IPO新規上場シー・エス・ランバー(7808)の財務分析と初値予想

2017/10/12

IPO

【想定発行価格の印象】
:PER低めであるが同業他社のPERも低く妥当な水準である。

【法人概要】
設立:1983年4月
本社所在地:千葉県千葉市花見川区幕張本郷
事業内容:プレカット木材の加工販売、戸建住宅建築請負、不動産賃貸
業種分類:その他製品
決算:11月
上場市場:JASDAQスタンダード
監査人:千葉第一監査法人
主幹事証券:みずほ証券
社長:中井千代助、昭和25年うまれ、昭和48年に当社入社

【実施する事業】

①プレカット事業
(286人、H29.8期3Qで受注78億円、受注残18億円、直近H28.11期 売上10,742百万円、営業利益306百万円/H29.8期3Q 売上8,463百万円、営業利益149百万円)

在来軸組工法における設計(CAD:コンピュータ支援設計)、木材のプレカット加工及び販売、ツーバイフォー工法における設計、木材のプレカット加工、パネル(プレカット加工木材を枠組みしてパネルとしたもの)の製造及び販売を実施。

②建築請負事業
(28人、H29.8期3Qで受注24億円、受注残7億円、直近H28.11期 売上3,435百万円、営業利益126百万円/H29.8期3Q 売上2,712百万円、営業利益22百万円)

木造戸建住宅及び木造一般建築物の建築(新築・増改築)の請負を実施。プレカット製品を仕入して建築する。なのはなハウジング(売上32億、経常利益103百万円、総資産1,575百万円、純資産451百万円)が実施。

③不動産賃貸事業
(1人、直近H28.11期 売上199百万円、営業利益112百万円/H29.8期3Q 売上203百万円、営業利益139百万円)

不動産賃貸及び管理を行っており、株式会社CLCコーポレーションが実施。

木材の多くは海外からの輸入であり、木価格の世界的な変動、為替、船舶需要の影響を受けやすい。

首都圏に生産、営業拠点を置きエリアを絞っている。また、H28.11に生産設備を新式に全面入れ替えした。山武第二工場への投資は総額で7億円を超える。

一人当たり給与平均額が365万円と低めである。

売上の10%程度は㈱東栄住宅向け(プレカット事業)である。

また、季節的変動があり、第4Q(9~11月)に売上約3割、利益約5割が集中する。





【損益(過去2期+直近Q)】


(売上、売上総利益)

売上:直近通年期前期比9%増、直近四半期単純年換算前期比8%増

季節的変動により4Qが期待できそうであるにも関わらず3Qまでの進捗は良好である。


粗利率:前々期17.3%、前期17.9%、直近四半期16.8%

直近Qの粗利率が低下してきている。

売上総利益:直近通年期前期比13%増、直近四半期単純年換算前期比3%減

直近Qは売上好調であるが、粗利率が低下したため売上総利益額の進捗率は3Qで前年比73%に留まっている。


(販管費、営業損益)

販管費:直近通年期前期比14%増、直近四半期単純年換算前期比4%増

販管費の主なものとしてH28.11期1,855百万円のうち、運賃が674百万円、給与が480百万円と大部分を占めている。

営業利益:直近通年期前期比9%増、直近四半期単純年換算前期比25%減

直近Qは粗利率の低下と販管費の増加により営業利益は3Qで昨年度の56%と進捗は思わしくない。
しかし、季節的変動により第4Qに期待が持てそうである。


(最終利益)

「最終利益÷営業利益」:前々期44.3%、前期54.5%、直近四半期41%と低めである。
毎期減損等の特別損失を計上していることが要因である。

営業外収益として毎期27百万円程度の受取賃貸料を計上している。

特別損益として、H27.11期は減損(柏市の賃貸不動産)96百万円計上、H28.11期は固定資産売却益(賃貸不動産の売却)81百万円、減損(船橋市の賃貸不動産)25百万円、固定資産除却損(建物構築物など)41百万円、解決金(時間外労働分の自主的精算)79百万円を計上。
直近のH29.8期3Qでも除却損45百万円、減損61百万円を計上。


【財政状態】


(財務諸表の特徴)

純有利子負債(ipo資金受入後)2,553百万円、自己資本比率17%、有利子負債比率239%と負債割合が比較的大きい。

賃貸不動産、有価証券を多く抱えており、
有価証券は取得原価45百万円に対し時価が202百万円と多額の含み益を抱えている。
うち、飯田グループホールディングス株が112百万円、桧家ホールディングス株が79百万円を占める。
賃貸不動産はH28.11時点の時価は1,988百万円(簿価1,950百万円)であり賃貸損益は149百万円である。

繰延税金資産について、減損損失、繰越欠損金、退職給付などの一時差異があるが、約半分について税金試算を計上している。



(ROAとROE)

直近決算期であるH29.8期の純資産と想定発行価格による増資と直近Q決算期の年度換算利益を前提としたROA、ROEはそれぞれ1.6%、8.3%と低めである。

季節的変動要因と特別損失計上による利益低下の影響が大きい。



(IPO調達資金が自己資本へ与える影響)

想定発行価格と公募株式数に基づく調達資金は410百万円であり、直近純資産に対して24%の自己資本増加となる。



【株価】


(将来見込み)

ほぼ横ばいか若干の増収増益が期待できる程度である。


(PER指標)

直近決算期であるH29.8期の利益を単純年換算した利益と想定発行価格を前提としたPER(希薄化株式考慮済)は15.5倍である。
H28.11期利益を前提とすると8.7倍である。
季節的変動、特別損失計上を前提とすると低めの印象である。


(PBR指標)

直近決算期であるH29.8期の純資産と想定発行価格による増資を前提としたPBR(希薄化株式考慮済)は1.3倍である。


(類似会社比較)

同業他社のPERは10倍を下回る先が多く、株価はつきにくい業種であることが分かる。

 

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シー・エス・ランバー(7808)
(単位:千円) H27.11 H28.11 増減 H29.8 Q進捗
売上高 12,531,871 13,635,093 1,103,222 10,504,309 77%
年間予想 14,005,745 75%
売上総利益 2,164,576 2,436,691 272,115 1,768,982 73%
販管費 1,632,008 1,855,241 223,233 1,443,315 78%
営業利益 532,568 581,450 48,882 325,667 56%
年間予想 434,223 75%
減価償却費 200,096 233,914 33,818 222,658 95%
 EBITDA 732,664 815,364 82,700 548,325 67%
支配株主帰属利益 235,676 316,946 81,270 133,467 42%
年間予想 177,956 75%
簡易営業キャッシュフロー 435,772 550,860 115,088 356,125
年間予想 474,833
※年間予想はQ数値を年次に単純換算した金額
H27.11 H28.11 H29.8 予想
売上総利益率 17.3% 17.9% 16.8%
営業利益率 4.2% 4.3% 3.1% 3.1%
支配株主帰属利益率 1.9% 2.3% 1.3% 1.3%
最終利益÷営業利益 44.3% 54.5% 41.0% 41.0%
シー・エス・ランバー(7808)の財政状態
BS項目 H29.8
現預金等 1,166,473
流動資産 4,541,173
流動負債 5,104,020
 流動資産ー流動負債 △562,847
 うち現金短借以外 114,467
有利子負債(流動) 1,843,787
有利子負債(固定) 2,286,273
 有利子負債計 4,130,060
ネット有利子負債 2,963,587
固定資産 5,889,162
固定負債 3,596,626
純資産 1,729,689
非支配株主持分 0
親会社所有者持分 1,729,689
流動比率 89%
固定長期適合率 111%
自己資本比率 17%
有利子負債比率 239%
シー・エス・ランバー(7808)の利益指標
H28.11 H29.8 予想
ROE 14.8% 8.3% 8.3%
ROA 2.9% 1.6% 1.6%
シー・エス・ランバー(7808)の株式数,時価総額の見込み
上場前発行済株式 1,480,500 自己株除く
うち売出株数 193,000 当選枚数
上場時発行株式 301,500 OA含む 4,945
引受価額 1,361.6
上場時調達見込額 410,522 千円
調達後親会社所有者持分 2,140,211
上場時増資額/直近純資産 24%
直近株価 1,480 想定発行価格
時価総額 2,637,360 千円
非支配株主持分 0
純有利子負債(ipo資金受入後) 2,553,065
事業価値 5,190,425
潜在株 82,200 4.6% ←潜在株割合
シー・エス・ランバー(7808)の株価指標
指標 H28.11 H29.8 予想
EBIT倍率 8.9 12.0 12.0
EBITDA倍率 6.4 7.1
営業利益PER 4.7 6.4 6.4
PER 8.7 15.5 15.5
PBR 1.3
シー・エス・ランバー(7808)における従業員の状況
H29.9
連結人員 318
親会社単体人員 250
親会社単体平均年齢 38.1
親会社単体平均年収 3,653 千円
一人あたり年間粗利(連結) 7,417 千円
一人あたり年間販管費(連結) 6,052 千円
シー・エス・ランバー(7808)上場までの資本政策
発行日 株数 発行価格 分割考慮 割当先
設立~ 4,995
H29/4 1,493,505 300分割
IPO直前計 1,498,500
IPO時 301,500 1,480 ⇒想定発行価格
IPO後計 1,800,000 時価総額 2,664 百万円
分割日 分割数
H29/4 300
類似上場会社指標(H29.10.12時点)
銘柄 銘柄コード PER PBR
飯田グループHD 3291 7.6 0.9
桧家HD 1413 9.1 2.2
土屋HD 1840 41.8 0.4
日本ハウスHD 1873 9.2 1.5