% | 8.5% | 12.3% | 12.3% | |
最終利益÷営業利益 | 55.1% | 55.0% | 74.4% | 59.3% | |
エボラブルアジア(6191)の財政状態 | |||||
H28.12 | |||||
現預金等 | 2,395,113 | ||||
流動資産 | 3,553,983 | ||||
流動負債 | 1,755,284 | ||||
流動資産ー流動負債 | 1,798,699 | ||||
うち現金短借以外 | △371,277 | ||||
有利子負債(流動) | 225,137 | ||||
有利子負債(固定) | 83,245 | ||||
有利子負債計 | 308,382 | ||||
ネット有利子負債 | △2,086,731 | ||||
固定資産 | 958,192 | ||||
固定負債 | 186,228 | ||||
純資産 | 2,570,663 | ||||
非支配株主持分 | 125,784 | ||||
親会社所有者持分 | 2,444,879 | ||||
流動比率 | 202% | ||||
固定長期適合率 | 35% | ||||
自己資本比率 | 57% | ||||
有利子負債比率 | 12% | ||||
エボラブルアジア(6191)の利益指標 | |||||
H28.12 | 予想 | ||||
ROE | 24.2% | 24.3% | |||
ROA | 13.1% | 13.2% | |||
エボラブルアジア(6191)の株式数,時価総額の見込み | |||||
直近Q発行済株式 | 16,682,419 | 自己株式除く | |||
新株発行予定 | 0 | ||||
希薄化率 | 0% | ||||
新株引受価額 | 2,595.3 | 円 | |||
増資時調達見込額 | 0 | 千円 | |||
調達後親会社所有者持分 | 2,444,879 | ||||
増資額/直近純資産 | 0% | ||||
直近株価 | 2,821 | H290325終値 | |||
時価総額 | 47,061,104 | 千円 | |||
非支配株主持分 | 125,784 | ||||
純有利子負債 | △2,086,731 | ||||
事業価値 | 45,100,157 | ||||
潜在株(直近決算期) | 1,495,800 | 潜在株割合 | 9.0% | ||
エボラブルアジア(6191)の株価指標 | |||||
指標 | H28.12 | 予想 | |||
EBIT倍率 | 56.7 | 45.1 | |||
EBITDA倍率 | 49.7 | ||||
営業利益PER | 64.5 | 51.2 | |||
PER | 86.7 | 86.3 | |||
PBR | 21.0 | ||||
エボラブルアジア(6191)における従業員の状況 | |||||
H28.9 | |||||
連結人員 | 616 | 人 | |||
親会社単体人員 | 67 | 人 | |||
親会社単体平均年齢 | 32.4 | 才 | |||
親会社単体平均年収 | 4,731 | 千円 | |||
一人あたり年間粗利(連結) | 6,545 | 千円 | |||
一人あたり年間販管費(連結) | 5,254 | 千円 |