IPO予定のクロスフォー(7810)の財務分析と初値予想

2017/06/15

IPO

【想定発行価格の印象】
:季節的変動により4Q期待できないが3Q時点利益ベース指標でも割安、長期的には在庫保有、特許期間あるため不明

【法人概要】
設立:1987年8月
本社所在地:山梨県甲府市国母
事業内容:ジュエリー、アクセサリーの開発、製造、販売
業種分類:その他製品
決算:7月
上場市場:JASDAQスタンダード
監査人:あずさ監査法人
主幹事証券:みずほ証券
社長:土橋秀位、昭和29年生まれ、当社創業者

【実施する事業】

親会社+海外子会社2社の3社でグループを構成。
連単倍率は低く、数値の大部分は親会社で計上。

ジュエリー事業の単独セグメントである。

「Dancing Stone」を用いて、各グループ会社において、その独自の技術を利用した国内向けジュエリー・アクセサリー製品の製造販売、海外向けパーツの製造販売を主とした事業を実施。

各国で特許を取得しており日本での特許期間はH26年~H45年の20年間である。

また、季節的変動に関して、クリスマス商戦の締める割合が大きいため1Q、2Qの売上、利益が大きくなる傾向にあり。

H28.7期売上34億円のうち、20億円が日本向けである。


【単体直近5年(H24.7期~H28.7期)、連結直近2年(H27.7期~H28.7期)の業績推移】

売上高(単体):1,027百万円⇒4,094百万円へ拡大

売上高(連結):3,478百万円⇒4,111百万円へ拡大、直近連単倍率は100.4%であり親会社売上が大部分を占める。

経常利益(単体):▲55百万円⇒+930百万円へ増加、しかしH28.7期は5年間で初めて減益となった。

経常利益(連結):1,059百万円⇒973百万円へ減少

最終利益は(単体):▲54百万円⇒302百万円と拡大、直近2期は特別損失計上により経常利益に対して大幅な減額あり

最終利益(連結):398百万円⇒339百万円、単体と同様に特別損失計上により経常利益に対して大幅な減額あり

総資産(単体):1,524百万円⇒2,897百万円へ拡大

総資産(連結):2,286百万円⇒2,984百万円へ拡大、連単倍率は103%であり大部分を親会社資産が占める

純資産(単体):253百万円⇒967百万円と拡大

純資産(連結):871百万円⇒996百万円へ拡大

従業員数(単体):27人⇒53人

従業員数(連結):56人⇒64人




【損益(過去2期+直近Q)】


(売上、売上総利益)

売上:直近通年期前期比18%増、直近四半期単純年換算前期比17%増

粗利率:前々期51%、前期47%、直近四半期49%と下落傾向にある。原価は材料費、外注費が大部分である。
低下法原価算入額はH27.7期が20百万円、H28.7期が91百万円あり。

売上総利益:直近通年期前期比8%増、直近四半期単純年換算前期比22%増


(販管費、営業損益)

販管費:直近通年期前期比28%増、直近四半期単純年換算前期比44%増
H28.7期の販管費932百万円のうち主なものは販促費80百万円、給与211百万円、役員報酬98百万円、支払手数料115百万円である。

営業利益:直近通年期前期比5%減、直近四半期単純年換算前期比1%増


(最終利益)

「最終利益÷営業利益」:前々期38%、前期34%、直近四半期64%、H27.7期は特別損失として減損損失284百万円、H28.7期は関係会社生理損310百万円を計上。


【財政状態】
 

(財務諸表の特徴)

純有利子負債1,824百万円、自己資本比率31%、有利子負債比率188%と比較的負債依存度が高い。
在庫が14億円程度、建物が11億円程度と資産に占める割合が大きい。

繰延税金資産はH28.7期は230百万円のうち42百万円だけ計上している。
減損損失、棚卸資産評価損の一部は税金資産を計上していないと見られる。


(ROAとROE)

直近決算期であるH29.4期3Qの純資産と想定発行価格による増資と直近Q決算期の年度換算利益を前提としたROA、ROEはそれぞれ11.6%、25.8%と非常に高い。
資産利益効率は良いといえる。
しかし、季節的変動により4Qは業績が下落する点は留意すべき。



(IPO調達資金が自己資本へ与える影響)

想定発行価格と公募株式数に基づく調達資金は1,142百万円であり、直近純資産に対して83%の自己資本増加となり、IPO増資インパクトは大きいといえる。



【株価】


(将来見込み)

H29.4期3Qは大きな特別損失はないため、最終利益は拡大すると見られる。
しかし、4Qは季節的変動により業績が悪化する時期であるため留意が必要である。

将来的には、在庫金額が大きいため低下法による評価損計上による収益性悪化というリスクを含有しているが、足元の収益性は高いと言える。

また、特許期間が20年ということも頭に入れておくべきである。


(PER指標)

直近決算期であるH29.4期3Qの利益を単純年換算した利益と想定発行価格を前提としたPER(希薄化株式考慮済)は9.3倍である。
しかし、季節的変動により4Qは業績が下落する点は留意すべき。



(PBR指標)

直近決算期であるH29.4期3Qの純資産と想定発行価格による増資を前提としたPBR(希薄化株式考慮済)は2.4倍である。


(その他)

想定発行価格による増資とH29.4期3Qの単純年間換算営業利益に基づいたEBIT倍率は6.4倍であり、EBITDA倍率は6.1倍である。

 

スポンサーリンク


クロスフォー(7810)
(単位:千円) H27.7 H28.7 増減 H29.4 進捗/増減
売上高 3,478,332 4,111,016 632,684 3,212,543 78%
年間予想 4,818,815 67%
売上総利益 1,776,057 1,926,009 149,952 1,565,279 81%
販管費 728,091 932,231 204,140 895,573 96%
営業利益 1,047,966 993,778 △54,188 669,706 67%
年間予想 1,004,559 67%
減価償却費 23,895 23,836 △59 28,890 121%
 EBITDA 1,071,861 1,017,614 △54,247 698,596 69%
支配株主帰属利益 398,686 339,436 △59,250 433,475 128%
年間予想 650,213 67%
簡易営業キャッシュフロー 422,581 363,272 △59,309 462,365
年間予想 693,548
※年間予想はQ数値を年次に単純換算した金額
H27.7 H28.7 H29.4 予想
売上総利益率 51.1% 46.8% 48.7%
営業利益率 30.1% 24.2% 20.8% 20.8%
支配株主帰属利益率 11.5% 8.3% 13.5% 13.5%
最終利益÷営業利益 38.0% 34.2% 64.7% 64.7%
クロスフォー(7810)の財政状態
H29.4
現預金等 753,561
流動資産 2,754,197
流動負債 1,371,077
 流動資産ー流動負債 1,383,120
 うち現金短借以外 1,492,602
有利子負債(流動) 863,043
有利子負債(固定) 1,714,758
 有利子負債計 2,577,801
ネット有利子負債 1,824,240
固定資産 1,708,544
固定負債 1,717,654
純資産 1,374,010
非支配株主持分 0
親会社所有者持分 1,374,010
流動比率 201%
固定長期適合率 55%
自己資本比率 31%
有利子負債比率 188%
クロスフォー(7810)の利益指標
H29.4 予想
ROE 25.8% 25.8%
ROA 11.6% 11.6%
クロスフォー(7810)の株式数,時価総額の見込み
上場前発行済株式 6,273,000 自己株式除く
うち売出株数 0 当選枚数
上場時発行株式 1,725,000 オーバーアロットメント含 17,250
引受価額 662.4
上場時調達見込額 1,142,640 千円
調達後親会社所有者持分 2,516,650
上場時増資額/直近純資産 83%
直近株価 720 想定発行価格
時価総額 5,758,560 千円
非支配株主持分 0
純有利子負債 681,600
事業価値 6,440,160
潜在株 420,000 潜在株割合 5.3%
クロスフォー(7810)の株価指標
指標 H29.4 予想
EBIT倍率 6.4 6.4
EBITDA倍率 6.1
営業利益PER 6.0 6.0
PER 9.3 9.3
PBR 2.4
クロスフォー(7810)における従業員の状況
H29.5
連結人員 82
親会社単体人員 65
親会社単体平均年齢 34.5
親会社単体平均年収 4,944 千円
一人あたり年間粗利(連結) 28,633 千円
一人あたり年間販管費(連結) 16,382 千円