パナソニック(6752)によるパナホーム(1924)向けTOBの分析

2017/04/21

企業分析

H29.4.21にパナソニック(6752)がパナホーム(1924)を公開買付することが公表された。

H28.12.20では株式交換により完全子会社化することが公表されていていたが、H29 年度税制改正によりTOBによる完全子会社化によっても、パナホームの連結納税参加時点の時価評価損益を実現させなくてもいいとの解釈によりスキームを変更したとのこと。

これにより、パナソニックにおいて資本コストの削減、株式の希薄化が回避できるメリットがある。

今回は既存子会社の追加取得による完全子会社化であるためパナソニックの連結PLに与える影響は株主帰属利益が非支配株主分だけ増加するメリットがあるのみである。

子会社の追加取得スキームであり、そもそも米国基準会計であるためのれんの償却負担はない。

6,986百万円(追加取得分ののれん見合い分)の資本剰余金の減額が生じるのみである。

なお、パナホームの株主としてファンドのOasisが平成29年3月28日時点で15,085千株(8.98%)を保有しており、1,050円でのTOB実施の提案を受けていた。



【TOB当事者】
TOB対象者 パナホーム(1924)
TOB実施者 パナソニック(6752)
【公開買付期間】
2017/4/28
2017/6/13
【買取株式】
直近株価 1,031
TOB価格 1,200
プレミアム 16.4%
直近発行済株数 168,021,742 自己株除く
公開買付者既保有 91,036,634
既保有割合 54.2%
下限買取株式数 76,985,108 45.8%
上限買取株式数 76,985,108 45.8%
下限買収額 92,382 百万円
上限買収額 92,382 百万円
【買取新株予約権】
TOB価格 -
直近新株予約権残数 -
買収額 - 百万円
【TOB対象会社であるパナホーム(1924)の財務内容】
現預金 23,545 百万円
有利子負債 2,717 百万円
純資産 157,612 百万円
総資産 283,217 百万円
計画営業利益 11,800 百万円
計画最終利益 7,500 百万円
ROE 4.8%
ROA 2.6%
PBR(直近時価前提) 1.10
PBR(TOB価格前提) 1.28
利益/時価総額 4.3%
PER(直近時価前提) 23.1
利益/TOB価格総額 3.7%
PER(TOB価格前提) 26.9
EPS(一株利益) 44.6
BPS(一株持分) 938.0
【TOB実施会社であるパナソニック(6752)の財務内容】
現預金 1,146,300 百万円
有利子負債 1,124,818 百万円
純資産 1,835,236 百万円
総資産 6,145,007 百万円
計画営業利益 265,000 百万円
計画最終利益 130,000 百万円
ROE 7.1%
ROA 2.1%
【TOBがパナソニック(6752)の決算にあたえる影響】
資本剰余金マイナス 6,986 百万円
のれん償却年数 償却なし
のれん償却費 計上なし 百万円
買収後営業利益増加 - 百万円 子株追加取得のため
買収後最終利益増加 4,064 百万円
投資利回り 4.4%
買収後ROA 変更なし 子株追加取得のため
買収後ROE 7.3%