ジェイテクト(6473)による富士機工(7260)向けTOBを分析

2017/04/29

企業分析

H29.4.29にジェイテクトが冨士機工を完全子会社化する目的で公開買付を実施する旨が公表された。

TOB価格は740円でプレミアムは23.3%である。

ただし、富士機工のシート事業は会社分割によりH29.10.2に株式会社タチエス(富士機工の2番株主)へ6十億円で譲渡するとのことである。

シート事業の簿価純資産は12十億円(全社では78十億円)、売上は34十億円(全社合計の3割)、営業利益は931百万円(全体の14%)である。

ジェイテクトの筆頭株主はトヨタであり22.5%を保有されている。

また、富士機工はジェイテクトの持分法適用会社(H16から)であった。


TOB価格を前提とするとジェイテクトの買収価格総額はTOB総額の26十億円-シート事業の譲渡代金6十億円=20十億円の資金が必要となる。

ジェイテクトはネットデットが大きいため買収資金を調達する必要がある。

しかし、富士機工を連結子会社化することによるメリットとして5年ののれの償却後であっても最終利益の増加、ROEの改善が図られると見られる。

詳細な数値分析は以下のとおり。

【TOB当事者】
TOB対象者 富士機工(7260)
TOB実施者 ジェイテクト(6473)
【公開買付期間】
条件整い次第
30日程度
【買取株式】
直近株価 600
TOB価格 740
プレミアム 23.3%
直近発行済株数 53,033,315 自己株除く
公開買付者既保有 17,760,000
既保有割合 33.5%
下限買取株式数 17,595,600 33.2%
上限買取株式数 35,273,315 66.5%
下限買収額 13,021 百万円
上限買収額 26,102 百万円
【買取新株予約権】
TOB価格 -
直近新株予約権残数 -
買収額 - 百万円
【TOB対象会社である富士機工(7260)の財務内容】
現預金 11,801 百万円
有利子負債 10,999 百万円
純資産 35,126 百万円
総資産 78,750 百万円
実績営業利益 6,708 百万円
実績最終利益 4,271 百万円
ROE 12.2%
ROA 5.4%
PBR(直近時価前提) 0.91
PBR(TOB価格前提) 1.12
利益/時価総額 13.4%
PER(直近時価前提) 7.5
利益/TOB価格総額 10.9%
PER(TOB価格前提) 9.2
【TOB実施会社であるジェイテクト(6473)の財務内容】
現預金 71,401 百万円
有利子負債 186,820 百万円
純資産 487,738 百万円
総資産 1,117,851 百万円
計画営業利益 68,000 百万円
計画最終利益 42,000 百万円
ROE 8.6%
ROA 3.8%
【TOBがジェイテクト(6473)の決算にあたえる影響】
のれん資産計上額 2,739 百万円
のれん償却年数 5
のれん償却費 548 百万円
買収後営業利益増加 6,160 百万円
買収後最終利益増加 882 百万円
投資利回り 3.4%
買収後ROA 3.7%
買収後ROE 8.8%