IPO予定のソウルドアウト(6553)の財務分析と初値予想

2017/06/08

IPO

【想定発行価格の印象】
:親会社であるオプトホールディングよりもやや低めのPERでありやや安い印象

【法人概要】
設立:2009年12月
本社所在地: 東京都千代田区神田駿河台三丁目
事業内容: 地方及び中堅・中小企業向けネットビジネス支援事業(Webマーケティング、HR、IT化領域を支援するサービスの提供)
業種分類:サービス業
決算:12月
上場市場:マザーズ
監査人:あずさ監査法人
主幹事証券: 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
社長:荻原猛、昭和48年生まれ、オプトホールディング社長
株主:オプトホールディング(2389)60%保有、ヤフー30%保有

※オプトホールディング:ネット広告の専業代理店、業界2位

【実施する事業】

親会社+連結子会社3社で構成。セグメントはネットビジネス支援事業の単一セグメントである。

①Webマーケティング支援(インターネット広告販売代理等)/親会社が実施

②HR支援(人的資源の調達・教育研修)/ヤフーとの合弁であるサーチライフ(親会社持株80%)、グロウスギアが実施

③IT化支援(人工知能技術を活用したツールの導入など)/テクロコが実施



【直近5年の業績推移】

売上高(単体):H24.12期~H28.12期にかけて毎期増収増益を確保。

売上高(連結):H27.12期~H28.12期に掛けて増収を達成。H28.12期の連単倍率は108%である。

経常利益(単体):H24.12期~H28.12期にかけて売上の増加と同様に増益傾向にありH28.12期は310百万円を達成。ただし、H25.12期のみ52百万円と前期比マイナスに陥った。

経常利益(連結):H27.12期~H28.12期に掛けて増益を達成。H28.12期の連単倍率は158%と利益の子会社依存度が比較的高い。

最終利益は(単体):経常利益と同様の推移であり、H28.12期は186百万円を達成。

最終利益(連結):経常利益と同様の推移であり、H28.12期は310百万円を達成。連単倍率は167%と子会社依存度が高い。

総資産(単体):H24.12期~H28.12期にかけて拡大傾向にあり、15億円から25億円まで拡大している。

総資産(連結):H28.12期の総資産は27億円であり連単倍率は109%と利益連単倍率よりは低い。

純資産(単体):利益計上とともに拡大傾向にある。H25.12期に資本金が8,880千円から50,000千円に拡大しており増資があったことが分かる。

純資産(連結):H28.12期は利益計上分だけ純資産は増加し714百万円となった。自己資本比率は25%とやや低い印象あり。

従業員数(単体):H24.12期~H28.12期にかけて事業拡大にともない74人から164人と5年間で倍以上となった。

従業員数(連結):H28.12期は210人であり、人員連単倍率は128%である。




【損益(過去2期+直近Q)】


(売上、売上総利益)

売上:直近通年期前期比10%増、直近四半期単純年換算前期比27%増

粗利率:前々期23.5%、前期27.5%、直近四半期23.9%

売上原価の大部分はyahoo,google向けの媒体費であると考えられる。

売上総利益:直近通年期前期比29%増、直近四半期単純年換算前期比10%増

H29.3期は売上は伸びたものの、粗利率が前期比下落したため、粗利額の伸びは穏やかとなっている。


(販管費、営業損益)

販管費:直近通年期前期比19%増、直近四半期単純年換算前期比4%減と販管費はおさえられている。
H28.12期の1,862百万円のうち、給与手当が833百万円、業務委託費が163百万円を占めている。

営業利益:直近通年期前期比84%増、直近四半期単純年換算前期比63%増

H29.3期は粗利額の伸びは大きくなかったが、販管費は抑えられていたため営業利益額の伸びは大きくなった。


(最終利益)

「最終利益÷営業利益」:前々期55%、前期59%、直近四半期64%で推移している。
営業利益額の増加に応じて最終利益も増加傾向にある。


【財政状態】
 
(財務諸表の特徴)

有利子負債は大きくないが、買掛金等の非有利子負債の金額が比較的大きいため自己資本比率は29%と高くはない。

固定資産450百万円のうちソフトウエアが230百万円を占めている。償却年数は5年である。

繰延税金資産は一時差異についてスケジューリング可能なものについて全額計上していると見られる。


(ROAとROE)

直近決算期であるH29.3期の純資産と想定発行価格による増資と直近決算期の利益を前提としたROA、ROEはそれぞれ34.3%、15.0%と非常に高い。



(IPO調達資金が自己資本へ与える影響)

想定発行価格と公募株式数に基づく調達資金は753百万円であり、直近純資産に対して約100%の自己資本増加となる。



【株価】


(将来見込み)

現状の売上、利益の伸び、及び各種事業の将来性を加味すればさらなる事業の拡大が期待できるのではないか。


(PER指標)

直近決算期であるH29.3期の利益を単純年換算した利益と想定発行価格を前提としたPER(希薄化株式考慮済)は22倍である。


(PBR指標)

直近決算期であるH29.3期の純資産と想定発行価格による増資を前提としたPBR(希薄化株式考慮済)は7.5倍である。
PBRは高めであるが、ROEが高い点は留意すべきである。


(その他)

想定発行価格による増資とH29.3期の単純年間換算営業利益に基づいたEBIT倍率は11.5倍であり、EBITDA倍率は10.6倍である。

 

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ソウルドアウト(6553)
(単位:千円) H27.12 H28.12 増減 H29.3 進捗/増減
売上高 7,785,719 8,552,708 766,989 2,719,071 32%
年間予想 10,876,284 25%
売上総利益 1,826,147 2,354,953 528,806 649,081 28%
販管費 1,558,663 1,862,588 303,925 448,946 24%
営業利益 267,484 492,365 224,881 200,135 41%
年間予想 800,540 25%
減価償却費 22,430 49,253 26,823 16,564 34%
 EBITDA 289,914 541,618 251,704 216,699 40%
支配株主帰属利益 147,577 293,680 146,103 129,009 44%
年間予想 516,036 25%
簡易営業キャッシュフロー 170,007 342,933 172,926 145,573
年間予想 582,292
※年間予想はQ数値を年次に単純換算した金額
H27.12 H28.12 H29.3 予想
売上総利益率 23.5% 27.5% 23.9%
営業利益率 3.4% 5.8% 7.4% 7.4%
支配株主帰属利益率 1.9% 3.4% 4.7% 4.7%
最終利益÷営業利益 55.2% 59.6% 64.5% 64.5%
ソウルドアウト(6553)の財政状態
H29.3
現預金等 682,695
流動資産 2,244,093
流動負債 1,885,541
 流動資産ー流動負債 358,552
 うち現金短借以外 △124,143
有利子負債(流動) 200,000
有利子負債(固定) 0
 有利子負債計 200,000
ネット有利子負債 △482,695
固定資産 450,517
固定負債 19,699
純資産 789,370
非支配株主持分 38,128
親会社所有者持分 751,242
流動比率 119%
固定長期適合率 56%
自己資本比率 29%
有利子負債比率 25%
ソウルドアウト(6553)の利益指標
H29.3 予想
ROE 34.3% 34.3%
ROA 15.0% 15.0%
ソウルドアウト(6553)の株式数,時価総額の見込み
上場前発行済株式 8,880,000 自己株式除く
うち売出株数 1,914,000 当選枚数
上場時発行株式 758,600 オーバーアロットメント含 26,726
引受価額 993.6
上場時調達見込額 753,745 千円
調達後親会社所有者持分 1,504,987
上場時増資額/直近純資産 100%
直近株価 1,080 想定発行価格
時価総額 10,409,688 千円
非支配株主持分 38,128
純有利子負債 △1,236,440
事業価値 9,211,376
潜在株 872,150 潜在株割合 9.0%
ソウルドアウト(6553)の株価指標
指標 H29.3 予想
EBIT倍率 11.5 11.5
EBITDA倍率 10.6
営業利益PER 14.2 14.2
PER 22.0 22.0
PBR 7.5
ソウルドアウト(6553)における従業員の状況
H29.4
連結人員 219
親会社単体人員 168
親会社単体平均年齢 31.1
親会社単体平均年収 4,890 千円
一人あたり年間粗利(連結) 11,855 千円
一人あたり年間販管費(連結) 8,200 千円