想定発行価格の印象 | |||||
PERはやや低めの印象であり、やや割安感がある。金利上昇による収益改善が期待される。 | |||||
アルヒ(7198)の概要 | |||||
項目 | 内容 | ||||
事業内容 | フラット35を中心とする住宅ローンの貸付及び回収を行なうモーゲージバンク事業 | ||||
業種別分類 | その他金融 | ||||
本店所在地 | 東京都港区六本木 | ||||
監査法人 | トーマツ | ||||
主幹事 | 野村證券 | ||||
決算月 | 3月 | ||||
BB期間 | H29.11.28 | ~ | H29.12.4 | ||
上場日 | H29.12.14 | ||||
上場市場 | 市場1部or市場2部 | ||||
大株主① | CJP CSM Holdings | 30,780,200株 | うち売出 | 17,231,800株 | |
大株主② | SBIホールディングス | 3,621,200株 | うち売出 | 0株 | |
社長 | 濱田宏、昭和34年うまれ | ||||
アルヒ(7198)の沿革 | |||||
時期 | 内容 | ||||
H12/6 | ソフトバンクファイナンスカード㈱として設立 | ||||
H16/3 | 住宅金融公庫の証券化支援事業に参加 | ||||
H26/5 | 受け皿会社であるCSMホールディングス設立 | ||||
H26/5 | 公開買付けによりCSMHDが筆頭株主となる | ||||
アルヒ(7198)が実施する事業内容 | |||||
項目 | 内容 | ||||
融資実行 | フラット35等の住宅ローンを顧客に提供した際に受領するオリジネーションフィー売上が源泉。費用はFCへ支払う手数料(オリジネーションフィーの約50%)である。 | ||||
(販売実績) | H29.3⇒ | 14,791百万円 | H29.9⇒ | 5,925百万円 | |
債権管理回収業務 | 住宅金融支援機構や信託銀行から委託を受けて住宅ローンの債権の管理回収業務を実施しサービシングフィー売上を受領する。 | ||||
(販売実績) | H29.3⇒ | 2,190百万円 | H29.9⇒ | 1,168百万円 | |
保険関連収益 | 保険代理店としての業務を実施。住宅ローンに付随する団体信用保険等。 | ||||
(販売実績) | H29.3⇒ | 816百万円 | H29.9⇒ | 386百万円 | |
ファイナンス業務 | 住宅ローン貸付債権を対象に債権流動化、証券化を実施することにより資金調達を実施するが、貸付債権流動化実施時に発生する関連収益、及び貸付債権利息収入が源泉。 | ||||
(販売実績) | H29.3⇒ | 3,459百万円 | H29.9⇒ | 2,793百万円 | |
その他業務 | FC運営法人に対するシステム利用料等。 | ||||
(販売実績) | H29.3⇒ | 214百万円 | H29.9⇒ | 96百万円 | |
アルヒ(7198)過去5年間の指標(単体)推移 | |||||
項目 | 5年前 | ⇒ | 直近H29.3期 | ||
売上高 | 12,013百万円 | ⇒ | 20,447百万円 | ||
当期利益 | 1,995百万円 | ⇒ | 4,237百万円 | ||
総資産 | 43,228百万円 | ⇒ | 60,966百万円 | ||
純資産 | 14,994百万円 | ⇒ | 24,758百万円 | ||
従業員数 | 不明 | ⇒ | 281人 |
【損益(過去2期+直近Q)の分析】
(売上、売上総利益)
売上:直近通年期前期比127%、直近四半期単純年換算前期比97%である。
売上増加は落ち着いてきた印象である。
粗利率:前々期85%、前期83%、直近期Q87%で推移している。
売上総利益:直近通年期前期比125%、直近四半期単純年換算前期比101%である。
H29.9期は売上減少したが粗利率の改善により売上総利益額は微増で推移している。
(販管費、営業損益)
販管費:直近通年期前期比128%、直近四半期単純年換算前期比91%である。
H29.9期2Qの販管費は前期比9%減で推移しており抑えられている。
H29.3期の販管費12606百万円のうち、人件費が2,440百万円、支払手数料が7,373百万円を占めている。
営業利益:直近通年期前期比116%、直近四半期単純年換算前期比126%である。
H29.9期2Qは販管費の削減が進み営業利益は増加傾向にある。
(最終利益)
「最終利益÷営業利益」:前々期27%、前期62%、直近期Q103%で推移している。
H29.9期は法人税の計上がほとんどないばかりかプラスとなっているため支配株主帰属利益が大きくなった。
これによりH29.9期の利益水準は非常に高くなった。
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【財政状態の分析】
(財務諸表の特徴)
直近決算における純有利子負債(マイナスは純キャッシュ)は31354百万円(IPO資金調達後は31354百万円)、自己資本比率は28%、有利子負債比率は204%である。
自己資本比率は低めであり有利子負債大きいがIPOによる資金調達は実施しない。
資産総額72,686百万円のうちのれん(IFRS適用により非償却)が24,464百万円を占めている。当該のれん金額は資本合計額を超える水準である。
なお、借入金金利は1%を切る水準である。
(資本政策)
上場に当たっての当選枚数は180403枚である。
(ROAとROE)
直近決算期であるH29.9期の純資産と想定発行価格による増資と直近Q決算期の年度換算利益を前提としたROA、ROEはそれぞれ9%、33%である
また、上記純資産を基準として直近通期決算期の年度換算利益を前提としたROA、ROEはそれぞれ4%、16%である
(IPO調達資金が自己資本へ与える影響)
想定発行価格と公募株式数に基づく調達資金は0百万円であり、直近純資産に対しての自己資本増加となる。
募集はないためIPOによる新たな資金調達は実施しない。
【株価の分析】
(将来見込み)
売上は横ばい水準で落ち着いているが、販管費削減により収益性は確保している。
金利上昇により安定した水準の利益は期待できるかもしれない。
(PER指標)
直近Q決算期であるH29.9期の利益の年換算額と想定発行価格を前提としたPER(希薄化株式考慮済)は7.5倍である
また、直近通年決算期であるH29.3期の利益と想定発行価格を前提としたPER(希薄化株式考慮済)は15.8倍である
(PBR指標)
直近Q決算期であるH29.9期の純資産額と想定発行価格を前提としたIPO増資を前提としたPBR(希薄化株式考慮済)は2.5倍である
(類似会社比較)
ビジネスモデルが近い上場会社のPERは13.91~39.96倍、PBRは1.86~7.75倍である。
また類似会社のROEは18.1~32.7%、ROAは3~11.4%である。
アルヒのH29.9期の利益は税金費用がプラスであり利益が高めであるためPERは非常に低くなっているが、前年ベースだと15.8倍であり、業態が近い日本モーゲージのPERとほとんど同じ水準である。
アルヒ(7198)の業績推移分析 | |||||
(単位:百万円) | H28.3 | H29.3 | 増減 | H29.9 | Q進捗 |
売上高 | 16,904 | 21,472 | 4,568 | 10,370 | 48% |
年間予想 | 20,740 | 50% | |||
売上総利益 | 14,297 | 17,818 | 3,521 | 9,009 | 51% |
販管費 | 9,821 | 12,606 | 2,785 | 5,738 | 46% |
営業利益 | 4,476 | 5,212 | 736 | 3,271 | 63% |
年間予想 | 6,542 | 50% | |||
減価償却費 | 472 | 462 | △10 | 255 | 55% |
EBITDA | 4,948 | 5,674 | 726 | 3,526 | 62% |
支配株主帰属利益 | 1,204 | 3,227 | 2,023 | 3,372 | 104% |
年間予想 | 6,744 | 50% | |||
簡易営業キャッシュフロー | 1,676 | 3,689 | 2,013 | 3,627 | |
年間予想 | 7,254 | ||||
※年間予想はQ数値を年次に単純換算した金額 | |||||
H28.3 | H29.3 | H29.9 | 予想 | ||
売上総利益率 | 84.6% | 83.0% | 86.9% | ||
営業利益率 | 26.5% | 24.3% | 31.5% | 31.5% | |
支配株主帰属利益率 | 7.1% | 15.0% | 32.5% | 32.5% | |
最終利益÷営業利益 | 26.9% | 61.9% | 103.1% | 103.1% | |
アルヒ(7198)の財政状態 | |||||
BS項目 | H29.9 | ||||
現預金等 | 9,806 | ||||
流動資産 | 38,515 | ||||
流動負債 | 52,528 | ||||
流動資産ー流動負債 | △14,013 | ||||
うち現金短借以外 | 17,341 | ||||
有利子負債(流動) | 41,160 | ||||
有利子負債(固定) | 0 | ||||
有利子負債計 | 41,160 | ||||
ネット有利子負債 | 31,354 | ||||
固定資産 | 34,171 | ||||
固定負債 | 0 | ||||
純資産 | 20,158 | ||||
非支配株主持分 | 0 | ||||
親会社所有者持分 | 20,158 | ||||
流動比率 | 73% | ||||
固定長期適合率 | 170% | ||||
自己資本比率 | 28% | ||||
有利子負債比率 | 204% | ||||
アルヒ(7198)の利益指標 | |||||
H29.3 | H29.9 | 予想 | |||
ROE | 16.0% | 33.5% | 33.5% | ||
ROA | 4.4% | 9.3% | 9.3% | ||
アルヒ(7198)の株式数,時価総額の見込み | |||||
上場前発行済株式 | 36,080,600 | 自己株除く | |||
うち売出株数 | 18,040,300 | 当選枚数 | |||
上場時発行株式 | 0 | OA含む | 180,403 | ||
引受価額 | 1,232.8 | 円 | |||
上場時調達見込額 | 0 | 千円 | |||
調達後親会社所有者持分 | 20,158,000 | ||||
上場時増資額/直近純資産 | 0% | ||||
直近株価 | 1,340 | 想定発行価格 | |||
時価総額 | 48,348,004 | 千円 | |||
非支配株主持分 | 0 | ||||
純有利子負債(ipo資金受入後) | 31,354,000 | ||||
事業価値 | 79,702,004 | ||||
潜在株 | 1,894,100 | 5.2% | ←潜在株割合 | ||
アルヒ(7198)の株価指標 | |||||
指標 | H29.3 | H29.9 | 予想 | ||
EBIT倍率 | 15.3 | 12.2 | 12.2 | ||
EBITDA倍率 | 14.0 | 11.3 | |||
営業利益PER | 9.8 | 7.8 | 7.8 | ||
PER | 15.8 | 7.5 | 7.5 | ||
PBR | 2.5 | ||||
アルヒ(7198)における従業員の状況 | |||||
H29.9 | |||||
連結人員 | 290 | 人 | |||
親会社単体人員 | 290 | 人 | |||
親会社単体平均年齢 | 37.86 | 才 | |||
親会社単体平均年収 | 5,128 | 千円 | |||
一人あたり年間粗利(連結) | 62,131 | 千円 | |||
一人あたり年間販管費(連結) | 39,572 | 千円 | |||
アルヒ(7198)上場までの資本政策 | |||||
発行日 | 株数 | 発行価格 | 分割考慮 | 割当先 | |
H26/5 | 1 | 50,000 | 500 | 設立時 | |
H26/6 | 339,999 | 50,000 | 500 | CJPCSM HD | |
H26/8 | 40,000 | 50,000 | 500 | SBI HD | |
H29/9 | -19,194 | 自己株消却 | |||
H29/10 | 35,719,794 | 100分割 | |||
IPO直前計 | 36,080,600 | ||||
IPO時 | 0 | 1,340 | ⇒想定発行価格 | ||
IPO後計 | 36,080,600 | 時価総額 | 48,348 | 百万円 | |
分割日 | 分割数 | ||||
H29/10 | 100 | ||||
類似上場会社指標(H29.11.8時点) | |||||
銘柄 | 銘柄コード | PER | PBR | ROE | ROA |
日本モーゲージ | 7192 | 13.9 | 1.9 | 25.8 | 3.0 |
全国保証 | 7164 | 16.8 | 3.9 | 23.8 | 7.4 |
Jリース | 7187 | 23.0 | 6.4 | 32.7 | 4.0 |
ハイアスC | 6192 | 40.0 | 7.8 | 18.1 | 9.7 |
eギャランティー | 8771 | 23.4 | 4.6 | 20.4 | 11.4 |
銘柄 | 売上(百万) | 営業利益(百万) | 特徴 | ||
日本モーゲージ | 5,864 | 806 | フラット35貸付が主力 | ||
全国保証 | 35,918 | 28,139 | 金融機関と提携の住宅ローン向け主力 | ||
Jリース | 4,121 | 337 | 九州地盤家賃保証中堅 | ||
ハイアスC | 3,971 | 301 | 住宅関連特化コンサル | ||
eギャランティー | 4,577 | 2,119 | 企業の売掛債権保証 | ||
アルヒ(7198) | 21,472 | 5,212 |