IPO新規上場クックビズ(6558)の財務分析と初値予想

2017/10/24

IPO

クックビズ(6558)
想定発行価格の印象
PER、PBRともに高水準であるが増収増益が見込め、同業他社の指標も高いことから、やや割安と判断。
クックビス(6558)の概要
項目 内容
設立日 H19.12.10
事業内容 飲食業界特化型の人材紹介事業、求人広告事業
本店所在地 大阪府大阪市北区芝田
監査法人 あずさ監査法人
主幹事 大和証券
決算月 11月
ブックビルディング期間 H29.11.10 H29.11.16
上場日 H29.11.28
上場市場 マザーズ
大株主 藪ノ 賢次 1,100,000株 うち売出50千株
ジャフコ 300,000株 うち売出15千株
社長 藪ノ 賢次、昭和55年うまれ、当社設立
クックビズ(6558)の沿革
時期 内容
H19/12 飲食業界特化型の人材サービスを事業目的として、クックビズ株式会社を大阪府大阪市西区に設立(資本金5,000千円)
H20/3 求人情報サイト「cook+biz」をリリース
H25/9 農業関連事業(その他事業)として農業雇用支援サービス「farm+biz」を開始
H28/4 飲食人・シェフを中心としたソーシャルネットワーキングサービス「Foodion」(その他事業)を
公開
H28/12 飲食業界向け人材定着・育成にかかる研修サービス「クックビズフードカレッジ」(その他事業)を開始
クックビズ(6558)が実施する事業内容
項目 内容
人材紹介事業 職業安定法に基づく人材紹介サービス及びスカウトサービス「クックビズダイレクト」を展開
(販売実績) H28.11期 865百万円 直近3Q 972百万円
求人広告事業 飲食事業者向けに求人広告サービスを展開しております。人材採用を希望する求人企業の求人広告を、当社求人情報サイト「cook+biz」に掲載するサービス
(販売実績) H28.11期 364百万円 直近3Q 495百万円
その他事業 飲食事業者向け研修サービスである「クックビズフードカレッジ」及びソーシャルネットワーキングサービスである「Foodion」を運営
(販売実績) H28.11期 2,066千PV 直近3Q 12百万円
cook+biz PV推移 H25/11 2,066千PV H28/11 15,878千PV
クックビズ(6558)過去5年間の指標(単体)推移
項目 5年前 直近期
売上高 57百万円 1,232百万円
当期利益 1百万円 52百万円
総資産 66百万円 451百万円
純資産 38百万円 143百万円
従業員数 14人 67人
クックビズ(6558)の業績推移分析
(単位:千円) H27.11 H28.11 増減 H29.8 Q進捗
売上高 692,085 1,232,549 540,464 1,480,385 120%
年間予想 1,973,847 75%
売上総利益 674,983 1,204,622 529,639 1,452,429 121%
販管費 637,873 1,148,003 510,130 1,279,334 111%
営業利益 37,110 56,619 19,509 173,095 306%
年間予想 230,793 75%
減価償却費 7,328 9,845 2,517 8,574 87%
 EBITDA 44,438 66,464 22,026 181,669 273%
支配株主帰属利益 59,547 51,901 △7,646 116,595 225%
年間予想 155,460 75%
簡易営業キャッシュフロー 66,875 61,746 △5,129 125,169
年間予想 166,892
※年間予想はQ数値を年次に単純換算した金額
H27.11 H28.11 H29.8 予想
売上総利益率 97.5% 97.7% 98.1%
営業利益率 5.4% 4.6% 11.7% 11.7%
支配株主帰属利益率 8.6% 4.2% 7.9% 7.9%
最終利益÷営業利益 160.5% 91.7% 67.4% 67.4%
クックビズ(6558)の財政状態
BS項目 H29.8
現預金等 419,355
流動資産 607,944
流動負債 420,914
 流動資産ー流動負債 187,030
 うち現金短借以外 △182,325
有利子負債(流動) 50,000
有利子負債(固定) 0
 有利子負債計 50,000
ネット有利子負債 △369,355
固定資産 120,061
固定負債 35,357
純資産 271,734
非支配株主持分 0
親会社所有者持分 271,734
流動比率 144%
固定長期適合率 39%
自己資本比率 37%
有利子負債比率 18%
クックビズ(6558)の利益指標
H28.11 H29.8 予想
ROE 5.4% 16.1% 16.1%
ROA 3.7% 10.9% 10.9%
クックビズ(6558)の株式数,時価総額の見込み
上場前発行済株式 1,812,941 自己株除く
うち売出株数 122,800 当選枚数
上場時発行株式 363,400 OA含む 4,862
引受価額 1,904.4
上場時調達見込額 692,059 千円
調達後親会社所有者持分 963,793
上場時増資額/直近純資産 255%
直近株価 2,070 想定発行価格
時価総額 4,505,026 千円
非支配株主持分 0
純有利子負債(ipo資金受入後) △1,061,414
事業価値 3,443,612
潜在株 166,170 7.6% ←潜在株割合
クックビズ(6558)の株価指標
指標 H28.11 H29.8 予想
EBIT倍率 60.8 14.9 14.9
EBITDA倍率 51.8 14.2
営業利益PER 85.6 21.0 21.0
PER 93.4 31.2 31.2
PBR 5.0
クックビズ(6558)における従業員の状況
H29.9
連結人員 144
親会社単体人員 144
親会社単体平均年齢 32.7
親会社単体平均年収 4,038 千円
一人あたり年間粗利(連結) 13,448 千円
一人あたり年間販管費(連結) 11,846 千円
クックビズ(6558)上場までの資本政策
発行日 株数 発行価格 分割考慮 割当先
~H24/9 140 0 設立時~
H24/9 30 1,000,000 100 ジャフコ
H26/8 1,699,830 10000分割
H26/9 102,941 680 680 SMBC
H29/3 10,000 1,170 1,170 従業員持ち株会
IPO直前計 1,812,941
IPO時 363,400 2,070 ⇒想定発行価格
IPO後計 2,176,341 時価総額 4,505 百万円
分割日 分割数
H29/8 10000
類似上場会社指標(H29.10.24時点)
銘柄 銘柄コード PER PBR ROE ROA
ジェイエスイシ 2124 22.9 8.2 40.7 26.5
エスエムエス 2175 45.9 9.1 21.9 6.5
ディップ 2379 22.8 9.0 49.6 29.2
クイック 4318 22.1 6.2 26.5 15.0
インタワクス 6032 17.5 4.4 24.9 18.5

 

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【損益(過去2期+直近Q)】


(売上、売上総利益)

売上:直近通年期前期比78%減、直近四半期単純年換算前期比60%増と急拡大中。

売上先はSFPダイニング、重光、ペッパーフード、オーイズミ等である。

売上原価の大部分は外注費であり、求人原稿作成にかかる費用や他社のデータベース利用料であり、原価性あるものである。

粗利率:前々期98%、前期98%、直近四半期98%と原価はほとんどかからない。

売上総利益:直近通年期前期比8%増、直近四半期単純年換算前期比22%増である。
H29.2期は粗利率改善により、H29.8期2Qは売上増加により粗利額は伸びている。


(販管費、営業損益)

販管費:直近通年期前期比80%増、直近四半期単純年換算前期比49%増と人件費、広告費を拡大しているため増加傾向にある。

H28.11期の販管費11億円のうち、広告費が347百万円、給与が350百万円、地代家賃が47百万円を占めている。

広告費はgoogle、ヤフー向けと考えられる。

営業利益:直近通年期前期比53%増、直近四半期単純年換算前期比308%増と急拡大中。


(最終利益)

「最終利益÷営業利益」:前々期160%、前期91%、直近四半期67%で推移している。

H27.11期の税金費用は少額である。評価性引当額の増減と繰越欠損金の利用により税負担額が低くなった。

H28.11期は営業外収益として助成金収入が12百万円あり。


【財政状態】
 

(財務諸表の特徴)

直近決算における純キャッシュは369百万円(IPO資金調達後は1,061百万円)であり実質的に無借金でキャッシュリッチである。

繰延税金資産についてH28.11機の一時差異(税額)は30百万円であり、前受金10百万円、資産除去債務7百万円等である。
評価性引当額は7百万円程度である。


(資本政策)

ジャフコ、SMBC等のファンドからの調達がある。
ジャフコの時価総額は30,000千株×2,070円=621百万円であり、含み益は591百万円あり。


(ROAとROE)

直近決算期であるH29.8期の純資産と想定発行価格による増資と直近Q決算期の年度換算利益を前提としたROA、ROEはそれぞれ16.1%、10.9%と高いが、ビジネス上高くなる傾向にあり、同業他社も同様に高くなっている。



(IPO調達資金が自己資本へ与える影響)

想定発行価格と公募株式数に基づく調達資金は692百万円であり、直近純資産に対して255%の自己資本増加となる。



【株価】


(将来見込み)

業績拡大中であり、外食産業において人材不足も継続することが予想されるため期待できそうである。


(PER指標)

直近決算期であるH29.8期の利益を単純年換算した利益と想定発行価格を前提としたPER(希薄化株式考慮済)は31倍である。


(PBR指標)

直近決算期であるH29.8期の純資産と想定発行価格による増資を前提としたPBR(希薄化株式考慮済)は5倍である。


(類似会社比較)

人材紹介、求人サイトを実施する同業他社はビジネス実施のために必要な資産も多くなく、資産収益性が高くROE,ROAがともに高水準である。
よって、PBRも5~8倍程度あり、PERも20倍以上となっている。