IPO予定のジェイ・エス・ビー(3480)の財務分析と初値予想

2017/06/14

IPO

【想定発行価格の印象】
:直近Q業績続けば非常に割安

【法人概要】
設立:1990年7月
本社所在地:京都市下京区因幡堂町
事業内容:学生向け不動産賃貸管理事業、高齢者住宅事業ほか
業種分類:不動産業
決算:10月
上場市場:市場2部
監査人:トーマツ
主幹事証券:三菱UFJモルガンスタンレー証券
社長:田中剛、会長である岡靖子が実質駅オーナー(53%保有)、京都市役所を経て入社

【実施する事業】

親会社+連子8社+持分法1社でグループ構成。(子会社は全て親会社が100%保有)
不動産賃貸管理事業、不動産販売事業、高齢者住宅事業及びその他事業を実施。

①不動産賃貸管理事業
(直近28.10期 売上32,026百万円、営業利益3,804百万円/29.4期2Q 売上18,348百万円、営業利益3,172百万円)
学生を対象としたマンションの企画提案、竣工後の建物の賃貸運営及び管理業務を実施。
オーナーに対して一括借り上げ、家賃保証、学生へ転貸のモデルである。その他、家賃回収代行、建物メンテナンス、入居サポート等も実施。


②不動産販売事業
(直近28.10期 売上14百万円、営業利益7百万円/29.4期2Q 売上169百万円、営業利益28百万円)
販売用不動産として取得した土地、マンションや商業ビル等の不動産について、売主として第三者へ売却する事業


③高齢者住宅事業
(直近28.10期 売上1,670百万円、営業利益236百万円/29.4期2Q 売上796百万円、営業利益50百万円)
不動産オーナーに対して主としてサービス付き高齢者向け住宅による不動産の活用を企画提案し、竣工後の運営業務を受託。
その他訪問介護、通所介護、居宅介護支援、定期巡回・随時対応型訪問介護看護等も実施。


【単体直近5年(H24.10期~H28.10期)、連結直近2年(H27.10期~H28.10期)の業績推移】

売上高(単体):24十億円から29十億円へ拡大、特にH26.10期が前年比約4重億円の増加

売上高(連結):32十億円から34十億円へ拡大

経常利益(単体):537百万円から1,528百万円へ拡大

経常利益(連結):1,419百万円から2,063百万円へ拡大

最終利益は(単体):364百万円から904百万円へ拡大

最終利益(連結):811百万円から1,187百万円へ拡大

総資産(単体):19十億円から22十億円と拡大

総資産(連結):21十億円から23十億円へ拡大

純資産(単体):3,898百万円から5,850百万円へ拡大

純資産(連結):5,432百万円から6,483百万円へ拡大、自己資本比率も25.7%から27.4%へ改善

従業員数(単体):174人から195人へ拡大

従業員数(連結):728人から707人へ縮小




【損益(過去2期+直近Q)】


(売上、売上総利益)

売上:直近通年期前期比6%増、直近四半期単純年換算前期比37%増

粗利率:前々期12.1%、前期14%、直近四半期20%と改善中

売上総利益:売上高の増加、粗利率の改善により直近通年期前期比23%増、直近四半期単純年換算前期比96%増


(販管費、営業損益)

販管費:直近通年期前期比9%増、直近四半期単純年換算前期比20%増

営業利益:直近通年期前期比45%増、直近四半期単純年換算前期比187%増と大幅な増加


(最終利益)

「最終利益÷営業利益」:前々期53.7%、前期54.2%、直近四半期57.6%と以上な変動はない。


【財政状態】
 

(財務諸表の特徴)

純有利子負債3,047百万円、自己資本比率28%、有利子負債比率132%と有利子負債負担が比較的重い。
固定資産17十億円保有しており半分程度を有利子負債で調達していることが要因であるが、固定資産のうち建物が9十億円、土地が4.6十億円を占める。賃貸不動産を多額に自己所有しているためである。

なお、H28.10時点での賃貸不動産簿価10.6十億円に対して、時価(鑑定評価)は12.4十億円と1.8十億円の含み益を有している。

繰延税金資産は578百万円のうち396百万円を計上している。


(ROAとROE)

直近決算期であるH29.3期の純資産と想定発行価格による増資と直近決算期の利益を前提としたROA、ROEはそれぞれ12.6%、40.3%と非常に高い。



(IPO調達資金が自己資本へ与える影響)

想定発行価格と公募株式数に基づく調達資金は1,143百万円であり、直近純資産に対して15%の自己資本増加となる。



【株価】


(将来見込み)

賃貸用不動産の増加に合わせて不動産賃貸管理事業利益も増加しグループ全体の利益を押し上げている。
賃貸不動産は含み益もあり今後も期待できるが、不動産市況に影響されるビジネスである点留意すべきである。


(PER指標)

直近決算期であるH29.3期の利益を単純年換算した利益と想定発行価格を前提としたPER(希薄化株式考慮済)は4.1倍である。非常に低い。


(PBR指標)

直近決算期であるH29.3期の純資産と想定発行価格による増資を前提としたPBR(希薄化株式考慮済)は1.6倍である。非常に低い。


(その他)

想定発行価格による増資とH29.3期の単純年間換算営業利益に基づいたEBIT倍率は2.5倍であり、EBITDA倍率は2.2倍である。

 

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ジェイ・エス・ビー(3480)
(単位:千円) H27.10 H28.10 増減 H29.4 進捗/増減
売上高 32,058,755 34,063,698 2,004,943 19,504,252 57%
年間予想 46,810,205 42%
売上総利益 3,891,950 4,782,945 890,995 3,914,647 82%
販管費 2,381,910 2,591,901 209,991 1,295,533 50%
営業利益 1,510,040 2,191,044 681,004 2,619,114 120%
年間予想 6,285,874 42%
減価償却費 608,793 609,662 869 301,536 49%
 EBITDA 2,118,833 2,800,706 681,873 2,920,650 104%
支配株主帰属利益 811,629 1,187,197 375,568 1,509,000 127%
年間予想 3,621,600 42%
簡易営業キャッシュフロー 1,420,422 1,796,859 376,437 1,810,536
年間予想 4,345,286
※年間予想はQ数値を年次に単純換算した金額
H27.10 H28.10 H29.4 予想
売上総利益率 12.1% 14.0% 20.1%
営業利益率 4.7% 6.4% 13.4% 13.4%
支配株主帰属利益率 2.5% 3.5% 7.7% 7.7%
最終利益÷営業利益 53.7% 54.2% 57.6% 57.6%
ジェイ・エス・ビー(3480)の財政状態
H29.4
現預金等 7,271,294
流動資産 9,949,472
流動負債 8,244,381
 流動資産ー流動負債 1,705,091
 うち現金短借以外 △4,392,365
有利子負債(流動) 1,173,838
有利子負債(固定) 9,145,178
 有利子負債計 10,319,016
ネット有利子負債 3,047,722
固定資産 17,762,899
固定負債 11,631,847
純資産 7,836,143
非支配株主持分 0
親会社所有者持分 7,836,143
流動比率 121%
固定長期適合率 91%
自己資本比率 28%
有利子負債比率 132%
ジェイ・エス・ビー(3480)の利益指標
H29.4 予想
ROE 40.3% 40.3%
ROA 12.6% 12.6%
ジェイ・エス・ビー(3480)の株式数,時価総額の見込み
上場前発行済株式 4,037,000 自己株式除く
うち売出株数 117,200 当選枚数
上場時発行株式 401,100 オーバーアロットメント含 5,183
引受価額 2,852.0
上場時調達見込額 1,143,937 千円
調達後親会社所有者持分 8,980,080
上場時増資額/直近純資産 15%
直近株価 3,100 想定発行価格
時価総額 13,758,110 千円
非支配株主持分 0
純有利子負債 1,903,785
事業価値 15,661,895
潜在株 299,500 潜在株割合 6.7%
ジェイ・エス・ビー(3480)の株価指標
指標 H29.4 予想
EBIT倍率 2.5 2.5
EBITDA倍率 2.2
営業利益PER 2.3 2.3
PER 4.1 4.1
PBR 1.6
ジェイ・エス・ビー(3480)における従業員の状況
H29.5
連結人員 750
親会社単体人員 200
親会社単体平均年齢 38.8
親会社単体平均年収 4,141 千円
一人あたり年間粗利(連結) 12,527 千円
一人あたり年間販管費(連結) 4,146 千円