IPO予定のシェアリングテクノロジー(3989)の財務分析と初値予想

2017/07/01

IPO

【想定発行価格の印象】
:H29.3期コスト削減継続可能前提で割安


【法人概要】
設立:2006年11月
本社所在地:愛知県名古屋市中区丸の内
事業内容:ライフサービス領域に関する「バーティカルメディアサイト」及び総合プラットフォームサイト「生活110番」の運営、WEB集客にかかるコンサルティング業務等
業種分類:情報通信業
決算:9月
上場市場:マザーズ
監査人:新日本
主幹事証券:大和証券
社長:引字圭祐、持株56%


【実施する事業】

「バーティカルメディアサイト」の運営により暮らしの中での“お困りごと”を抱えるユーザーと、生活に密着したサービスを提供する専門業者とのマッチングを中心としたWEB事業を展開。

①WEBマーケティングサービス
(直近H28.9期 売上949百万円、前期比155%、H29.3期2Q 売上554百万円)

「バーティカルメディアサイト」を運営。ユーザーからの問い合わせを24時間体制で受け、加盟店へユーザーを紹介する。
収入は成功報酬型、紹介報酬型、その他の類型がある。
サービスの提供領域は119ジャンルあり、加盟店数は2,238店ある。マッチングは応札方式と手動方式があるが、手動方式は地域的考慮が必要な場合等に採用され例外的である。
カギ110番、雨漏り修理110番、シロアリ110番などである。
バーティカルサイトへの問い合わせ件数はH24.9期3,884件だったものがH28.9期は275,249件に伸びている。


②WEBコンサルティングサービス
(直近H28.9期 売上192百万円、前期比100%、H29.3期2Q 売上96百万円)

「WEBマーケティングサービス」により蓄積された知見・ノウハウを活用し、当社が依頼主の所有するインターネットサイトのうち、依頼主から指定されたインターネットサイトに対して様々なWEBコンサルティング施策を実施。
現在、サービス提供先はSSSEO株式会社の1社のみ。品川美容外科グループの広告運用を実施。



【単体直近5年(H24.9期~H28.9期))の業績推移】※連結はなし

売上高(単体):652百万円⇒1,141百万円と急拡大

経常利益(単体):▲24百万円⇒55百万円と黒字化、H27.9期から黒字化達成

最終利益は(単体):▲24百万円⇒21百万円

総資産(単体):171百万円⇒645百万円と急拡大

純資産(単体):17百万円⇒234百万円と急拡大、H26.9期(発行価格140円、分割考慮後)、H28.9期(発行価格610円、分割考慮後)に増資実行

従業員数(単体):19人⇒53人




【損益(過去2期+直近Q)】


(売上、売上総利益)

売上:直近通年期前期比42%増、直近四半期単純年換算前期比14%増と増収継続。

粗利率:前々期99.5%、前期99.7%、直近四半期99.7%と原価はほとんど発生しない。

売上総利益:原価はほとんど発生しないため直近通年期前期比42%増、直近四半期単純年換算前期比14%増と売上に連動。


(販管費、営業損益)

販管費:直近通年期前期比36%増、直近四半期単純年換算前期比17%減とH29.3期2Qはコスト削減を実行。
H28.9期の主なものは広告費344百万円、外注費202百万円、給与188百万円である。
H29.3期は広告費178百万円、給与109百万円となっており、外注費の削減が大きいと考えられる。

営業利益:直近通年期前期比479%増、直近四半期単純年換算前期比68%増と急拡大。H29.3期は売上増、販管費減により利益捻出効果が大きくなった。


(最終利益)

「最終利益÷営業利益」:前々期269%、前期37%、直近四半期62%。

H27.9期は特別利益として関係会社売却益17百万円の計上により、最終利益が営業利益に比べて大きくなっている。
また、逆にH28.9期は特別損失として減損損失15百万円(遊休ソフトウェア)の計上があるため最終利益は小さくなっている。


【財政状態】
 

(財務諸表の特徴)

自己資本比率37%、有利子負債比率123%とやや負債を保有している印象であるが、IPO資金受入金が10億円を超えるため資金受入後はキャッシュリッチとなる見込みである。

固定資産136百万円のうち、ソフトウェアが72百万円を占める。

繰延税金資産は大部分の一時差異について計上している。
大きな一時差異はソフトウェア、工具器具備品等であり減損等により生じたものだと考えられる。


(ROAとROE)

直近決算期であるH29.3期の純資産と想定発行価格による増資と直近Q決算期の年度換算利益を前提としたROA、ROEはそれぞれ16.8%、11.8%と10%を超えている。



(IPO調達資金が自己資本へ与える影響)

想定発行価格と公募株式数に基づく調達資金は1,119百万円であり、直近純資産に対して307%の自己資本増加となり、非常に大きな調達となる。



【株価】


(将来見込み)

H29.3期は売上の増加とコスト削減により利益が伸長しているが、外注費削減によるコスト減であり長期的に継続可能な利益かどうかは注視すべきである。


(PER指標)

直近決算期であるH29.3期の利益を単純年換算した利益と想定発行価格を前提としたPER(希薄化株式考慮済)は39.9倍である。


(PBR指標)

直近決算期であるH29.3期の純資産と想定発行価格による増資を前提としたPBR(希薄化株式考慮済)は6.7倍である。


(その他)

想定発行価格による増資とH29.3期の単純年間換算営業利益に基づいたEBIT倍率は19.6倍であり、EBITDA倍率は18.5倍である。

 

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シェアリングテクノロジー(3989)
(単位:千円) H27.9 H28.9 増減 H29.3 進捗/増減
売上高 806,504 1,141,757 335,253 650,912 57%
年間予想 1,301,824 50%
売上総利益 802,176 1,137,845 335,669 648,974 57%
販管費 792,329 1,080,842 288,513 447,199 41%
営業利益 9,847 57,003 47,156 201,775 354%
年間予想 403,550 50%
減価償却費 17,015 25,209 8,194 13,004 52%
 EBITDA 26,862 82,212 55,350 214,779 261%
支配株主帰属利益 26,559 21,392 △5,167 124,850 584%
年間予想 249,700 50%
簡易営業キャッシュフロー 43,574 46,601 3,027 137,854
年間予想 275,708
※年間予想はQ数値を年次に単純換算した金額
H27.9 H28.9 H29.3 予想
売上総利益率 99.5% 99.7% 99.7%
営業利益率 1.2% 5.0% 31.0% 31.0%
支配株主帰属利益率 3.3% 1.9% 19.2% 19.2%
最終利益÷営業利益 269.7% 37.5% 61.9% 61.9%
シェアリングテクノロジー(3989)の財政状態
H29.3
現預金等 697,649
流動資産 854,594
流動負債 290,145
 流動資産ー流動負債 564,449
 うち現金短借以外 △18,200
有利子負債(流動) 115,000
有利子負債(固定) 335,000
 有利子負債計 450,000
ネット有利子負債 △247,649
固定資産 136,669
固定負債 336,382
純資産 364,736
非支配株主持分 0
親会社所有者持分 364,736
流動比率 295%
固定長期適合率 19%
自己資本比率 37%
有利子負債比率 123%
シェアリングテクノロジー(3989)の利益指標
H28.9 H29.3 予想
ROE 1.4% 16.8% 16.8%
ROA 1.0% 11.8% 11.8%
シェアリングテクノロジー(3989)の株式数,時価総額の見込み
上場前発行済株式 5,178,400 自己株式除く
うち売出株数 600,000 当選枚数
上場時発行株式 780,000 オーバーアロットメント含 13,800
引受価額 1,435.2
上場時調達見込額 1,119,456 千円
調達後親会社所有者持分 1,484,192
上場時増資額/直近純資産 307%
直近株価 1,560 想定発行価格
時価総額 9,295,104 千円
非支配株主持分 0
純有利子負債(ipo資金受入後) △1,367,105
事業価値 7,927,999
潜在株 432,300 潜在株割合 7.3%
シェアリングテクノロジー(3989)の株価指標
指標 H28.9 H29.3 予想
EBIT倍率 139.1 19.6 19.6
EBITDA倍率 96.4 18.5
営業利益PER 174.9 24.7 24.7
PER 466.0 39.9 39.9
PBR 6.7
シェアリングテクノロジー(3989)における従業員の状況
H29.5
連結人員 82
親会社単体人員 28
親会社単体平均年齢 28.7
親会社単体平均年収 3,408 千円
一人あたり年間粗利(連結) 15,829 千円
一人あたり年間販管費(連結) 10,907 千円